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「趣向」の意味と読み方
「趣向」は「趣味趣向」というフレーズとして、日常でも何かと見聞きする言葉です。しかし、考えてみると「趣向」自体にどのような意味があるのかいまいちわからない、という人は少なくないでしょう。
今回は「趣向」について解説します。まずは、「趣向」の意味と読み方について見てみましょう。
「趣向」とは前向きな工夫
「趣向」とは、物事を実行したり作ったりする上での、おもしろいアイデアや変わった工夫のことです。
つまり、すでにあるものにアイデアや工夫を加えて、さらに良いものにしようとするのが「趣向」です。
趣向の読み方は「しゅこう」
「趣向」は「しゅこう」と読みます。
漢字の多くは、漢字の中の一部の読みを適用しますが、趣向の場合も同様です。「趣」の中の「取(しゅ・とる)」の読みを使って、「しゅこう」と読みます。
「しこう」など、読み間違いが多い漢字ですが、「しこう」はまた別の言葉です。読み間違いがないようにしましょう。
「趣向」の使い方と例文
以下では「趣向」の使い方を例文と一緒に解説します。
趣味趣向とは「好きな物や考え方」
「趣味趣向(しゅみしゅこう)」とは、趣味と趣向、2つの熟語によって形成された言葉です。「趣味趣向」には、その人の好きなものと、それに対しての考え方や向き合い方、という意味があります。
私と彼女は同期入社ということだけでなく、何かと趣味趣向が合うため、すぐに打ち解けました
彼女は、趣味趣向が合わないという理由で、お見合いの話を断ったらしい
「趣向」は「合う・合わない」と使う
「趣向」も「趣味趣向」も、「合う」または「合わない」と一緒に使います。その人の好き嫌いと他の人の好き嫌い、または物や団体とその人の好みの傾向が、「合う・合わない」という意味です。
私と彼女は幼馴染ではあるが、お互いの趣向は合わず、大人になってからはほとんど会っていません
A社の斬新なデザインは、自社の顧客の趣向には合わないと思う
彼と部長は趣味が同じであるだけでなく、何かと趣向が合うという事でプライベートでも懇意にしていると聞いた
例文の「趣向」を、全て「趣味趣向」と変えても意味は通じます。
「趣向を変える」とは方針・方向性を変えること
「趣向」を使ったフレーズに「趣向を変える」があります。「趣向を変える」とは、物事についての考え方の元となる、方針や方向性を変えるという意味です。
私は売れるデザインにこだわり行き詰まってしまった、これからは趣向を変えて自分が良いと思うデザインを目指したい
父は今まで好きな物を好きなだけ飲み食いする生活をしていたが、友人の言葉で趣向を変えた、今では健康に留意した生活をしている
その場合は「考えを変えた・やり方を変えた」など、他の言葉を使うと自然です。
「趣向を凝らす」とは工夫をすること
「趣向を凝らす(こらす)」とは、その物事がより良いものになるような工夫を施すという意味のフレーズです。
今回の新作発表会は、新しい技術がたくさん使われていて、非常に趣向を凝らした良いものだった
彼女は物事に趣向を凝らすことがとても上手い、今回彼女が商品企画部に異動となった要因はそこにある
「趣向を凝らす」は、例文の使い方以外にも「もっと趣向を凝らして欲しい」など、相手へ要求する場合にも使われます。
「趣向を凝らす=工夫をする」という形で覚えておくと、自由に使いやすくなるでしょう。
「趣向品」は誤り
「趣向」と似た言葉に「嗜好(しこう)」があります。「嗜好」には「好み」という意味もありますが、同時に「(好みの物を)たしなむ」という意味も持っています。
この「嗜好」と「趣向」を誤って、「趣向品(しゅこうひん)」とするのは誤りです。正しくは「嗜好品(しこうひん)」で、主には暗にタバコやお酒などを指すことが多いでしょう。
「趣向」の言い換えに使える類語
最後に「趣向」の言い換えに使える類義語について解説します。
意匠
「意匠(いしょう)」とは、美術品や工芸品、または工業製品などへ施される「装飾を目的とした工夫」のことです。
彼のデザインは意匠が凝らされていて、海外の方にも人気がある
A社はB社の製品デザインを真似たと噂されている、B社は意匠権を保護するための意匠登録をする考えのようだ
「趣向」は物事全般に対しての工夫ですが、「意匠」は装飾を目的とした工夫のみを表します。「趣向」よりも言葉が意味する範囲が限られている、と考えると良いでしょう。
創意工夫
「創意工夫(そういくふう)」とは、さまざまな考え方によって生み出される「新しい意見・考え方」のことです。
あのチームは全員に積極性があり、出来上がるものには創意工夫が施されている、それが売れる理由だろう
部長から「創意工夫が足りない」と指摘されたので、一度根本的な考え方から見直してみようと思います