「拭えない」の意味と例文!拭えない不安とは?

「拭えない」の2つの意味

「拭えない」には、2つの意味があります。どちらの意味も、日常のさまざまなシーンで使われているので、聞いたことがない、という人は少ないかもしれません。

まずは、「拭えない」の2つの意味について解説します。

「拭えない」は消せないマイナス要素

1つ目の「拭えない(ぬぐえない)」の意味は、「マイナスの要素となるものをなくせない様子」です。

「拭えない」は「拭う」の否定形です。「拭う」には、マイナスの要素となるものを消し去るという意味があります。

「拭う」の否定形なので、「マイナス要素となるものを失くすことができない、消し去れない」という意味になるのです。

拭き取れない汚れや思いも「拭えない」

2つ目の「拭えない」の意味は、「汗や涙、汚れなどが消し去れない様子」です。

この意味でも、やはり原型の「拭う」の否定形となります。

この意味の「拭う」には「汗や涙、汚れなどを消し去る」という意味があります。その「拭う」の否定形なので、「拭き取りたいものが拭き取れない、消し去れない」という意味になるのです。

「拭えない」の使い方と例文

以下では、2つの「拭えない」の、それぞれの使い方について解説します。

拭えない不安

「拭えない不安」とは、不安な気持ちを消し去ることができない、という意味です。「拭えない」が、1つ目の意味として使われています。

私は彼の話を聞いて、拭えない不安で頭がいっぱいになりました

やれることはすべてやったつもりだが、どうしても拭えない不安もある

その人の中にある、不安な気持ちが、いつまでも消えずに心の中に残っている、という状態です。

頭や心の中で、何度も考え直したり、不安を取り除こうと努力をしても、どうしても不安が消えない状態を「不安がぬぐえない」という言葉で表しています。

拭えない気持ち

「拭えない気持ち」とは、心の中にいつまでも残り続ける気持ちのことです。これも、「拭えない」を1つ目の意味で使っています。

私は過去に拭えない気持ちを残したまま、大人になってしまいました

彼は、亡くなった奥様への拭えない気持ちを抱えて、毎日頑張っている

その人にとって、大きなショックや衝撃を受けた出来事により、記憶が薄れないまま色濃く残ってしまっている状態です。

心の中にあるものを、早く取り除きたいと思っていても、なかなかそうはできず、いつまでもその気持ちを引きずっている様子を「拭えない気持ち」で表しています。

拭えない思い出

「拭えない思い出」とは、忘れられない思い出、という意味です。これも「拭えない」の1つ目の意味で使われています。

誰にでも、拭えない思い出の一つや二つはあるのではないだろうか

拭えない思い出がある、というのは君が一生懸命に生きてきた証だ

「拭えない思い出」は、人によってさまざまです。良い思い出が忘れられずに心の中にある、という状態を「拭えない思い出」と表すこともできます。

反対に、早く忘れたい思い出があるのに、それがなかなか忘れられないという意味でも「拭えない思い出」を使うことができます。

拭えない汚れ

「拭えない汚れ」とは、物理的にどうしても落とせない汚れのことです。これは「拭えない」の2つ目の意味として使われています。

台所に、どうしても拭えない汚れがあって気になる

拭えない汚れには、重曹が良いと聞いたことがあったので試してみた

「拭えない汚れ」は、洗剤やスポンジを使ってもどうしても落ちない、という頑固な汚れについて表現しているに過ぎません。

そのため、「拭えない汚れ」という言葉をそのまま、心情にあてることはほぼないはずです。

「拭えない」の言い換えに使える類語

以下では、「拭えない」と似た意味を持つ、類義語について解説します。

消せない

「消せない」は、「拭えない」と同じで消すことができないマイナス要素、という意味でも、物理的に消せない物という意味でも使える言葉です。

私の胸の奥には、どうしても消せない思いがあるのです

彼と私の間には、消せない大切な思い出がたくさんあります

子供の落書きが、洗剤を使ってもどうしても消せない

例文のように、心の中にあるものがいつまでも残っている、という意味で「消せない」と表現できます。また、物理的な汚れなどが「消せない」とすることも可能です。

「拭えない」と「消せない」に大きな違いはありません。しかし、「拭えない」の方は積極的に取り除こうとする姿勢、「消せない」は時間が経過してもなかなか取り除けないもの、という言葉自体のイメージはやや異なります。

なかったことにはできない

「なかったことにはできない」とは、「拭えない」のマイナス要素が消し去れない、という意味に近い言葉です。

今の言葉は、なかったことにはできない

どれだけ時間が経っても、あの時の事件はなかったことにはできない

「なかったことにはできない」とは、つまり「それはすでに起きたことだ」という意味です。すでに起きてしまったことを、現時点で「過去にそんなことはなかった」とはできない、と言っています。

「なかったことにはできない」という言葉を使う場面は、「その出来事が起きたことにより、非常に困る人がいる」「後悔してもしきれないような深刻な出来事があった」などでしょう。