「最早」の意味と読み方・使い方と例文

「もはや」の意味と漢字

まずは「もはや」の意味と漢字について解説します。

「もはや」とは終わったことを認める気持ち

「もはや」には「すでに終わっていることを、改めて認める」という意味があります。

① 課長が駆け付けた時には、クライアントすでに帰っており、もはや手遅れだった

② 社内でもっとも人柄が良い、とみんなの意見が一致するのが彼であることは、もはや言うまでもないことだ

例文①では「課長が駆け付けた時にはもうクライアントが帰っている=手遅れだった」、例文②では「社内でもっとも人柄が良いとみんなの意見が一致する人=彼であると決まっている」、ということを「もはや」で表しています。

どちらも、もう終わっていること、もしくはもうわかりきっていること、を「もはや」で表しています。「もはや」が表す「すでに終わっていること(わかっていること)を改めて認める」というのは、こういう意味です。

「最早」の読み方は「もはや・さいそう」

「もはや」には漢字があります。それは「最早」です。「最早」は、最も早いと書くことからも、その時が早くももう来ている、という意味であることがわかります。

また、この「最早」は「さいそう」とも読みます。「さいそう」と読んでも間違いではありませんし、「もはや」の意味が変わるわけでもありません。

特に、小説の中や古い書物の中では「最早」に「さいそう」と振り仮名が打ってあることも珍しくありません。

「もはや」の使い方と例文

次に、「もはや」の使い方を例文と一緒に解説します。

「もはやこれまで」とは限界を表す

「もはや」を使ったフレーズに「もはやこれまで」があります。「もはやこれまで」とは、その人や、その人が置かれている状況の限界を表すフレーズです。これ以上は前に進めない、進めるのはここまで(これまで)、という意味です。

① これまでやりたい放題で、とうとう監査役に目をつけられた、彼ももはやこれまでだな

② 仕事を失くし、友達に裏切られ、家族もいなくなった、私の人生もはやこれまでかもしれない

例文①は、「彼」という「人」に焦点を当てて「もはやこれまで」と言っています。好き勝手やってきた彼という人の限界を「もはやこれまで」としているのです。

例文②は、「私の人生」という「状況」について「もはやこれまで」を使っています。何もかも上手くいかず、自分の人生の限界を「もはやこれまで」としています。

「もはやこれまで」は限界の中でも、ネガティブな意味での限界についてしか使いません。「自分の限界を突破する」などに使われるような、ポジティブな「限界」ではないことに注意しましょう。

「未だに」の意味で「もはや」を使うのは誤用

「もはや」の誤用で多いのは、「未だに(いまだに)」という意味で「もはや」を使うことです。「未だに」とは、「今もなお」「今になっても、まだ」という意味で、その物事がまだ完了していないことを示します。

課長には、何日も前から書類の承認をお願いしているのに、忙しいのか、未だに承認してもらえていない

うちの娘は今年で20歳になりますが、子供の頃から一緒に寝ているぬいぐるみが未だに手放せないようです

例文の「未だに」を「もはや」に変えると、意味が通らなくなります。「未だに」と「もはや」は、意味が異なる言葉である、と理解しておきましょう。

「もはや」の類語

次に「もはや」の言い換えに使える類義語について解説します。

「すでに」は時が経過した後を示す

「すでに(既に)」とは、その物事が済んでいて、済んだ時から時間や日数が経過していることを指します。

① 乗る予定だった電車は、すでに出発してしまいました、次の電車に乗りましょう

② 彼はすでに今月分の目標を達成して、来月の準備に取り掛かっているらしい

「すでに」の特徴は、ビジネスシーンや敬語(例文①)、もしくは改まった場での会話で使われることが多い、という点です。気楽に話す友人同士での会話などでは、「すでに」よりも「もう」が使われます。

「すでに」という言葉自体に敬語的要素はありませんが、使われるシーンがフランクではない場合が多いこともあり、特にビジネスシーンで使うことが多い言葉です。

ビジネスシーンでは、同僚や目下の人へ向けた会話でも「すでに」を使うことがあります(例文②)。

「もはや」の英語表現

最後に「もはや」の英語表現について解説します。

「もはや」は英語で「already」

「もはや」は英語だと「already」で表せます。「already」は、「すでに・もうとっくに」という意味の副詞です。

She already knows that.(彼女はすでにそれを知っている)

I’m already tired before the job.(私は仕事が始まる前からすでに疲れていた)

「already」と似た意味の言葉に「yet」があります。「yet」は、日本語の「もう」に近い言葉で「もう~したのですか?」など、主に疑問文で使われます。

日本語の「すでに」は疑問文以外にも使われるため、「yet」よりも「already」を覚えておいた方が良いでしょう。