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「伺う」の意味
「伺う」は、自分の行為をへりくだって表現することにより相手や話題中の人物などへの敬意を示す謙譲語です。
古い言葉ですからさまざまな使われ方がありますが、一般的には、相手を「訪ねる(訪問する)」、相手の場所に「行く」、相手から「聞く」、相手に「尋ねる(問う・質問する)」、第三者から「伝え聞く(伝聞)」という意味で用いられます。改まった丁寧な言葉遣いです。
「伺う」の間違い・失礼な使い方
「伺う」は目下から目上への謙譲語なので、以下の敬語表現は間違いです。
× 社長から伺っております。 → ○ 社長から聞いております。
また、注意しておきたいのは、謙譲語ですから行く先の相手が自分よりも上の立場の人の場合にのみ使えるということです。同い年の友人や後輩、身内などには使いません。
× これから父の職場に伺います。 → ○ これから父の職場に参ります。
「伺う」は目上の人に使う
「聞く・尋ねる」は「伺う」に変換
他には「聞く・尋ねる」の謙譲語として使う場合もあります。話を伝え聞いた相手が自分よりも上の立場の人なら「伺う」を使います。
× 詳細は△△課長に聞いてもいいですか。 → ○ 詳細は△△課長に伺ってもいいですか
× その話は□□先生から聞きました。 → ○ その話は□□先生から伺いました。
「伺う」を使う場面
もし初対面などで相手が同年代で自分より立場が上かどうか分からないといった場合は、丁寧な表現として「伺う」を使っておけば失礼にはなりません。
伺うの例文
訪ねるの意味で使う場合
店内ポスターの件も承知しました。それでは、明日の午後 1時半に、私と内藤、コピーライター、デザイナーの 4名で伺います。
富山駅到着が 15時30分ですので、駅前のホテルにチェックインしてから、お宅にお伺いするのは 16時半くらいになると思います。
この度は大変なご迷惑をお掛けしまして誠に申し訳ありません。不良品交換のため直ちにお伺い致しますので、30分ほどお待ち頂けますようよろしくお願い致します。
聞く・尋ねるの意味で使う場合
先日の会合では大変興味深いお話を伺うことができ、ありがとうございました。つきましては、第三の工法について二三お伺いしたいことがございますので、明日にでも研究室の方へお訪ねしてよろしいでしょうか。
伝聞の意味で使う場合
先生のご高名はかねがね伺っております。弊社の製品開発に是非ともご協力を賜りたく、失礼をも省みずお手紙を差し上げました。
二子山遺跡から出土した銅剣の一部をそちらの研究室が保管されていると伺っていますが、拝見させて頂くことは可能でしょうか。
伺うの類語の例文
訪ねるの意味の類語
家庭訪問は、ご家族の方のご都合の良い時間にお訪ねします。ご希望日時を 第3希望まで記入してください。スケジュールが決まり次第、訪問日時をお知らせします。
聞く・尋ねるの意味の類語
昨日は突然お伺いしましたのに、大切なお時間を割いて貴重なお話をお聞かせ頂き、誠にありがとうございました。※ 「お聞かせ頂き」は、「伺わせて頂き」の類語表現。
昨日の東都大学でのご講演を会場の末席にて拝聴させて頂きました。
※ 「拝聴させて頂き」は、「伺わせて頂き」の類語表現。拝聴は謙譲語ですから簡単に「拝聴しました」でも良さそうに見えますが、この種の元来相当に高い身分の人から下されることを意味した謙譲語では、「〜させて頂く」という言い回しが習慣になっています。
来期のご予定についてお尋ねしたいことが幾つかございますので、明日、お時間を拝借できませんでしょうか。
※ 「お尋ねしたい」は、「伺いたい」・「お伺いしたい」の類語表現。
伝聞の意味の類語
伊藤先生は昨年退職されたとお聞きしています。
※ 「お聞きしています」は、「伺っています」の類語表現。
お父様がご病気と承りましたが、お加減はいかがですか。
※ 「承りました」は、「伺いました」の類語表現。