間違えやすい「ご入用」の意味と使い方/例文

ご入用

「ご入用」の意味とは

「ご入用(ごいりよう)」という言葉は「聞いたことがあるような気もするし、使ったことがあるような気もするけど、いまいちピンと来ない」という人が多い言葉です。なんとなくニュアンスとして「要るもの」ということを感じ取ることができるという人もいるでしょう。

この「ご入用」という言葉は敬語であり、謙譲語としても使うことができます。

丁寧語の「ご」を省くと「入用」となりますが、パソコンでの漢字変換などでは「入り用」「入用」とそれぞれが候補として出てきます。

厳密に言うと「入り用(いりよう)」と「入用(にゅうよう)」では、若干意味が異なります。

  • 「入り用」は「ひつようなこと、金銭が要ること」
  • 「入用」は「用を果たすために必要なことやもの」

これが「ご入用」という言葉になると、「用を果たすために必要なものやことや金銭」を表し、目上の人へ使う謙譲語へと変化します。

目上の人へ「○○はご入用ですか?」などと使うことで「○○が必要なら、私が準備します」という申し出の言葉になります。

本来、目下の者が目上の人を助ける、という行為は相手にとって失礼になることが多いでしょう。これは「目上の者が目下の者を助ける、頼られる」という構図が一般的とされているためです。目上の人より力が不足している目下の者に助けられるということは、目上の人のプライドを傷つけることにもなりかねません。

しかし状況によっては、目下の者からの助けが必要なこともあるでしょう。また、目下の者が「あなたの助けになるのであれば、私が力を尽くします」と目上の人へ申し出る行為自体が、目上の人への敬意となることもあります。
そんな時に「ご入用」という言葉を使えば、その心情を一言で表すことができるのです。

たとえば上司と一緒に外出をした時に、上司が十分な金銭を持ち合わせておらず、このままではお客様の前で恥を掻いてしまうという場面で「ご入用でしたら、私が」と一言伝えるだけで、上司は意味を把握することができます。

ここで「お金ありますか?」「私持っています」などストレート過ぎる表現を使うと、目上の人の面目を潰してしまいますし、お客様の前でスマートなやりとりをすることもできません。「ありますか?」「必要ですか?」などの表現は、基本的に相手と対等の立ち位置で使う言葉ということもあって、「ご入用」が適していると言えます。

「入り用」「入用」は自分自身にも使える

丁寧語の「ご」を付けなければ、「入り用」は自分自身へも使うことができます。

「最近何かと入り用でして」などとして「最近お金を使いすぎました」ということや「今お金があまりないんです」ということを目上の人へ伝えることができます。

お金事情というのは、デリケートなことという認識で、人に詳しく話したくないという人は多いものです。そんな時に「入り用」という言葉を自分に向けて使うと、相手へ気を遣わせることなく、お金事情をやんわりと伝えることができます。

一方「入用」と書く「用を果たすために必要なことやもの」については、自分自身へ使うことはほとんどないでしょう。この場合は「○○が必要です」「○○を準備しなくてはなりません」など、もっと具体的な言葉が使われています。

「ご入用」と「ご必要」

言葉の音が似ていることから「ご入用」と「ご必要」は混同されることがあります。

「ご入用」という言葉自体を知らなかったり、意味を曖昧に理解していると「ご必要」という言葉を選んでしまいがちです。「ご必要」という言葉を目上の人へ使えないわけではありませんが、「必要」は「必ず要る」と書きます。

注意
「必ず要るものを持たない、持っていない」と相手によっては、責められている印象を受ける人もいますので注意しましょう。「必要」「不必要」という言い方自体が、同等の立場で使われる言葉ということもあり、丁寧語の「ご」がついた「ご必要」自体使う場面はほとんどありません。

「ご入用」と「ご用命」

この二つは音ではなく、「相手から望まれているものごと」という意味の面で混同しやすいと言われています。「用命」という言葉には「注文する、用を言いつける」という意味があります。

丁寧語の「ご」を付けて「ご用命」とすることで、「目上の人から受けた注文、言いつけられた用」ということになり「ご用命いただきました○○でございます」「ご用命の通り○○をいたしました」などと使われます。主には目上の人から発せられた命令に従って行動をするという動作です。

「ご入用」は基本的には目下の者から目上の人へ申し出る行動ですので事の発端の時点で「ご用命」なのか「ご入用」なのかを判断することができるでしょう。

「ご入用」の言い換え

「ご入用」という言葉は、目下の物から目上の人へ「要るものを準備しましょうか」と申し出る、という珍しい場面を表します。

この視点を目上の人へ移してみると、「目下へ何かを欲しいと求める」ということになり、そのことを「所望」、目上の人が所望するものごとを、敬語にして「ご所望」ということができます。

そこで「ご所望でしたら」などとして、相手の望みにあったものを準備するということを表すこともできるです。

注意
この「ご所望」は「もの」に対して使われるため、物質的に実在するものを準備するという場面でしか使うことはできません。