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「すでに」の意味と漢字
普段の会話の中で「すでに」という言葉を使ったことがない、という人はほとんどいないかもしれません。それくらい「すでに」は至る所で頻繁に使われています。
しかし、考えてみれば自分の「すでに」の認識や使い方が合っているか、自信がないという人もいるのではないでしょうか。
まずは「すでに」の正しい意味と漢字について解説します。
「すでに」はもう起こってしまっている物事
「すでに」とは、その時点において、事がそれ以前に完了(確定)していることが判断される様子を表す言葉です。
彼はすでに、自分が転勤になることを知っている
私が駆け付けたとき、すでに課長は出かけられていました
ライバルのA社は、すでに先方と数回の商談を行っているらしい
「すでに」の漢字は「既に」
「すでに」を漢字で書くと「既に」です。
「既に」の「既」は「既存」や「既視感」など、過去から継続していることや、経験し終えていることを表す言葉にも使われています。
「すでに・既に」と、どちらで書いても間違いではありません。メールなどの文章で書く場合は、前後に使われている漢字・ひらがなのバランスを見て使い分けると良いでしょう。
「すでに」の使い方と例文
次に、「すでに」の使い方を例文と一緒に解説します。
「すでに」は目上の人へも使える
「すでに」は、目上の人へ向けて使ってもまったく問題がない言葉です。ただし、「すでに」自体に敬語表現は含まれていないので、前後の言葉や表現に尊敬語を使う必要があります。
部長、この件はすでに存じております
社長はすでにお出かけになられました
御社のご担当者様へお渡しする資料は、昨日すでに郵送いたしております
「すでに」は目上の人へも目下の人へも使えます。しかし、目上の人へ向けて使う場合は、あまり「すでに」を強調しない方が良いかもしれません。
「すでに賽は投げられた」は物事が始まっていることを表す
「すでに」を使った有名な言葉に「すでに賽(さい)は投げられた」があります。
この言葉は、古代ローマ時代のものです。古代ローマ時代の政治家だったシーザーは、軍がローマへ進軍する際にこの言葉を発したと言われています。
さぁ、いよいよ始まるな、緊張はもちろんしているがすでに賽は投げられたんだ、やるしかない
ここまで来たら競合に勝つしかありません、すでに賽は投げられているのではないでしょうか
「すでに」の類語
以下では、「すでに」の言い換えに使える類語について解説します。
「もう」はフランクな会話でも使える
日常会話でも頻繁に使われている「もう」も、「すでに」の類語です。現時点で、もうその状態になっているという様子を「もう」で表します。
もう8時を過ぎている、待ち合わせに間に合わないよ
彼はもう帰りました、書類は私が預かります
しかし、この用途は「すでに」の言い換えとしては使えないため注意が必要です。
「最早(もはや)」は起きたことを改めて認める
「最早」とは、現時点でその事象が起きていることを、改めて認める意味があります。
たとえば、「気がつくと、まだまだと思っていた時期に至っている」「過去の状況が通用しなくなっていると判断された」などです。
時間はもはや午後11時を回っている
残念だけれど、その時彼はもはや手遅れだったと聞いている
これだけ情勢が変われば、昨年のやり方ではもはや上手くはいかないだろう
例文の内、3つ目については「すでに」と言い換えたときにやや違和感があるかもしれません。しかし、「すでに」の本来の意味である「事が起こって完了している状態」と考えると、きちんと当てはまります。
「すでに」の英語表現
最後に「すでに」の英語表現について解説します。
「すでに」は英語で「already」
日本語の「すでに」を英語で表す場合は「already」を使います。「already」とは、日本語で「すでに・もう・~済」という意味の英単語です。
while I have already advised you by e-mail.(すでにメールでお伝えしたとおり)
We have already known each other.(私たちはすでにお互いを知っている)
「already」を使う場合は、主語+haveの形になる点に注意しておきましょう。