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「御臨席」と「御列席」の使い分け・意味と例文
「列席」とは、出席することであり、出席者の社会的な地位に関係なく一般に使用することができます。
一方、「臨席」は、本来、高い身分の人が出席する場合に使われてきた言葉です。現在も、天皇・皇后両陛下と皇太子殿下、宮様が行事に出席されるときには、「ご臨席を仰ぐ」とか「ご臨席を賜る」という表現が用いられています。
言葉というものは、社会のニーズによって意味が変化してゆきます。結婚式場が「御臨席」という言葉を使っている場合や、結婚式の当事者が使いたいと思うのであれば、もちろん自由に使えます。
しかし、言葉の本来の意味にこだわるのであれば、「御臨席」は使わず、来賓も含めてすべて「御列席」とすべきでしょう。
御臨席・御列席の例文
目上の方へ使う場合の「御臨席」と「御列席」
「御臨席」「御列席」はいずれも主催者側が使う言葉です。そのため「御」を付けて丁寧な表現にされています。
厳密に言えば「臨席」「列席」だけでも敬語表現として使えないことはありません。しかし「御」を付けた状態が一般的な表現ですし、より丁寧な表現となるため、ほとんどの場合は「御臨席」「御列席」と「御」をつけた状態で使われています。
目上の方以外にも使える「御臨席」と「御列席」
相手が目上の方でなくても、改まった場への招待や文章での招待であれば「御列席」など目上の方と同じ表現を使います。
自分と同等の方や部下などであっても「来てください」「来てくれてありがとう」などの表現は失礼です。
言葉は相手との関係性や自分との立場の違いで選ぶことができますが、敢えてどの相手にも同じように敬意を払った言葉を選ぶことで、けじめの気持ちや誠意を表すことができます。
「御臨席」「御列席」の類語・言い換え
「陪席(ばいせき)」
「陪席」とは「自分が今、目上の方や位の高い方と同じ席にいる」という状態を表す言葉です。
そのため「陪席」を「御陪席」として自分以外の人へ向けて使うことはほとんどありません。「このような場に陪席させていただき、大変うれしく思います」など、自分が置かれている状況を謙虚に表現する場合にのみ使います。
「来臨(らいりん)」
「来臨」という言葉は「その場に出席する」という意味です。
「来臨」は自分や自分の身内に対しては使わない言葉です。「臨」という文字には「高いところから見下ろす」という意味があります。
「親臨(しんりん)」
「御臨席」と近いニュアンスの言葉に「親臨」があります。
「親臨」の「親」という文字には、父親・母親などの意味の他に「天皇が自らすること」という意味もあります。「親政」「親裁」などに使われている「親」も同じ働きです。その「親」と、上から見下ろす意味の「臨」が使われていることからも、一般的には使えないということがわかります。
「御臨席」「ご列席」の間違った使い方
招待された方が使う言葉は「出席」
「御列席いただければ幸いにございます」などの言葉を向けられた側、つまりは招待を受けた側は「喜んで出席させていただきます」など「出席」という表現を使って言葉を返します。
他にも、会の規模や内容によっては「参加」を使っても良いでしょう。「ぜひ参加させていただきます」「ご参加ください」など比較的気軽に使えるので便利です。
身内には「御臨席」「御列席」は使わない
自分の身内がその場に出席することについても「御臨席」「御列席」などは使いません。
身内の場合は自分のことを話すのと同じように謙譲表現を使います。
「本日は私の家族も出席させていただきます」「弊社社員もお招きいただき感謝いたします」など、親族や自社社員については「身内」という感覚で話さなければならないことに注意しておきましょう。
大げさな表現に注意
自分が主催者側だからといって、どんな場合でも「御臨席」「ご出席」を使わなければならないわけではありません。
「御臨席」はかなり位の高い方へ使うのが基本ですし、場も格式の高い式典などにある程度限られてきます。「御列席」については「御臨席」ほどではないにせよ、やはり格式の高い表現です。結婚式や葬儀など、フォーマルな場であれば問題はありません。
しかし、自社が主催したイベントや会合などであれば「ご出席」などが良いこともあります。
「ご出席」も目上の方に相応しい、丁寧な表現です。謙遜の意味を込めて「ご出席いただき誠にありがとうございます」としたも良いでしょう。