目次
「図らずも」の意味と使い方
「図らずも」とはたまたま出た結果
「図らずも(はからずも)」とは、偶然たまたま出た結果のことです。
・図らずも、取引先と趣味の話で盛り上がって契約にこぎつけた
・知人から食事のお礼にもらった宝くじで、図らずも大金を手に入れてしまった
・冷蔵庫にあるもので料理をしたら、図らずもこれまでで最高の味だった
「図らずも」には「当初から意図したり、念頭においていたりしたことではなく、たまたまそうなっただけの結果」という意味があります。つまりは「偶然」「たまたま」です。
「図らずも」は特に悪い意味ではない
「図らずも」は、たまたま・偶然という意味に留まります。特に良い意味・悪い意味ということはありません。
しかし、「図らずも」という言葉には良い・悪いの区別はなく、あくまでもその出来事の偶然性を示すのみです。
「図らずも」の誤った表現
「図らずも」は、他の言葉と混同されやすく、いつの間にか存在しない言葉に形を変えていることがあります。以下では「図らずも」から派生したと思われる、誤った表現について解説します。
「図らずも遠からず・図らずとも」は誤り
「図らずも遠からず」「図らずとも」は誤った言葉です。どちらも混同された元の言葉は「当たらずといえども遠からず」ではないかと思われます。
「当たらずといえども遠からず」とは、大正解ではないがおおよそ正解しているという意味の表現です。
「図らずもがな」は誤り
「図らずもがな」も誤った言葉です。恐らく「言わずもがな」と「図らずも」が混同されているのだと思われます。
「言わずもがな」とは、言う必要がない、言わなくても良い、という意味です。やはり「図らずも」とはまったく異なる意味の言葉です。
「図らずしも・計らずしも」は誤り
「図らずしも・計らずしも」も、言葉として誤りです。これは恐らく「必ずしも」と混同されているのでしょう。
「必ずしも」とは、必ずというわけではないという意味です。必ずとは限らない、という様子を「必ずしも」で表します。やはり「図らずも」とは意味が異なります。
「図らず・計らず」の違い
最後は「図らず」と「計らず」の違いです。「図らずも」は「図」を使いますので、「計らずも」とは書きません。「図る」と「計る」は読みは同じですが、意味はまったく異なります。
図る:状況に対応したり、目的を形にするための企て
計る:時間や度合いを調べること
「図らずも」は、偶然・たまたまという意味であり、その偶然やたまたまは「特に対応をしたり企てたりはしていない状況」が前提です。そう考えると、「はからずも」は「図らずも」でしか表せず、「計らずも」が誤りであることがわかります。
「図らずも」の言い換えに使える類語
「図らずも」には、似た意味を持つ言葉があります。以下では「図らずも」の言い換えに使える類語について解説します。
期せずして
「期せずして(きせずして)」とは、「図らずも」と同様に、前もって仕組んだわけではないのに、たまたまそういう巡り合わせになる様子を表す言葉です。
・彼の帰国は期せずして我社がピンチを脱するきっかけとなった
・新商品は期せずして若者に大変ウケた
・入院生活は退屈だったが、期せずして生涯の趣味を見つける良い機会となった
「期せずして」は、幸運なことに・そんなつもりはなかったが、などと言い換えられる言葉です。
思い掛けず(おもいがけず)
「思い掛けず」とは、期待していなかったにもかかわらずという意味です。主には偶然の幸運や、たまたま起きた嬉しい出来事などに使います。
・街を歩いていたら、思い掛けずなつかしい友人にばったり会った
・仕事中にパソコンのトラブルで困っていたら、思い掛けずシステム部の人が通りがかり修理してもらえた
・行きつけのスーパーで買い物をしたら、購入金額が思い掛けずぞろ目だった
「思い掛けず」は、まったく予期していなかったことが不意に実現する様子を表します。