目次
「微塵もない」の意味
まずは「微塵もない」の意味について解説します。
「微塵もない」とはその気持ちが全くないという意味
「微塵もない」は「みじんもない」と読みます。意味は「全くない、少しもない」です。
今は仕事が上手くいっているから、転職しようという気持ちは微塵もない
彼を裏切って手柄を挙げようだなんて、そんな気持ちは微塵もありません
「微塵もない」の「微塵」とは、ほんのわずかなチリ(ごみ)のことです。「目に見えるかどうかわからないような、小さなチリほどの気持ちもない」という様子を「微塵もない」と表現します。
「微塵」はわずかと言っても、チリがあることに変わりはありません。しかし、「微塵もない」は「(その気持ちが)全くない・少しもない」という意味で使われます。
「微塵もない」の使い方と短文・例文
次に、「微塵もない」の使い方を例文と一緒に解説します。
「微塵もない」は主に人の感情について使う
「微塵もない」は、主に人の感情について使います。形のある物について使えないと決まっているわけではありませんが、物については「ひとつもない」「少しもない」「ほとんどない」など、他の表現を使った方が良いでしょう。
【人の感情】私の中に、彼とやり直したいという気持ちは微塵もない
【物】セールは大盛況で、会場にはもう商品がひとつもない(本当にひとつも商品が残っていない様子)
【物】担当者のミスで、備品のクリアファイルがほとんどない状態だ(あと数枚は残っている様子)
「微塵もない」は目上の人にも使える
「微塵もない」は、人の感情を表す言葉です。そのため、「微塵もない」という言葉自体は目上の人にも使えます。ただし、目上の人との会話に相応しい敬語と一緒に使うことが前提です。
① 私がライバル社に寝返るだなんて、そんな気持ちは微塵もございません
② 部下の鈴木君は非常によくやってくれています、彼に辞めてほしいだなんて、微塵も考えたことはありません
①の例文は「微塵もない」を、敬語に合わせて「ございません」としている例です。「微塵もない」を目上の人との会話で使う多くの場合は、この「微塵もございません」という形になります。
②の例文は、「微塵もない」の形を変化させた表現です。「彼に辞めてほしいと考えたことは微塵もございません」としても同じ意味として伝えられます。
「微塵もない」の類語
次に「微塵もない」の言い換えに使える類義語について解説します。
「これっぽっちもない」は全くない・少しもない
「これっぽっちもない」とは、「微塵もない」と同様に「全くない・少しもない」という意味です。「微塵もない」と同じように、人の気持ちについて使います。
この会社に定年まで勤めるなんて、彼の中にはそんな気持ちこれっぽっちもないと思うよ
今度の休日はのんびりしようと思ってたから、旅行に行くつもりなんてこれっぽっちもなかったのだけど、友達に誘われたから行くことにした
「これっぽっちもない」の「これ」は、自分の気持ちの中にある、その事柄についての可能性を指しています。その「これ」で指した可能性が少しもない、という意味で「これっぽっちもない」と表現するのです。
「これっぽっちもない」も、「微塵もない」と同様に「その気持ちがないこと」を強調しますが、「微塵もない」よりは、やや強調が弱い言葉です。
「毛頭ない」は毛ほどもないという意味
「毛頭ない(もうとうない)」も、「微塵もない」と同様に「全くない・少しもない」という意味です。「毛頭」とは、髪の毛の先のことです。「(そんな気持ちは)髪の毛の先ほどもない」という意味で使われます。
田中君には、姑息な手を使ってライバルを出し抜こうなんて、そんなつもりは毛頭ないと思います
彼の気持ちはうれしかったけど、今の私には結婚なんて毛頭考えられなかった
「微塵もない」の英語表現
最後に「微塵もない」の英語表現について解説します。
「微塵もない」は英語で「there is not a scintilla of 」
「微塵もない」を英語で表す場合は「there is not a scintilla of 」を使います。
There is not a scintilla of risk in the business.(その事業には微塵のリスクもない)
He has thought that there was not a scintilla of risk in the business.(彼はそのビジネスにリスクがあるとは微塵も思っていなかった)
「there is not a scintilla of 」の「scintilla」とは、「ごくわずか・微量」を意味する単語です。疑問文や否定文で使われる単語であるため、「微塵もない」の意味として使われます。