【目上へ】お引き立て の意味と使い方・例文

お引き立て の意味と使い方・例文

「お引き立て」は、「ご愛顧」と同義語です。企業や商店において、顧客(お得意様、得意先)から贔屓(ひいき)にしてもらい、相当額あるいは長年の取引実績を得ていることを、伝統的な言葉でそう呼びます。

ただし、顧客やお得意様などもそうであるように、「お引き立て」や「ご愛顧」という言葉には、取引きの金額・回数・年数といった数値的な客観的条件があるわけではありません。

ビジネス文書の中にはこの言葉が頻繁に登場しますが、たった一度だけの取引実績しかない相手であっても、あるいはまだ取引実績のない相手であったとしても、「お引き立て」や「ご愛顧」に対する感謝の言葉を書くことが一種のマナーになっています。

お引き立てに対する謝辞の例文

平素は一方ならぬお引き立てに与り、厚く御礼を申し上げます。(冒頭の挨拶文)
日頃より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。(冒頭の挨拶文)
弊社は、来たる平成26年4月1日を以って、創業50周年を迎えます。これも偏にお客様各位の変わらぬお引き立ての賜物と衷心より感謝申し上げます。
今後とも倍旧のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

「お引き立て」の類語表現

「お引き立て」には「ご贔屓」「ご愛顧」などの同義語があることはお伝えしました。これらの言葉は、相手がこちらを際立たせるために目をかけてくれることを意味します。

この「お引き立て」にはいくつかの類語表現もあり、この類語の持つニュアンスは「一緒に頑張ってくれる」「力を貸してくれる」などの「協力」です。

「お力添え」

相手がこちらのために、何らかの力を添えてくれることを「お力添え」という言葉で表すことができます。

この「お力添え」はあくまでも「力を添える」というものなので、こちらも精一杯の努力をしていなくては成り立ちません。「自分もできることをしっかりやるので、それでも足りない部分を助けて欲しい」という意味で相手に伝える表現です。

「お引き立て」がお礼の言葉の中で使われることに対して、「お力添え」はお礼だけでなくお願いや依頼の場合にも使うことができます。「何卒お力添えのほどお願い申し上げます」などとすることで、相手へ協力を依頼します。

「ご尽力」

「お力添え」よりも少し強い、または大きな力を借りたい場合には「ご尽力」という表現を使うことができます。

「ご尽力」には「力を尽くす」という意味があり、相手へ「私のためにあなたの力を尽くしてください」ということを伝える言葉です。

「ご尽力」も「お力添え」と同じでお礼や依頼に使うことができます。また、状況によってはお詫びの際にも使うことができるでしょう。「○○様にはご尽力をいただきましたのに、不甲斐ない結果となり誠に申し訳ございません」などです。

お礼の場合には「ひとかたならぬ」という「並ではない」「非常に大きな」を表す言葉と一緒に使うことで、より一層格式のある言葉にすることができます。「○○様にはひとかたならぬご尽力をいただき感謝申し上げます」と伝えると良いでしょう。

「お引き立て」「ご贔屓」「ご愛顧」の使い分け

「お引き立て」「ご贔屓」「ご愛顧」は同義語であり、状況に合っていればどの言葉を使っても問題はないでしょう。

しかし、使い分けができるようになると、その場や相手に対して最適な言葉を選択することができます。

「お引き立て」はフォーマルな言い方であるため、使う状況に合ってさえいればどのような相手に使っても違和感がありません。

「いつもお引き立てをいただきありがとうございます」などとすることで、スマートに感謝の気持ちを伝えることができます。

「ご贔屓」は、やや親しみやすい印象を持ってもらうことができます。

「贔屓」という言葉が、昔からの商人言葉であることから、商人の雰囲気を出すためです。「いつもご贔屓にしていただきありがとうございます」などとすることで、重すぎず、かつ柔らかい印象のお礼を伝えることができるでしょう。

「ご愛顧」はどちらかと言えば、文章に合った表現です。口頭でも使うことはできますが「ご愛顧」の後に続く言葉は「〜にあずかり、誠にありがとうございます」などが主なので、やや硬い印象となることがあります。これが文章内であれば大変自然で丁寧な表現となるでしょう。