「造作ない」の意味と読み方
「造作ない」は、「ぞうさない」と読みます。「造作(ぞうさ)」という言葉は、鎌倉・室町期では「手間のかかること」や「骨折り・面倒」などを意味する言葉として使われていました。
「造作」という熟語自体は、現代では一般に「ぞうさく」と読み、物を製造することや建物、インテリアなどの形状・細工のことを指します。場合によっては人の顔立ちの意味でも用いられます。
「造作ない」の使い方
「造作ない」という言葉は、日常会話やビジネスシーンなど、さまざまなところで見聞きします。新聞や小説などの中にも出てくる表現ですので、普段の会話でも必要に応じて使うことができます。
「造作もない」
「造作ない」という言葉は「も」を含んで、「造作もない」と使うこともあります。「造作もない」と「造作ない」の意味は同じです。どちらも「なんということもない」「いたって簡単な」という意味で使います。
「造作なし」
「造作ない」を「造作なし」ということもあります。「造作なし」も「造作ない」と同じ意味です。「造作ない」との違いは、「造作なし」は言葉の最後や文末に使われるということです。
「この件はみんなで協力すれば今日中には終わるだろう、造作なし」などと使って、それがいかに簡単なことであるかを強調することもできます。
「造作なし」の注意点
「造作なし」という言葉は、比較的年配の方にも通じやすい言葉です。そのためビジネスシーンでは、上司や取引先の方などに対して使うこともできます。
ただし「造作なし」には「なんてことない、簡単なこと」という意味があるため、内容や造作なしを使う対象によっては、その物事を軽く見ていると誤解されやすいことも理解しておきましょう。
「造作なし」という言葉に限ったことではありませんが、言葉は相手との価値観が同じでなければ上手く伝わらないことがあります。心の中では「造作なしだな」と思っていても、相手によっては別の言葉で受け止めた方が良いこともある、ということは知っておきましょう。
「造作なし」の言い換えに使える類語
「造作なし」という言葉と似た意味を持つ言葉はいくつもあります。今回は、その中でも比較的頻繁に耳にする言葉を2つご紹介します。それぞれの言葉の特徴と、使うシーンや注意点などを解説していますので、確認しておきましょう。
「お安い御用」
「造作なし」と似た意味を持つ言葉に、「お安い御用(ごよう)」があります。これは日本で昔から使われている表現のひとつで、「これくらいの用事であれば、安く請け負いますよ」という意味です。慣用句のひとつであり、本当にお金をもらって用事を請け負うという意味ではありません。
「お安い御用」は、気心の知れた相手や身内などへ向けてカジュアルに使う言葉なので、ビジネスシーンでは部下や同僚へ向けて使うことができます。
「たやすい」
「たやすい」は日常会話だけでなく、ビジネスシーンでも会話に使われます。「たやすい」も「造作なし」と同じで、「簡単な」「気安い」という意味の言葉です。「たやすい」は語尾を変えることで、目上の方に向けて使うこともできます。
ただし「お安い御用」と同じで、使う状況によっては、相手が「軽んじられている」と感じることもあります。使うシーンには注意をしましょう。