目次
クレーム対応の仕方
顧客や取引先から、商品・サービス・対応などについて「クレーム」を受けることがあります。
ここで言う「クレーム」とは、あくまでも先方からの意見や指摘です。意見や指摘の中には苦情も含まれますが、クレーム対応が必ずしも強い苦情への対応だけではない、ということを理解しておいてください。
以下では、クレームに対する謝罪の例文をご紹介します。
こちらに非があるクレーム謝罪例文
まずは、こちら側に確かに非があるクレームに対する謝罪例文です。
主な例は、注文商品の発送ミスや公表している内容と異なるサービス内容、などです。
田中一郎様
平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
株式会社〇〇の佐藤でございます。
この度は弊社がご提供する「〇〇サービス」の初回体験特典について、大変なご迷惑をおかけいたしました。
誠に申し訳ございませんでした。
田中様にご利用いただいたサービスは、ご指摘の通り「初回900円」と公式HPに記載がございます。
しかしながら、実際の店舗では「初回1900円」とご案内していることが、社内調査にて明らかとなりました。
正しくは、公式HPに記載の通り「初回900円」でございました。
なぜ今回のような誤ったご案内に至ったのか、全店舗へ調査を行いましたところ、事前に店舗へ配布していた書類に誤りがあったことが判明いたしました。
書類の書き間違いだけでなく、公式HPとの金額の相違に気がつかなかった店舗スタッフ、本社スタッフ全員に非がございます。
田中様には、サービスにご期待をいただいておりましたのに、このような初歩的なミスで不快な思いをさせてしまいました。改めて深くお詫び申し上げます。
当然のことではありますが、今後このようなことが起きぬよう、全社員で情報共有の徹底と精査に努めて参る所存でございます。
書面にて取り急ぎのお詫びとさせていただきますが、今後ともご愛顧いただけますと幸いでございます。
この度は誠に申し訳ございませんでした。
こちらに非がないクレーム謝罪例文
次に、こちら側には基本的に非がないと考えられるクレームへの謝罪文です。
主な例は、現時点で会社や店舗の対応とはしていないサービスなどを要求される、相手の想像や予想で憤慨される、などです。
田中一郎様
平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
株式会社〇〇の佐藤でございます。
この度は、弊社の配送サービスについてのご意見を賜り誠にありがとうございました。
田中様よりいただいた「商品のすべてにワレモノシールを貼って発送するべき」というご意見は、すでに社内にて共有させていただいております。
弊社商品の中には、今回田中様にご購入いただいたシリコン製品など、通常の配送過程では割れないと予想されているものもございます。そのため、配送コストなどの関係から現在はすべての商品にワレモノシールを貼る、という対応はいたしておりません。
しかしながら、田中様がおっしゃるように、お客様が楽しみにしてくださっている商品を少しでも安全な状態でお届けすることも私どもの義務であると考えております。
今すぐにお約束ができることはございませんが、貴重なご意見として大切に検討させていただきます。
この度は、田中様のお時間とお気持ちを割いていただき大変恐縮でございます。
また商品破損の可能性など、ご心配もおかけいたしました。申し訳ございませんでした。
今後とも、何卒ご愛顧くださいますようお願い申し上げます。
クレームへの謝罪文の書き方
以下ではクレーム謝罪文の書き方のポイントについて解説します。例文と併せて確認してみましょう。
①挨拶とお詫び
まずは挨拶とお詫びからです。クレームに限らず、謝罪文はできるだけ早く本題に入り、お詫びの言葉を伝えなくてはなりません。
そのため、挨拶は時候の挨拶などではなく「平素よりお引き立ていただきありがとうございます」など簡潔なものを選びましょう。挨拶の後は、すぐにクレームに対する謝罪の言葉を続けます。
注意が必要なのは「こちら側に非がないクレームへの謝罪文の場合」です。こちらに非がない場合、安易に謝罪の言葉を出すことはできません。
②現状の事実と進捗の報告
お詫びの次には、現状と進捗の報告です。先方からいただいた意見や要望に対して、今現在どのように事が進んでいるのかを書きます。
対応や事情が二転三転している場合は、時系列でどのような経緯をたどって、現在どうなっているか、というところまで書いておくと良いでしょう。
③今後の対応・改善策
相手からの意見や要望によって、会社や店舗の体制が変更になった場合はその事実について伝えます。特に表立った変更がない場合は、今後の取り組みや改善策などについて記載すると良いでしょう。
クレームの謝罪文において「意見や要望による変更や取り組みの改善がない」ということは、相手の意見を受け入れないという姿勢をと受け取られてしまいます。
自社に非がある場合は、何らかの報告ができるよう手配や共有をする必要があります。
④締め文とお詫び
最後は、文章を締める文と改めてのお詫びです。
締め文はクレームの内容にもよりますが、基本的には「今後ともお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます」などが一般的です。
その後に「この度は誠に申し訳ございませんでした」など、改めてのお詫びの言葉で終えます。
クレーム謝罪文の注意点
最後に、クレームの謝罪文を書くときの注意点について解説します。
①迅速に作成する
まずは「クレームの謝罪文はできる限り迅速に作成して投函する」ということです。
日本には「お詫びは遅れてはならない」という風習があります。クレームの謝罪文も同様です。クレームが発生し、必要な対応が終わったらすぐに謝罪文を作成しましょう。
②嘘や確かでないことは書かない
次に「本当のことしか書かない」ということです。クレームは先方の温度感が高いと、どうしても委縮してオーバーなことを書きたくなります。
しかし、クレームの謝罪文に嘘や大げさな表現、確かでない事実、は書きません。万が一、それが事実と異なることを先方が知ってしまえば、二次クレーム・三次クレームへと発展します。
クレームの謝罪文は正直に、事実のみを書くように意識しましょう。
③相手を責めない
次に「相手を責めない」ということです。クレームの内容によっては、先方の確認不足や思い込みによる落ち度もあるかもしれません。しかし、それを指摘するのは逆効果です。
先方が取引先や顧客である以上、クレームを受けた側は相手のミスを責めることができません。
④理由なく謝らない
次に「謝罪には理由をつける」ということです。理由なく、ただ「申し訳ございません」と繰り返すのではなく、何についてお詫びしているのかを都度明確にします。
例文のように「不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」などがその例です。これは口頭でもメールでも変わりません。
また、本来であればこちら側が謝ることではないものについてもお詫びはしません(上記の「こちらに非がないクレーム謝罪例文を参照)。
⑤クレームという言葉を使わない
最後は、謝罪文の中や口頭の会話の中で「クレーム」という言葉を使わないことです。
こちら側にとってはクレームでも、先方にとっては意見や要望という認識であることが多く、クレームという言葉に不快感を持つ人は多いようです。