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「ご清祥」の意味とは
手紙で使われる言葉で、「時下、ますますご清祥のことと存じます」などと挨拶文のひとつとして使われることが多いでしょう。語源には諸説ありますが、「ご清祥」の「清」は「澄んだ水のように曇りのない」、「祥」には「幸せ」という意味があり、「ご清祥」とすることで「何の曇りもない幸せな状態」を表します。
「あなたの健康やそれに伴う幸せは、澄んだ水のように見通しが良いでしょう」ということを表す言葉で、相手が目上の人でも目下の人でも問題なく使うことができます。
「ご清祥」と使ってはいけない場面
手紙などを書く前に相手へ健康かどうかを確認する必要はありませんが、少なくとも「最近体調を崩された」という噂を聞いたりしたのであれば、「お身体の具合はいかがですか」など、口頭で掛ける言葉と近いものを選びましょう。
いずれにしても「ご清祥」は使えませんので、別の挨拶文へ差し替える必要があります。特に体調に関して何も聞いていないのであれば「きっと元気で幸せでしょう」という意味を込めて「ご清祥」を使います。
「ご清祥」と「ご清栄」
「会社が健康で幸せ」というのは、意味はわからなくありませんが、やはり不自然です。
「清」という「曇りのない清らかな」という意味と「栄」という「栄える、繁盛する」という意味を組み合わせた「ご清栄」は相手が個人でない場合の挨拶に適しています。「会社が栄えて、幸せ」という意味ですので、個人に使うことはなく、企業や団体に向けての言葉として使われます。
「ご清祥」と「ご健勝」
「ご清祥」と「ご健勝」はどちらも、相手の健康を願った言葉です。しかし「ご健勝」には「健」という文字が入っていることから、「健康を祈るイメージ」が強く、企業や団体へ向けては使われません。個人宛であれば、言葉としてどちらが優れているということはなく、差出人の好みで選ぶことになるでしょう。
しかし、手紙では少し形式に偏りがあります。文頭の挨拶では「時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」とされ、文末の挨拶では「○○様のご健勝をお祈りいたしております」と締められることが多いようです。正式な決まりごとではないので、あくまでもそういった傾向がある、という程度で知っておくと良いでしょう。
相手の状態がわからない状態で書く意味
日本には「言霊」という言葉がありますが、「言霊」は日本の文化をとてもよく表しているもののひとつです。日本では昔から「あらかじめ縁起の良いことを言う」といった習慣があります。相手を想う気持ちを「きっと〜だろう」という言葉にすることで、縁起を担ぐのです。これを「言祝ぐ(ことほぐ)」と言います。
「ご清祥」という言葉も、この言祝ぐための言葉のひとつで「相手に健康で幸せでいて欲しい」と思うからこそ、相手の状況がわからない状態で先回りして「健康で幸せでいてくれて良かったです」という言葉を届けるのです。
「ご清祥」の言い換え
「ご健勝」「ご壮健」
主に個人の健康と幸せを願う言葉として使われます。「ご健勝のこととお慶び申し上げます」「ご壮健で何よりでございます」などとして使われます。
「健勝」という言葉には「身体が丈夫で優れている」という意味があり、「壮健」には「身体が丈夫で元気がある」という意味があります。ほとんど同じ意味として使われる言葉で、どちらを使っても問題はありません。
「ご繁栄」「ご盛栄」
ビジネスの場で使われる言葉で「商売繁盛」を意味します。企業にとっての「健康」は「商売が繁盛すること」ですので、人間に対して使われる「ご清祥」と同じ意味として使って良いでしょう。
この「ご繁栄」「ご盛栄」を使う場合は「○○様」ではなく「貴社」とすると、言葉の意味とバランスが取れます。
この他にも「ご発展」「ご隆昌」などがありますが、いずれも勢いが盛んな様を表す言葉ですので、企業に勢いがあることを祝う言葉として広く使われています。
「ご清祥」はメールでも使える
「ご清祥」という言葉は、もともとは手紙でしか使われない言葉でした。手紙という改まった形式に相応しい言葉として現代まで引き継がれています。
しかし、時代と共にメールで重要な用件を伝えることも多くなりました。一昔前までは「簡単な用件はメール、重要な用件は手紙または対面」とされていたので、メールで「ご清祥」を使うことはほとんど無かったのですが、現代ではそうでもありません。
特にビジネスメールでは「ご清祥」から始まるものも頻繁に見ることができます。
しかし、メールを送る相手の年代によっては「ご清祥」が合う内容の用件をメールで送ってくる、という行為自体に疑問を持つ人もいます。そのことを頭に入れた上で文章を構成しましょう。