目次
恐れ入ります の2つの意味
日常でよく耳にする「恐れ入ります」には、2つの意味があります。同じ言葉ですが、使うシーンや使い方によって、その意味が変わるのが「恐れ入ります」です。
まずは、以下で「恐れ入ります」の2つの意味について解説します。
① 感謝の意味の「恐れ入ります」
「恐れ入ります」には、相手の言動に対してのお礼や感謝を表す意味があります。相手からの労いや賞賛に対して、身を伏せてへりくだり、その言葉を受け取る、というイメージです。
今回の企画書、とても良かったよ
→恐れ入ります、周囲の協力があり大変助かりました
親切にしてくれてありがとう
→とんでもないことです、恐れ入ります
目上の人やお客様からのお礼や感謝の言葉は、「ありがとうございます」という言葉で受けても問題はありません。
しかし「ありがとうございます」だと、相手の言葉に自分も賛同しているように思われることがあります。
② 恐縮を表す「恐れ入ります」
「恐れ入ります」は、「恐縮です」とほぼ同義の言葉であり、「すみません」や「申し訳ありません」などとも類似しています。
この書類は私が先方に届けておくよ、ついでがあるから
→ありがとうございます、恐れ入ります
会場の電気がついていなかったので、勝手につけてしまったのですが大丈夫でしょうか
→大変恐れ入ります、お手数をおかけいたしました
「すみません」が単体で軽い挨拶の言葉となっているように、「恐れ入ります」も会話や書簡文で潤滑油的な働きをしており、「恐れ入りますが」という形で依頼の際によく使われます。
恐れ入ります・恐縮ですの例文(1)
恐れ入りますの例文(2)
手紙文での書き言葉としての用例
※ 上記の「恐れ入ります」は、「感謝」の意味での用例です。
※ 上記の「恐れ入りました」は、「感謝」の意味での用例です。
※ 上記の「恐れ入りました」は、「感心」の意味での用例です。
会話での話し言葉としての用例
※ 上記の「恐れ入ります」は、どちらも「恐縮」の意味での用例です。
※ 上記の「恐れ入りました」は、どちらも「感心」の意味での用例です。
※ 上記の「恐れ入ります」は、どちらも会話を円滑にするためのクッション言葉としての用例です。
「恐れ入ります」の使い方
「恐れ入ります」には大きくわけて2つの意味があるとお伝えしました。
以下では、そんな「恐れ入ります」の主な使い方について解説します。
目上の人への感謝を表す場面で使う
「恐れ入ります」という言葉には、自分の身には余るような待遇に、相手の心遣いをかえって申し訳なく感じる、身の縮むような感謝の思い、という意味があります。
感謝を伝える言葉には「ありがとうございます」があるのですが、「ありがとうございます」には「そのまま受け入れる」というニュアンスが強く、謙遜や「遠慮しながら受け取る」という微妙な心情を表すことが難しい言葉です。
そこで「恐れ入ります」が使えると、自分の気持ちを相手へダイレクトに伝えることが容易となります。
特に、目上の人に褒められた時などに「恐れ入ります」と一言伝えるだけで「恐縮しています」「遠慮したくなるようなありがたい言葉です」という心情を相手へ返すことができるでしょう。
質問をする際のクッション言葉として使う
また、別の使い方で「申し訳ございませんが」という意味を表すクッション言葉としても使うことができます。
「恐れ入りますが、お名前をお伺いできますでしょうか」などとすることで、不躾な印象を無くすことができるからです。
「恐れ入りました」の意味
「恐れ入ります」と似た言葉に「恐れ入りました」があります。一見、恐れ折りますが過去形になっただけのようにも見えますが、意味がまったく変わるので、「恐れ入りました」は別の言葉として覚えておきましょう。
「恐れ入りました」とは賞賛の言葉
「恐れ入ります」が一見過去形になるような「恐れ入りました」という言葉ですが、「恐れ入ります」と「恐れ入りました」は全く違う意味を持つ言葉です。
「恐れ入りました」は、相手の腕前や実力を称える言葉です。
「すばらしいですね」「感激しました」などと同様で「恐れ入りました」と言えば「あなたの実力に感服いたしました」という意味になります。この意味では他に「お見それいたしました」という言い方もあり、「恐れ入りました」と同じ意味で使われます。
「恐れります」の言い換え
「恐れ入ります」は複数の意味や使い方がある言葉です。そのため、言い換えに使える言葉も多くあります。
以下では、その中でも比較的言い換えとして機能しやすい言葉をご紹介します。
恐れ入りますの類義語は「かたじけない」
恐れ入りますの言い換えに使える類語には「かたじけない」があります。
「かたじけない」は、少々時代錯誤のような印象を持たれる言葉ですが、大変品格のある表現のひとつで、年配の方などには好感を持ってもらえる言葉です。
「何から何までお世話になりまして、誠にかたじけなく存じます」などと使うことで、「ありがとう」という言葉を使わずに、相手への最大の感謝を伝えることができます。
また、「痛み入ります」という言葉も「恐れ入ります」と同じ意味として使うことができます。