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「心象」の意味と読み方
「心象」という言葉は、日常のさまざまな場面で使われています。口頭で使われることもあれば、文章内でも良く目にする言葉です。
まずは、「心象」の意味と読み方について解説します。
「心象」とは感覚でのイメージ
「心象」とは、見たり聞いたりしたことが基になって、ある形となり心の中に現れる現象のことです。
この「ある形」とは、人によって違います。昔の思い出や、過去の出来事が景色として現れるという人もいれば、音や匂い、または物の形になる、などさまざまです。
そういう意味では「心象」という言葉の意味は非常に幅広く、意味を把握しにくいという人が多いかもしれません。
心象の読み方は「しんしょう」
「心象」の読み方は「しんしょう」です。「象」は「ぞう」とも読みますが、この場合は「しょう」です。
「象」という字には「現れたものの形」という意味があり、「心」と併せて熟語にすることで、先に解説した「心象」の意味に繋がります。
似た漢字に「像(ぞう・しょう)」もありますが、この「像」はものの形を表します。心の中のイメージ、という意味の「しんしょう」には合わない意味を持った漢字ですので、間違えないようにしましょう。
「心象」の使い方と例文
以下では「心象」の使い方を例文と一緒に解説します。
心象風景とは想像上の景色や風景のこと
「心象風景」とは、心の中に描かれる想像上の風景のことです。
幼い頃の心象風景といえば、いつもクラスメイトと遊んだ近所の公園です
娘の心象風景には、当時家で飼っていた犬の存在が欠かせないようだ、今でも毎日のように懐かしんでいる
辛い過去を忘れることができず、ふとした時にあの日のことが心象風景としてよみがえる
その時のことを思い出すと、自然とイメージされる風景や音、声や匂いなどがトータル的に作り出す「風景」が心象風景です。
「心象」という言葉だけではあまり使われない
反対に、心象風景という言葉ではなく「心象」だけでこの言葉が使われることは多くありません。
「心象」が持つ意味を伝えたい場面で「心象では〇〇と思っています」などと使えないわけではありませんが、その場合には「イメージでは」「記憶では」など、他の言葉を使った方が自然でしょう。
「心象」と間違いやすい言葉
「心象」には、音や漢字が似た言葉がたくさんあります。そのため、誤って「心象」を使ってしまうことがあるのです。
- 心象を損なう・心象がいい・心象が悪い:正しくは「心証(人の言動から受ける印象)」
- 心象を表す:正しくは「心情(心の中の思い)」
「心証」「心情」は、「心象」と非常によく間違われる言葉です。「心情」については、読み方の音も似ているため、誤って使っていても気がつかれないこともあります。
「心象」の言い換えに使える類語
最後に「心象」の言い換えに使える類語について解説します。
印象とは物や人・出来事への感想
「印象」とは、何かを見たり聞いたりしたときに、心の中に感じるもののことです。
彼は最初に会ったときから印象が良かった、あのときのはつらつとした表情は今でも覚えている
私の中での彼女の印象は、まじめでルールを重んじる人、という感じです。
心証とは言動から感じ取る印象
「心証」とは、人の言動によって得る印象のことです。
そんな投げやりな態度では、裁判官に良くない心証を与えてしまいますよ
せっかく彼女に謝る機会をもらったのに、ついいつもの調子で軽口を叩いてしまって、完全に心証を悪くしてしまったよ
この「心証」は、「印象」と非常に近い言葉で、どちらも「心象」の言い換えとして使えます。ただし、心証も印象も、心象に比べると相手や状況からの直接的な「感想」に近く、「心象」ほど抽象的なものではありません。
イメージとはその対象から感じ取るもの
「イメージ」は、日常でも頻繁に使われる言葉です。「心象」と非常に近い意味を持った言葉であるため、言い換えには使いやすいでしょう。
幼いころのイメージでは、私はひとりで家にいることが多かったように思います
当時の記憶は定かではありませんが、急な発表に社員が動揺し、社内が混乱していたというイメージです
「心象」という言葉自体が、記憶によるイメージなので、「イメージ」という言葉に置き換えやすいのは当然かもしれません。