病院実習のお礼状の例文と書き方

病院実習のお礼状の例文と書き方

病院実習のお礼状は、直接お世話になった部局の責任者の方に宛てて書くのが妥当です。

院長自らが実習生に親しく接してくれた病院の場合は別として、一般的な総合病院では、看護師志望の場合は看護部長に、薬剤師志望の場合は薬剤部長にというように、部局長に宛てて書くべきです。

お礼状の内容は、あくまでもお世話になったことへの感謝の言葉に徹しましょう。

感想を書く場合は、確実に得たもの、感動・感心させられたことなど、良いことだけを書きましょう。謙遜の言葉なら良いのですが、疑問・不安・悩みなどを吐露することは場違いなことです。

病院実習のお礼状の書き方

病院実習は一般企業のインターンと同じで応募できる制度ですので、就職活動に直接役立てることができます。さらには採用側に病院実習の情報が保存されている場合、良くも悪くも就職活動のときに応募者の参考資料として活用される可能性があります。

従って、お礼状を書く場合も、その可能性を考慮して書くべきでしょう。

お礼状は手書きまたはメール

病院実習のお礼状は手書きの手紙、またはメールで送ります。最近ではSNSを使ってお礼状を送るという学生も増えているようですが、相手先によっては歓迎されない可能性があることも知っておきましょう。

基本的にお礼状は「メール<手紙」です。さらには手紙の中でも「パソコン作成<手書き」という順で印象が良くなるとも言われています。

可能な限りお礼状は手書きで書き、一文字一文字に気持ちを込めるように心がけましょう。

お礼状が遅れるならメールでも可

お礼状は鮮度が重要です。病院実習が終わって何週間も経ってから手書きのお礼状が来るよりも、病院実習が終わって数日のうちに届くメールでのお礼の方が鮮度は高くなります。

もっとも望ましいのは鮮度の高い手書きですが、学校の予定やその他のスケジュールの都合でどうしても手書きだと遅くなるということがわかっている場合は、メールでお礼状を送るのもひとつの方法です。

ビジネスマナーを心がける

病院実習は基本的には学生が行うものなので、完璧なビジネスマナーを身につけている人から届く手紙とは別の意識で読んでくれることが期待できます。ビジネスマナーに欠ける部分があったとしても、これから学んでいくことだと好意的に受け取ってもらいやすいでしょう。

しかし、その気持ちに甘えて学生気分丸出しの手紙を送ることはとても失礼です。

ビジネスマナーを知らないなりに、調べて学びながら書く姿勢を先方は期待しています。

便箋と封筒は白地を用意する

病院実習のお礼状を書く便箋と封筒は「白地」のものを選んでください。色付きや柄付きの便箋・封筒は望ましくありません。イラスト入りの便箋や封筒も避けるべきです。

また、ペンは黒のボールペンを用意してください。カラーペンで書くことはマナー違反です。

縦書きが望ましい

便箋・封筒のスタイルは「縦書き」が望ましいとされています。横書きでも失礼というわけではありませんが、お礼状は基本的に縦書きで、ということもビジネスマナーのひとつです。

縦書きに慣れていない学生は多いため、書きにくさを感じるかもしれませんが、せっかく書くのであれば縦書きを選ぶようにしましょう。

病院実習のお礼状に書く内容

病院実習のお礼状は、端的にいえば「ありがとうございました」という気持ちが伝われば良いものです。しかし、相手はビジネスシーンにいる人ですので、ある程度の形式が守られていなければ、それだけで「お礼状としては足りない」と判断されてしまいます。

①頭語と結語を使う

手紙のマナーの中に「頭語・結語」があります。頭語は手紙の始まりに頭を下げて挨拶をするを様を表す言葉、結語は手紙の終わりに頭を下げて挨拶をする様を表す言葉です。

病院実習のお礼状には「拝啓・敬具」の組み合わせ、もしくは「謹啓・謹白(または敬白)」の組み合わせを使います。違いは言葉の格式です。拝啓・敬具よりも謹啓・謹白の方が格式が高く、より丁寧な印象となります。

なお、頭語・結語として有名な「前略・草々」は目上の人には使わない組み合わせですので、お礼状には使いません。

②挨拶

次に「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」などの挨拶を入れます。この部分は手紙の挨拶文として、ある程度定型化されているため、あまり深く考えずに書いても問題はありません。

「貴院ご盛栄のこととお喜び申し上げます」「時下ますますご隆盛のことと存じます」などは、どれもほぼ同じ意味で「きっと貴院は今この瞬間も繁盛なさっていることでしょう」というものです。

ちなみに、企業そのものや企業の担当者に送るお礼状での挨拶文では、基本的には「会社の繁栄」について書きます。「ご健勝」など、個人の健康を表す言葉はあまり使いません。

③名乗り

次は名乗りです。「私は〇月〇日から〇月〇日まで御社〇〇部の病院実習に参加させていただきました、〇〇大学〇〇学部の〇〇××(フルネーム)と申します」など、相手がこちらを思い出しやすいように書きましょう。

病院実習を終えてすぐに届けたお礼状でも、先方は毎日多くの人とかかわっています。名前だけなどでは思い出せないことも多々ありますので、できるだけ詳しく書くこともマナーです。

