目次
「空前絶後」の意味と由来・読み方
まずは「空前絶後」の意味と由来について解説します。
「空前絶後」とは非常に珍しく稀なこと
「空前絶後」は「くうぜんぜつご」と読みます。「空前絶後」とは、その物事や現象が非常に珍しく稀(まれ)なことを表し、安易には信じがたいような驚き・感嘆の気持ちを表す言葉です。
彼女は今回の大会で、空前絶後の記録を出した
あの日見た景色の素晴らしさは、まさに空前絶後と言って良いだろう
「空前絶後」は、その物事や現象が特に素晴らしく、奇跡とも言えるような程度のときに使います。そのため、日常的に頻繁に使う言葉ではありません。
「空前絶後」というほどではない場面で、空前絶後を使うと大げさすぎる印象を持たれるので注意しましょう。
「空前絶後」の由来は
「空前絶後」の言葉の由来は「空前」と「絶後」に分けて考えられています。
「空前」とは「これまでに一度もない」
まず「空前」とは、「これまでに一度もなかった」という意味です。過去を遡っても、恐らくこれが初めてだろうという意味で「空前」を使います。「空前の大ブーム」「空前の大ヒット」など、映画や書籍・または何らかのブームの売れ行きや盛り上がりに対して使われます。
「絶後」とは「今後二度と起こらない」
次に「絶後」は、「きっとこれから先、二度とこんなことは起こらない」という意味です。「絶後」は「後が絶える」と書きます。その言葉通り、「今後の後は絶えてしまう(=今後二度と起こらない)」と解釈できるのです。
「空前絶後」の使い方
次に、「空前絶後」の使い方について解説します。
「空前絶後」は強調したい言葉の前に使う
「空前絶後」は、その意味から「物事や現象の程度を強調したい場合」に使います。そして「空前絶後」を使うのは、基本的には強調したい言葉の前です。
今期の我が社は、新商品が大変な人気でメディアでも一気に有名になった、これは空前絶後の大躍進だ
彼の曲は空前絶後の大ヒットとなった、日本だけでなく世界中で彼の曲が売れ続けている
ただし、「空前絶後」を強調したい言葉の後に持って来ても間違いではありません。
今期の我が社は、新商品が大変な人気でメディアでも一気に有名になった、この大躍進は空前絶後と言って良いだろう
彼の曲は大ヒットし、まさに空前絶後、日本だけでなく世界中で彼の曲が売れ続けている
このように、強調したい言葉を「空前絶後」の前に持って来ても意味は通じます。違いは言葉全体のニュアンスです。
「超絶怒涛」と一緒に使うとより強調できる
「空前絶後」だけでも、その物事や現象を強調できます。しかし、場合によっては「空前絶後」だけでは足りないと感じることもあるでしょう。その場合は「超絶怒涛(ちょうぜつどとう)」と一緒に使うのが有効です。
この映画は超絶怒涛、まさに空前絶後と言えるほどの作品です
彼の今回の功績は、倒産が決まっている我が社にとって空前絶後、超絶怒涛の一手と言っても過言ではありません
「超絶怒涛」とは、ずば抜けて勢いがある様子を表します。「空前絶後」と一緒に使うことで、その物事や現象がいかに素晴らしく、またとんでもない勢いを持っていることを伝えられるでしょう。
ただし、「超絶怒涛」は言葉の持つ勢いが大変強いことから、日常会話や通常のビジネスシーンには似つかわしくないことがほとんどです。そのため、とてつもない大きな勢いを表したい場面でのみ使うと良いでしょう。
「空前絶後」の言い換えに使える類語
次に「空前絶後」の類語について解説します。
「前人未踏」は過去に誰も成し遂げたことがないこと
「前人未踏(ぜんじんみとう)」とは、過去から現在まで恐らく誰も成し遂げていないであろう、と思えるほどの快挙です。
新入社員が入社たったの3ヶ月でこれだけの大口契約をとってくるとは…これは前人未踏だな
この映画は、3年間撮りっぱなしの映像を使ったという、前人未踏の試みが売りです
この「過去から現在まで誰も」というのは、比喩であり本当に誰一人成し遂げていない場合に限りません。あくまでも、それくらい素晴らしい快挙である、という意味で「前人未踏」が使われます。
また、「空前絶後」は「絶後」があるため、「今後も二度とは起こらないだろう」という意味を持っていますが、「前人未踏」には今後の未来についての意味はありません。
「未曾有」は大変珍しい出来事
「未曾有(みぞう)」とは、歴史的に見たレベルでも大変珍しいと言える出来事や現象のことです。
この書籍は、発売から5年間もベストセラー1位をとり続けたという、未曾有の大ヒット作として知られています
今回の災害は、未曾有の大惨事として歴史に名を残すでしょう
「未曾有」は、良い意味にも悪い意味にも使われます。元々は良い意味での大変珍しい出来事を「未曾有」と表していました。
また「未曾有」の読み方は「みぞう」が正しく、「みぞゆう」「みぞうう」などはすべて誤りです。
「前代未聞」は聞いたことがないような呆れる出来事
「前代未聞(ぜんだいみもん)」とは、これまでに誰もが見たことも聞いたこともないような、大変呆れる出来事のことです。
入社早々無断欠勤をした上、その間に海外旅行をしていたなんて前代未聞だ
他社の商品をそっくり真似て同じ商品名で新商品としようなんて前代未聞、下手をしたら訴えられるところだった
「前代未聞」は悪い意味でしか使いません。「前代」とは、過去から現在までを意味します。「未聞」は、まだ聞いたことがないという意味です。この2つを併せて「前代未聞=聞いたことがないような出来事」となります。
「聞いたことがないくらい(=他に同じことをした人がいるとは思えないほどバカバカしい)呆れた」という比喩と考えて良いでしょう。
「空前絶後」の英語表現
最後に「空前絶後」の英語表現について解説します。
「空前絶後」は英語で「the first and the last」
「空前絶後」は「これまでも、これからもないような珍しいこと」です。それを英語にすると「the first and the last」となります。「the first and the last」は、直訳するなら「最初で最後の」です。
It is the first and last undertaking of such magnitude.(これは空前絶後の偉業だ)
「空前絶後」の意味は「これまでも、これからもないだろう」と考えることができます。その考え方を英語に当てはめて「the first and the last」を使うということです。