始末書の例文と書き方(交通事故)

始末書の例文と書き方(交通事故)

始末書は、通常のビジネス文書の体裁で作成します。

ただし、手書きが一般的であったころには、便箋を使用して書簡の形式をとり、日付けと署名は末尾に記すのが主流でした。

現在ではパソコンによる作成が一般化しており、他のビジネス文書と同様、日付け・署名も上段に記入する会社が多いと思われます。ちなみに、始末書の署名は現在でも手書きが一般的であり、捺印も必要である会社が多いようです。

交通事故の始末書の内容は、まず、事故の状況・原因や事後処理について正確に記述して謝罪し、次に再発防止を誓約、最後に再度謝罪して「以上」で結びます。なお、宛名は社長名とし、タイトルは単に「始末書」としておくことが一般に慣例となっているようです。

交通事故の始末書例文

平成24年12月7日

代表取締役社長 田中一郎 様

第一営業部 加工食品課
山田一夫(印)
始 末 書

私は、平成24年11月26日午後2時頃、東京都渋谷区幡ヶ谷1丁目の甲州街道笹塚交差点付近にて、営業車による追突事故を惹き起こしました。ここにご報告し、深くお詫び申し上げます。
当日は、□□□商事様への納品のため営業車に商品約80kgを積載し、八王子方面に向けて走行しておりましたところ、前方不注意から赤信号に気付くのが遅れ、信号待ちで停車した乗用車に追突致しました。
この事故によって、相手方のドライバーに怪我はありませんでしたが、乗用車の後部バンパーが破損しました。なお、相手方とは保険会社による折衝にて既に示談が成立しております。
一方、当方の営業車には目立った損傷はありませんでしたが、搬送中の商品の一部が破損しました。また、納品先店舗への商品搬入が遅れたため□□□商事様には大変なご迷惑をお掛けしました。
以上の通り、私の惹き起こした事故によって会社と大切なお得意様に多大なるご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。今後はこのような不注意による事故を起こさぬよう、日頃から安全運転を徹底して参りますことをここにご誓約申し上げます。
この度はご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。

以上

交通事故の始末書は第三者に状況を伝える

交通事故の始末書を書く場合、状況を知らない第三者が見ても状況を把握できるようにしなければなりません。

人に何かを想像して、把握してもらうためには「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どうやって」を表す5W1Hの記載が必要です。日付はもちろん、時間についてもわかる限り詳細に書きましょう。

また、始末書は主観ではなく、客観を意識して書く必要があります。「自分はどう思ったからそうした」などの自分の考えや感想を書き入れる書類ではありません。

反省や謝罪の言葉を書き入れる

始末書に言い訳や感想は書けませんが、自分の反省の気持ちや謝罪の言葉は入れるべきです。

どのような事故であったとしても、客観的に見れば双方にそれぞれ最低限の反省点はあるはずです。謙虚な姿勢を見せることで、今後に期待をしてもらうこともできますし、言い訳をしない態度に好感を持ってもらうこともできます。

また、謝罪の言葉も入れましょう。自分に非がほとんど無い事故であったとしても、会社に迷惑や心配をかけていることは事実です。今後事故を起こさないための心構えや具体的な改善策などを挙げておくと、謝罪に誠意がを感じることができます。

始末書は簡潔に書く

事故に遭った本人としては、出来事を紙1〜2枚にまとめるということが難しく感じるかもしれません。

確かに始末書は詳細な情報が盛り込まれている必要はありますが、だからと言って情報が込み入ってしまうと、却って状況が伝わりにくくなってしまいます。

コツは「一文を短くする」ということです。

ダラダラと長い一文では、読んだ後に頭の中で状況を整理しなくてはならなくなります。一文を短くして、読む人がスムーズにイメージできるようにすることが大切です。

また、一連の流れを文章にまとめるには、順を追って書くことも意識しなければなりません。

まずは「事故が起こったという結論」を簡潔に書いて、その後「事故が起こった原因」「双方の被害」「対処の進捗状況」「反省」「反省点の改善策」「謝罪」という順で書けば、概ね間違いはありません。

始末書は何のために必要なのか

そもそも始末書はどうして必要なのでしょうか。もちろん、就業中の事故や事件などを会社に認識しておいてもらわなければ、手続き上の不都合なども出てくるでしょう。

しかし、本来始末書は「再発防止」「安全管理の徹底」などに役立てるためのものです。

事故に遭ってしまったことは不幸ですが、始末書をきちんと書くことで会社側は有効な再発防止をすることができますし、安全管理に力を入れるきっかけとすることもできます。交通事故の始末書を書いた人のおかげで、同僚や部下や上司を、同じ災難から守ることができるのです。

始末書は書く人を責めるためのものではありません。事実を明確にすれば再発防止に協力することができますし、事故の当事者でなければ気が付けない問題提起につながることもあります。