遺書と遺言書の違い
人が遺す文書には「遺書(いしょ)」と「遺言書(ゆいごんしょ)」の2つがあります。漢字や言葉のイメージが似ていることから、両者を混同してしまう人は少なくありません。
以下では、遺書と遺言書の違いについて解説します。
遺書は自分の気持ちを伝えるための文書
「遺書」とは、自分が人生を終えるに際して、遺される家族や友人へ自分の気持ちを伝えるための文書です。遺書を書いている時点で、自分が何をどう考えているのか、周囲の人に何を知っておいて欲しいのか、という視点で書かれるものです。
遺書に書く内容に決まりはなく、自分が書きたいことを自由に書くことができます。そのため遺書に書かれる内容は人それぞれです。
遺書は死が目前でなくても書いて良い
「遺書を書く」と聞くと、その人に死が近づいているかのように感じやすいものです。しかし、遺書はいつ書いても問題ありません。死が直前に迫っていなくても、遺書を書いて良いのです。
人は誰でもいつまで生きるかはわかりません。何らかの事情で急に人生が閉じられることは十分に考えられます。それを見越して、事前に遺書を書き、定期的に書き直すことで自分の人生の歩み方の指針とする人もいるようです。
エンディングノートとして書く人が増えている
近年では「終活(しゅうかつ)」が注目され、その延長で「エンディングノート」を書く人も増えてきました。エンディングノート自体は、主に残りの人生を悔いなく生きるため、いつ自分が亡くなっても周囲に迷惑をかけないため、などを目的にしています。
そしてエンディングノートを書く中で、自分の中にある感情に気が付き、遺書という形に残す人が多いようです。
遺言書は法的効力を持った正式な文書
一方「遺言書(ゆいごんしょ)」は、法的な効力を持った「正式な文書」です。
遺書との大きな違いは「遺言書には気持ちではなく事実を書く」という点でしょう。ここで言う事実とは、お金や財産の相続、継承や消滅を指します。
遺書の書き方
以下では、遺書の書き方について解説します。
遺書の書き方に決まりはない
先に解説した通り、遺書には決まった書き方がありません。どのように、何を書いても問題ありません。その上で、書き方として挙げられるとすれば以下の つです。
- 便箋やノートなどに直筆で書く
- 誰に宛てたものなのかを明確にする
- ポジティブな感情、ネガティブな感情どちらを書いても良い
- 書いた日付と署名を入れる
代わりに、本人が書いたという信ぴょう性はやや低くなるため、直筆のサインを入れるなどした方が良いかもしれません。
【年代別】書いておいた方が良いこと
周囲の人のことや、これからの自分の人生を考えて遺書を書こうと考えたときに、何を書けば良いのかわからないかもしれません。
以下では、年代別の「遺書に書いておいた方が良いこと」について解説します。
【未成年・20代】個人情報や将来の目標
未成年または20代の人が遺書を書くのであれば、自分についての「情報」がおすすめです。
年齢が若い人の場合、さまざまな情報が親の管轄下にあることは多いですが、たとえばパソコンやスマホ、継続購入しているサービスのIDやパスワードなどは親が知らないかもしれません。
万が一のことが起きたとき、遺された家族が迅速に対処・対応できるような情報を残すと良いでしょう。
【30代】知人の連絡先やパートナーへのメッセージ
30代の人が遺書を書く場合は「友人や知人の連絡先」があると良いでしょう。万が一のことが起きたとき、家族と友人が連絡を取れれば、さまざまなことがスムーズに進みます。
また、パートナーがいる場合は、パートナーに向けてのメッセージもおすすめです。
【40代】持病やライフプラン
40代の人が遺書を書く場合は「持病」について書いておくと良いでしょう。病気や事故で突然の死を迎えた場合、死因の特定に役立つかもしれません。
また、ライフプランを書くことで40代からの自分の生き方を見直すきっかけにもなります。
【50代】葬儀や相続についての気持ちと今後
50代の人が遺書を書く場合は「葬儀や相続」について書くと良いでしょう。
50代はまだ若い世代ではありますが、家族を持っている人の割合が高く、もしものことがあった後、家族がもめるのではないかという心配があるかもしれません。
自分の財産をどうして欲しいのか、葬儀はどれくらいの規模で誰を呼んで欲しいのか、などを明記しておくと良いようです。