その「各位」は失礼?様との違いや社外への正しい使い方・例文

各位 の意味

ビジネスメールやビジネス文書の頭に「〇〇各位」と書かれているのを見かけたことがある、という人は多いでしょう。

しかし、この「各位」を自分で使おうとすると、その意味や使い方に迷いやすいものです。

以下では、「各位」の意味と主に使われるシーンについて解説します。

「各位」とは一人ひとりに対しての敬称をまとめたもの

「各位」とは、多数の人に対して、それぞれに敬意を払って言う敬語表現です。

簡単に言えば、そのメールや手紙を宛てる人全員に対して「〇〇様」と言っているのと同じ状態を作るのが「各位」です。

たとえば、ある5人を宛先に入れたメールの場合に「Aさん・Bさん・C課長・D部長・E専務」と書くところを、各位を使えば「宛先各位」だけで済ませることができます。

これは宛名の省略と考えることもできますが、実際のビジネスシーンでは、省略よりもメール作成の簡素化や各宛名の役職の違いに配慮した結果として、使われることが多いようです。

各位の読み方は「かくい」

各位は「かくい」と読みます。

この各位には「各(大勢の中のそれぞれの人」「位(様)」という意味が含まれていて、その意味を反映した読み方が、この「各位」です。

【各位の例文】
株主各位
拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
お客様各位
平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
□□会参加者各位 会場変更のお知らせ
本日、臨時総会において参加者各位のご賛同により会長に就任致しました。お客様各位のご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
つきましては、各位のご参加・ご支援を伏して懇願申し上げます。

「各位」「様」「御中」の違いと注意点

ビジネス文書やビジネスメールでの宛名では「各位」「様」「御中」のいずれかが使われることが多いでしょう。

「各位」は大勢の人それぞれに対する敬称

各人それぞれに「様」をつけていることと同じ状態を表します。そのため「○○各位」とすれば、「○○に所属している皆様」という意味になるのです。

御中と違うのは、団体に所属している複数の人への敬称となるところです。

  • ○ 株式会社×× ○○部各位</st rong>
  • × 株式会社××御中 ○○部

「様」は一人につける敬称

名前の後につけることで、相手を敬っていることを表現できますし、文章でも口頭でも、単数でも複数でも自由に使うことができます。

注意
ただし、すでに敬称が含まれている役職などの後に「様」をつけることは誤りです。
  • ○ 田中部長
  • × 田中部長様

「御中」は団体につける敬称

企業などの団体に対してつける敬称です。口頭で使われることはありません。宛名は「○○御中」、口頭であれば「御社」、文章内では「貴社」とします。

したがって、宛名として団体そのものにつける敬称は御中となります。

  • ○ 株式会社△△御中
  • × 株式会社△△御社

各位の使い方と注意点

各位という言葉自体が相手への敬称である「様」を含んだ表現であるため、目上の人に使うこともできます

2人以上の複数の人に対してならば、相手が取引先などであっても「○○商事 ご担当者各位」として問題ありませんし、社内の上司を含む複数名に対して「○○部 各位」「取締役 各位」とすることも同じです。

メールや書面の宛名などで「○○の皆様へ」と伝えたい時に「○○各位」とすれば「各人の位に敬称をつけて宛てている」ということを表現できます。

ただし、この「各位」という言葉の意味は人によって認識が異なる場合があります。

「各位」を失礼と認識する人もいる

本来、敬称の意味を含んでいるので、目上の方に対しても使える「各位」ですが、「様」がついていないことで「敬称を省略されていると感じる」、「各位」という文字面に「その他大勢というイメージを持っている」などの理由で、気分を害す人もいます。

そのため、相手によって「○○各位」の中に含めてしまうことが不安な場合は、宛先全員の連名で記載したほうが良いでしょう。

「各位」を使う目安は宛先が4名以上から

メールや文書の宛名に「各位」を使うのは、宛先に含まれるのが少なくとも4名以上の場合からです。

宛先が2人や3人程度であれば、「各位」を使わずに「〇〇さん・〇〇さん」など、通常の宛名通り書きます。

宛先が2人~3人程度の場合に「各位」を使うと、むやみに省略をしているように感じる人もいるでしょう。

また、メールや文書の内容、または人によっては「2名(3名)程度の宛先なのに各位が使われているということは、何かの誤りで宛先が漏れているのではないか」と懸念する人が出るかもしれません。

反対に、4名以上の宛名で「各位」が使われておらず、宛名が羅列されているとビジネス感を失いやすくなります。

「各位」に様などの敬称をつけるのは誤り

「各位」には、敬称の意味合いが含まれています。そのため、「各位」の後に様や殿などの敬称はつけません。

「各位」は「各(それぞれの)位(地位・役職・立場)」と書きます。

この「位」の部分に、敬称の意味合いが含まれているため、「宛先各位様(殿)」などとするのは誤りです。各位と様・殿の意味合いがかぶってしまい、二重表現となります。

同様に「田中部長、佐藤課長各位」なども誤りです。この場合は、それぞれの名前と名称を書いているので、「各位」をつける意味がありません。

ただし、「お客様」や「お得意様」などの場合は、敬称の様が含まれていても、それ自体独立した名詞であるため、様を外さずに「お客様各位」・「お得意様各位」という使い方をします。

また、通常は様を付けて呼ばれる株主・会員・利用者などに対しては、「株主各位」・「会員各位」・「ご利用者各位」となります。

注意
しかし、この言葉はあくまでも文書言葉で、会話やスピーチ、私的な書簡などでは使いません。