間違いやすい「すなわち」の意味と使い方・類語と例文

「すなわち」の意味と使い方

ビジネスシーンでも良く使われる「すなわち」には3つの意味があります。

別の観点から説明する「すなわち」

1つ目は「ひとつの物事を別の観点から説明する場合のすなわち」です。

・彼女は私の父の妹、すなわち私の叔母です

・弊社の支点は東京・大阪・名古屋、すなわち東名阪に置いています

・母乳で育つ動物、すなわち哺乳類が人気です

この「別の観点から説明するすなわち」は「つまり」に置き換えても不自然でないことがポイントです。

「つまり」は物事を別の観点から見た場合に使われる接続詞です。その「つまり」と同じ働きをするのが、この場合の「すなわち」であると言えます。

2つの物事の間に関係がある「すなわち」

2つ目は「ある2つの物事の間に無視できない関係がある場合のすなわち」です。

・ここは世界一の面積を誇る国、すなわちロシアです

・経済の中心は日本の首都、すなわち東京です

・私は花粉アレルギー、すなわち花粉症です

この「2つの物事の間に関係があるすなわち」は、「すなわち」の前後がイコールになることがポイントです。「日本の首都=東京」「花粉アレルギー=花粉症」と、それぞれの前後が同じ意味となっています。

言葉にかえるなら「まさしく」「要するに」などです。それぞれの例文を「まさしく・要するに」と変えても意味が変わらないことを確認しておきましょう。

後文が前文の当然の結果である「すなわち」

3つ目は「文章の後文が前文の当然の結果であるすなわち」です。

・一生懸命に勉強をする、すなわち成績は上がる

・質の良い睡眠をとる、すなわち疲れは回復する

・誠意を込めて接する、すなわち相手との信頼関係が築ける

この「後文が前文の当然の結果であるすなわち」は、「すなわち→○○」の形になるのがポイントです。言葉にするなら「その結果・当然」などでしょう。一般的・根本的な物事の結果を「すなわち」で表すと、この形になります。

もちろん、どんな事象も必ず予定通りになるとは限りませんが、この場合の「すなわち」では「何事もなければ当然そうなるだろう」という結論を表します。

「すなわち」の文法的品詞と漢字

以下では「すなわち」の文法的な品詞と3つの漢字について解説します。

「すなわち」は接続詞

「すなわち」は品詞で言えば「接続詞」です。先に解説した3つの意味からもわかるように、どの場合の「すなわち」も前後を接続する役割をしています。

接続詞には「しかし・つまり・また・さらに」などさまざまありますが、その中でも「すなわち」は言葉の響きに特徴があり、フォーマルな場面でも使いやすい言葉です。

漢字では「即ち・乃ち・則ち」

「すなわち」には、主に3つの漢字があります。「即ち・乃ち・則ち」です。どれも同じ「すなわち」と読みます。
「すなわち」を漢字で書く場合に、もっとも一般的なのが「即ち」です。他2つの漢字がまったく使われないわけではありませんが、「乃ち・則ち」が使われる頻度はかなり低くなるでしょう。

「即」には「すぐに・たやすく」という意味があります。これは「すなわち」が持つ3つの意味に共通したイメージです。そのため「すなわち」には「即ち」が使われることが多いようです。

「すなわち」は「すなはち」とも書く

「すなわち」は正式な表記です。しかし「すなはち」と書いても間違いではありません。「すなはち」は古文的な書き方ですが、読みは現代の「すなわち」となります。

しかし、「すなわち」の「わ」を「今日わ天気が良い」などとはしないから、という意味で「すなはち」にしているのであれば隠れた誤りと言えるかもしれません。

「すなわち」の言い換えに使える類語

以下では「すなわち」の言い換えに使える類語について解説します。

つまり

「つまり」とは、「つまり」以前に話した事柄を要約する役割をします。

・彼は仕事以外の部分でもクライアントへの心遣いが行き渡っていて、つまりは完璧な営業マンだ

・ここからならバスで30分、地下鉄で10分かかる、つまり地下鉄の方が早く到着できる

・今期の目標は前年を10%上回ること、つまり前年比110%だ

「つまり」は「すなわち」よりもさらに意味や使い方が浸透している言葉なので、気負わずに使えるというメリットがあります。

しかし、目上の人や取引先の人との会話で「つまり」を使いすぎると、相手の話がわかりにくいという嫌味に受け取られることがあります。「つまり」は多用しすぎないように注意しましょう。

言ってみれば

「言ってみれば」とは「言い換えれば」という意味です。

・彼女は言ってみれば女優のような人だ、いつも美しく凜としている

・部長は言ってみればカリスマだ、人を惹きつける魅力に溢れている

・彼は仕事ができないだけでなく努力をしない、言ってみれば落ちこぼれだ

「言ってみれば」は、その人や事柄の説明の前でも後でも使うことができます。「言い換えれば」と同じ意味なので、どちらの言葉を使っても「すなわち」の類語として機能します。

先に「言ってみれば」で何かに例えても良いですし、どんな人や事柄かを説明してから何かに例えても問題ありません。