④お礼

ここからお礼状の本文が始まります。「この度は〇日間に渡り大変貴重な体験をさせていただき、誠にありがとうございました」などの文章から始めると良いでしょう。

続けて「皆様の貴重なお時間をいただき、仕事内容だけでなく社会のこともたくさん教えていただき、私にとってかけがえのない大変有意義な日々となりました。」など、どんなことに感謝をしていて、自分にとってそれがどんなに貴重なものだったか、ということも書くと良いかもしれません。

なお、この後具体的なエピソードに入っていきますので、そのことを意識して簡潔な文章を心がけてください。

⑤具体的なエピソード

病院実習のお礼状に限らず、お礼状はいかに具体的かという点がポイントになります。ただ「ありがとうございました」を繰り返すのではなく、特に印象に残っている教えや出来事を添えると良いでしょう。

「貴院で過ごした〇日間は毎日勉強でしたが、特に印象に残っているのは〇日目の〇〇です。〇〇を教えていただいたことで、私がこれまで学校で学んできたこととは別に、違う概念を持つことが必要であると気が付くことができました。」

「また、ご担当くださった〇〇さんのお仕事をそばで拝見し、私もいつか〇〇さんのようにさまざまなところへ気を配ることのできる社会人になりたい、と志を強くいたいました」

これらは一例ですが、読んだ人ができるだけ想像しやすいようなエピソードを入れた方が良いとされています。

または「病院実習を終えて、自分に欠けていると感じた〇〇を勉強することにしました」など、病院実習を経験したことで新しい学びを得た、という内容を添えても喜ばれます。

⑥改めてのお礼

お礼状は最初から最後までお礼で埋め尽くされます。そのため、エピソードが一段落したら改めてお礼を伝えることになります。

「まずはご指導を賜りましたお礼をお伝えしたく、お手紙をお送りすることにいたしました。本当にありがとうございました」など、一区切りつくようなお礼文を添えてください。

このときに「取り急ぎお礼」という表現はあまり使いません。「略儀ではありますが、文中より御礼申し上げます」など別の言葉を使ってお礼を伝えてください。

⑦最後の挨拶

本文の締めには「貴院のご発展とご担当者様のますますのご活躍をお祈り申し上げます」などの一文を入れます。この部分は冒頭の挨拶と同じで、定型化されている文言で問題ありません

あまり「お元気で」などフランクな言葉は使いませんので、ある程度手紙全体の雰囲気と合う言葉で締めくくりましょう。

⑧日付と名前

締め文の後には手紙を書いた日付と名前を書きます。日付は和暦、名前は大学名から続けて書くようにしてください。

日付は上から2文字分空けて書き、大学名・名前は便箋の一番下(横書きの場合は左端)に寄せて書きます。

また、同姓同名の人がいないとも限らないので、大学名や名前は略すことなく、正式名称で書くようにしてください。

⑨宛先の病院名と担当者名

最後に宛先となる病院名と担当者名を書きます。相手の病院名と名前は、便箋の一番上(横書きならもっとも左)から書き始めることを忘れないようにしましょう。

病院名や担当者の部署名も略すことなく、正式名称で書いてください。「(株)」などは使いません。

担当者名がわからない場合は「人事課ご担当者様」などとし、「様」という敬称と一緒に書きます。

【病院実習のお礼状例文・看護師志望の場合】

□□□□総合病院
看護部長 森田和子様

謹啓

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度は、10ヶ月の長きにわたる看護実習をさせていただき、誠にありがとうございました。

当初は、病棟内のどこにいてもどう振舞って良いのか、何をすれば良いのかも分からず、また、自分の知識や技術が如何に不十分で未熟なものかということを思い知らされ、途方に暮れていました。

そのような私が実習を修了することができましたのは、看護部長はじめ看護師の皆様のお蔭です。

未熟でご迷惑ばかりお掛けしていた私を、ご親切に根気強くご指導いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

貴院における看護実習で得た体験や教訓を糧にして、皆様への恩返しの意味でも立派な看護師をめざして今後もがんばる所存です。

末筆ながら看護部長はじめ皆様のご活躍とご健勝を衷心よりお祈り申し上げます。

敬白

  平成25年9月1日

□□□□看護短期大学□□学部
□□学科3年 林まりこ

 

田中医院
リハビリテーション課の皆様

拝啓

新緑の候、田中医院の皆様におかれましては時下ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
私は、令和2年4月から令和3年3月までの一年間、貴院にてリハビリテーション実習でお世話になりました、佐藤花子でございます。

この度は、一年間に渡る貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。

皆様、日々お忙しくされているにもかかわらず、リハビリテーションの実技以外の、患者様との向き合い方など、現場で役立つ貴重なことを多くご教授いただきました。

特に印象に残っておりますのは、リハビリにあまり意欲的でなかった患者様に無理強いをせず、世間話からお気持ちをほぐされていたことです。その数分後、患者様がお気持ちを切り替えて、リハビリに励んでおられる姿には大変驚きました。

私はこれまで理学療法士の勉強に励んで参りましたが、患者様のお気持ちがリハビリに向かないことには何もできません。貴院の患者様とのコミュニケーションを丁寧に行う施術は、きっとこれからの私にとって重要な知識となるはずです。

お忙しい中、何もわからない私を丁寧にご指導いただき、心より感謝申し上げます。
まずはお礼をお伝えしたく、お手紙をお送りいたします。

末筆となりましたが、貴院のますますのご発展と皆様方のご活躍とご健康をお祈り申し上げております。

敬具

令和3年4月2日

〇〇大学〇〇学部
佐藤花子