「ひるむ・怯む」の意味と類語・使い方と例文も

「ひるむ」の意味

まずは、「ひるむ」の意味について解説します。

「ひるむ」とは気力がくじける様子

「ひるむ」とは、勢いに押されて気力がくじけてしまう様子のことです。

彼は部長の恫喝にひるんでしまった

ドライブレコーダーには、相手がひるむ様子が映し出されていた

 

「ひるむ」が表すのは、その人の様子であり、何か具体的な言動をしたから「ひるむ」と表現するわけではありません。その人が、相手の勢いに押されてたじろぐ様子が「ひるむ」です。

「怯む」の読み方は「ひるむ」

「ひるむ」は漢字で「怯む」と書きます。「怯む」の読み方は「ひるむ」のみで、他の読み方はありません。

「ひるむ」を文字にする場合、「ひるむ」「怯む」のどちらを使っても問題ありませんが、「怯む」と漢字で書いた方が読みやすくはなるでしょう。

「ひるむ」の使い方と例文

次に、「ひるむ」の使い方を例文と一緒に解説します。

「怯む」は怯んだ・怯んでと変化する

「ひるむ」は、ひるんだ・ひるんでと変化します。「ひるんだ」「ひるんで」の後に続くのは、その後の様子や行為です。

私はあのとき、相手の表情に怯んだばかりに、思わず後ずさっていた

彼はクライアントの勢いに怯んで、何も言うことができなかった

この他にも、怯みそう・怯みかけた、などと変化させて、怯むまでの経過を表すこともできます。

「怯むことなく」は怯まない様子

「怯むことなく」とは、怯まずに・怯むことをせずに、という意味です。相手に対して堂々と立ち向かう様子を表します。

私は怯むことなく、部長に自分の意見を伝えた

その子供は、怯むことなく家の外に出てしまった

「怯むことなく」には、相手に立ち向かう様子だけでなく、「恐ろしさを知らない」という意味でも使います。

恐怖や危険を知らず、人や物・場所に接したり、触れたりすることも「怯むことなく」で表現できます。

「ひるむ」の言い換えに使える類義語

次に、「怯む」の類語について解説します。

「尻込みする」は気が進まない様子

「ひるむ」と似た意味を持つ言葉に「尻込みする」があります。「尻込みする」とは、気が進まず、意思が感じられない様子です。

彼はクレームの後処理に尻込みした

私は急であまりに大きな幸運に恵まれ、思わず尻込みしてしまった

「尻込みする」とは、足を前に進めたくないような、消極的な気持ちを表します。「ひるむ」のように、相手に怯えるという意味はありませんが、嫌がって気力がくじけそうになるというニュアンスは似ているかもしれません。

また、「尻込みする」はネガティブな場面だけでなく、あまりの急な幸運に気後れするという意味でも使えます。

「たじろぐ」は相手や状況に威圧される様子

「たじろぐ」は、「ひるむ」と非常に似た意味を持つ言葉です。

彼はコンビニ強盗に遭遇し、思わずたじろいだが、勇気を出して非常ベルを鳴らした

私は彼に肩を突かれてたじろいで倒れた

「たじろぐ」には2つの意味があります。1つは「ひるむ」と似た意味で、直面する物や人に威圧されて思わず後ずさるような気持ちです。

それとは別に、もう1つ「相手の力に押されてよろめく」という意味もあります。

相手の力に押されてよろめくという意味の「たじろぐ」は、物理的な動きを表す、ということも覚えておきましょう。

「辟易」は圧倒されて思うようにできない様子

「辟易(へきえき)」には、不快なことが重なってうんざりするという意味の他に、「相手の勢いに圧倒されて、自分のしようと思ったことができなくなる」という意味もあります。

私は会社から出ようとしたが、泣きながら悔しがる彼に辟易してもう少し会社に留まることにした

クライアントの怒りはなかなか収まらず、私はトイレに行きたかったが辟易してしまった

「怯む」の類語として使う意味での「辟易」は、少し古い表現です。そのため、現代では「辟易」と言うと、うんざりするという意味に解釈されます。

「ひるむ」の言い換えとして「辟易」を使いたい場合は、状況の説明を具体的にするよう心がけた方が良いでしょう。

「ひるむ」の英語表現

最後に、「怯む」の英語表現について解説します。

「怯む」は英語で「flinch」

日本語の「怯む」を、英語で表す場合には「flinch」を使います。

He flinched at the sight of the accident.(彼は事故の現場に怯んだ)

Don’t be afraid, don’t flinch, don’t let yourself be bound by anything.(恐れてはいけない、怯んではいけない、縛られてはいけない)

他にも「be hesitant(萎縮する)」、「I get cold feet(怖じ気づく)」なども「怯む」と似た意味で使えます。

少し変った表現では「I have butterflies in my stomach(お腹の中に蝶がいる=怯んでいる・緊張している)」なども英語らしい表現です。