「余波」の意味と使い方!「よは・なごり」正しい読み方は?

「余波」の正しい読み方と2つの意味

「余波」は、日常やビジネスシーンだけでなく、ニュースや新聞でも見聞きする言葉です。しかし、読み方や意味の捉え方に迷いやすい言葉でもあります。

まずは、以下で「余波」の正しい読み方と意味について解説します。

余波の読み方は「よは・なごり」

「余波」には、2つの読み方があります。それは「よは」と「なごり」です。結論から言えば、どちらの読み方も誤りではなく、どちらで読んでも正しいと言えます。

ただし、この後解説をする「余波の意味」によって、ある程度読み方が決まっています。

「余波(よは)」とはあまり歓迎できない影響

まずは「よは」と読む「余波」についてです。この場合の余波とは「物事が収まった後に残る、あまり歓迎できない周囲への影響」のことです。

景気はずいぶんと回復傾向にはあるが、10年前のインフレの余波がなくなったとまではまだ言えないだろう

あの事件の影響は、いまだに関係者への余波として残っている

何かしらの事件や大きな出来事があり、その影響がなかなか消えない、という状況が「余波(よは)」です。

ポジティブな出来事による影響に「余波」が使われることはほぼありません。そのため「余波」が使われているということは、その出来事がネガティブなものであったのだろう、と予測できます。

「余波(なごり)」とは風が収まった後も残っている波

「なごり」と読む「余波」は、「強い風などで海が荒れた後に、まだ波が残っている様子」を表します。

今日は晴天だが、昨日までの台風の余波で、まだ波が高いから気をつけてください

この数日は、まだ先日の余波があって、強い風が吹いています

この場合の余波は、基本的には「なごり」と読みますが、「よは」と読んでも目立った間違いではありません。あくまでも、意味に沿った読み方である、と認識しておくと良いでしょう。

また、この場合の「余波」を日常の出来事になぞらえたものが、先に解説した「よは」と読む「余波」です。まったく別の言葉ではなく、元々は同じ様子を表していることを知っておけば、「余波(よは)」と読む場合の使い方も理解しやすくなります。

「余波」の使い方と例文

余波は「余波」だけでも使われますが、他の言葉と組み合わせて使われることもあります。

以下では、「余波」の代表的なフレーズを3つご紹介します。

「余波を受ける」とは影響があること

「余波(よは)を受ける」とは、物事の影響を受けることです。「よは」とは読みますが、実際には海の波風などについても使われています。

弊社はあの事件の余波を受けて以来、非常に厳しい立場に置かれています、何とかご支援を願えませんでしょうか

台風の余波は、日本だけでなく近隣諸国にまで及んでいる

「余波を受ける」は、ニュースなどでもよく使われている表現です。

「余波」の意味がそうであるように、ネガティブな影響についてしか使いわれません。ポジティブな影響の場合は「影響」とそのままの言葉を使った方が、誤解を招かず無難です。

「余波が広がる」とは影響範囲が広くなること

「余波(よは)が広がる」とは、その物事や出来事による影響が、多方面に広くなっていくことを意味します。

A社の倒産により、株式市場が荒れに荒れている、この余波は今後も広がって行くだろう

今の私たちにできることは、少しでもこの余波が広がることを防ぐことです

「余波が広がる」と、ほぼ同じ意味で使われる言葉に「波紋が広がる」があります。「波紋(はもん)」とは、水面に何かを落とした時にできる水の波のことです。

余波が広がるも、波紋が広がるも、何かしらの影響が多方面へも広がっていく様子を表します。

ただし「波紋が広がる」については、「余波が広がる」よりもその影響の内容が不明確で、何かを含ませて表現する場合が多いでしょう。

「余波が及ぶ」とは影響されること

「余波(よは)が及ぶ」とは、その物事や出来事に影響されるという意味です。

今回の事件は、同県の公立中学校に余波を及ぼしている

若者の活字離れは、早くも就職市場にまで余波が及んでいると聞いた

「余波が及ぶ」も、他のフレーズと同様に何らかの出来事や物事の影響が、他の部分に広がることを意味しています。

 

「及ぶ」という表現を使っていますが、意味や内容は「余波を受ける・余波が広がる」などと同じです。

「余波」の言い換えに使える類語

「余波」には、いくつか似た意味を持つ言葉があります。以下では「余波」の言い換えに使える類義語を3つご紹介します。

「とばっちり(とばしり)」は有り難くない影響

「とばっちり」とは、その出来事の近くにいたことによって受ける、有難くない影響のことです。もともとはとびかかって降りかかる水のことを意味していました。

彼女の近くにいると、何かととばっちりを受けることが多いので、段々と人が離れていく

課長のミスによって思わぬとばっちりを受けた彼は、しばらくの間残業続きだったようだ

「とばっちり」は、もともとは「とばしり」という言葉です。現代でも「とばしり」が使われることはあり、どちらを使っても問題ありません。

「とばっちり」は「余波」と同様に、ネガティブな影響について使います。どちらかと言えば、「とばっちり」は日常的な会話に多く使われ、「余波」はややビジネス感の強い言葉です。

「煽り」は強い風による動揺や衝撃

「煽り(あおり)」とは本来、強風によって引き起こされる、人や物の動揺または衝撃のことです。

不況の煽りを受けたことで、彼の会社は倒産することになった

先日の台風では、とても強い風の煽りで、隣家の屋根が飛ばされてしまった

この「煽り」は、使い方によって「よは・なごり」のどちらの意味としても使えます。「煽り」には「あおり」という読み方しかないので、どちらの意味で使っているのかは、文脈から読み取ることになります。

「余波」と同じように、「煽り」もネガティブな意味について使う言葉です。また、報道で使われる「煽り運転」の煽りも、この煽りと同じ意味を持っています。

「巻き添え」は意思に反して道連れにされること

「巻き添え」とは、本人の意思に反して、他の人の面倒事や事件などに巻き込まれてしまうことです。

同じコンビニにいたというだけで、容疑者にされてしまい、思わぬ巻き添えをくってしまった

彼は先日の人事による社内対立の巻き添えで、次回左遷されることになったらしい

「巻き添え」は「とばっちり」と非常に似た意味を持っています。本人からすれば「そんなつもりはなかったのに、こんなことになってしまった」というニュアンスです。

自分を取り巻く環境や状況によって、思わぬ方向へ導かれる、あるいは誰かの不幸の道連れにされることを「巻き添え」と言います。