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ありきの意味とは
「ありき」という言葉には、主に2つの意味があります。ひとつは「ありき」の本来の意味、もうひとつは「ありき」という言葉から派生した、日常でも使える意味です。
本来の「ありき」の意味は「あった」
「ありき」の本来の意味は「(物や人などが)あった(いた)」または「ある(いる)」です。「あり」(有り・在りの連用形)に過去・回想の助動詞「き」が接続したものと考えることができます。
この場合の「ありき」は古い表現であるため、現代の日常会話ではほとんど使われることはありません。現代で使われるとすれば、硬く改まった文章内ですが、それであっても使われることは稀でしょう。
日常で使われる「ありき」は「前提・仮定」
「ありき」は物事の「前提」あるいは「仮定」という意味でも使われます。「ありき」がもともと持っている「あった・ある」という意味から派生した使い方で、「それがあったとして」「こうだったとして」などの、前提や仮定の意味として機能します。
この場合の「ありき」は、ビジネスシーンなどで日常的に使われています。本来の意味で使われる「ありき」と違い、古い言い回しというイメージもありません。むしろ「もしも」「~だったとして」などの言葉よりも、ややフォーマルなニュアンスを含む場合もあるため、目上の人と話すときにも使えます。
「ありき」の使い方
「ありき」は使いなれていない人にとっては、やや使いにくい言葉かもしれません。しかし使い方がわかれば情緒的に、またはロジカルな会話とするための定型句として使うことができます。
「あった」という意味での「ありき」は文学的に使う
まずは「ありき」の本来の意味である「あった・ある」を表す使い方です。この場合の「ありき」は文学的・情緒的に使います。
主には小説の中などで使われる用法ですが、現代では小説や文章の中でもほぼ見ることはありません。
「前提・仮定」の意味での「ありき」は日常的に使う
次に「~を前提として・~と仮定して」という意味での「ありき」の使い方です。この場合の「ありき」はビジネスシーンなどの日常でも使われます。
同様に、通常の会話では「失敗することを仮定して話さないで欲しい」というところを、「失敗ありきで話さないで欲しい」とすることもできます。
「結論ありき」はすでに結論が出ていることを表す
ビジネスシーンでは、「結論ありき」という表現が多く使われています。この「結論ありき」とは、すでに結論が出ていることを表す言い方です。
以下では、「ありき」を使った言葉の中でも特に多く使われる「結論ありき」を使った例文をご紹介します。
「結論ありき」を使った例文
「ありき」を使うときの注意点
「ありき」という言葉は、現代では「前提・仮定」という意味、もしくは「ありき」の本来の意味である「ある・あった」という意味で使われると先で解説しました。その上で、「ありき」を使うときの注意点があります。
それは「未来のことについて”ありき”を使うことはできない」というものです。「前提・仮定」「ある・あった」は、一見別の意味のようにも見えますが、時制が現在と過去でしかないという点は共通しています。
そのため「あるだろう」「あると思う」という、未来の時制で「ありき」を使うことはできません。