目次
「さも」の意味と漢字
まずは「さも」の意味と漢字について解説します。
「さも」とはその通りに違いないと感じる様子
「さも」は「さも〇〇」という形で使われる言葉です。その人の行動や表情、態度などから、その通りに違いないと感じさせるような様子を「さも」で表します。
彼はさも当然という顔をして、私に残業を押し付けてきた
彼女はさも最初からわかっていたような態度をとっていたが、内心かなり驚いたことだろう
私はつい強がって、さも平気に装ったが、後で悲しさが押し寄せてきた
「さも当然」は「その人の言動や態度から、それが当然であると感じるような様子」を指します。他の「さも最初からわかっていた」「さも平気」も同様です。
「さも」の漢字は「然も」
「さも」は漢字で書くこともできます。漢字では「然も」です。
「然」には「そう、そうです」などの意味があります。この意味を「さも」の言葉の意味に当てはめて「然も」と書きます。
「さも」の使い方と例文
次に、「さも」の使い方を例文と一緒に解説します。
さもありなん
「さもありなん」とは「まさに予測していたことであって、今さら驚くにあたらないこと」という意味です。漢字では「然もありなん」と書きます。
あの会社は商品も悪ければ社員の態度も悪かった、倒産間近と聞いてさもありなんだと思ったよ
彼は仕事ができるだけでなく、人にも親切だし、ユーモアもある、人気があるのはさもありなんだ
「さもありなん」は言い換えると「当然だろう」です。例文を「当然だろう」に変えてみるとわかりやすいでしょう。
- 商品も社員の態度も悪い会社が倒産と聞いた→当然だろうと思った
- 仕事ができて人にも親切、ユーモアもある彼は人気がある→当然だろう
「さもありなん」は、意味を知らない人にとっては少し理解がしにくい言葉かもしれません。
さも〇〇のように
「さも」を使った言葉に多いのが「さも〇〇のように」です。〇〇の部分には、その人の様子や状況を例えるものが入ります。
彼はさもベテラン社員のようにふるまっていた
私はさも当たり前のようにその席に座った
この「さも〇〇のように」は、実際には〇〇ではない場合に使われます。
- さもベテラン社員のように→実はベテラン社員ではない
- さも当たり前のように→実は当たり前ではない
実際とは違う言動をとることについて「さも〇〇のように」と使うことを覚えておきましょう。
さもないと
「さもないと」とは「そうでなければ」という意味です。
今日は早く帰宅しなさい、さもないと台風が来てしまうよ
早く宿題を終わらせて、さもないと今日はおやつは食べられないよ
「さもないと」は、相手を少し驚かすニュアンスが含まれます。脅したり、迫ったりするときに使われる言葉です。
さもしい
「さもしい」は「さも」や他の言葉とはまったく意味が違う言葉です。「さもしい」は「心が汚い・いやしい」という意味を持っています。
彼はなんというか…話せば話すほど、そのさもしさに気分が悪くなる人だ
あなたは彼女がさもしい人だというけれど、具体的にどんな部分でそう思ったの
「さもしい」については、「さも(然も)」の要素を含まない言葉ですが、意味を知らない人が多い言葉です。「さも」と併せて覚えておいても良いでしょう。
「さも」の言い換えに使える類語
次に「さも」の言い換えに使える類語について解説します。
いかにも
「いかにも」とは「まさにそうだというように」という意味の言葉です。「さも」と同じで「その通りに違いない」というニュアンスで使うことができます。
彼はいかにもわかったような顔をしていたが、その実何も理解していなかった
その人は、いかにも親切な人という印象で、その実も本当に親切な人でした
例文を「さも」に変えてみても違和感がなく、意味が通じることがわかるでしょう。「さも」と「いかにも」の違いは言葉のニュアンスです。
さもあらばあれ
「さもあらばあれ」とは「どういう最悪の事態になっても構わないという気持ち」を表します。漢字で書くと「さも有らば有れ」です。
もうここまで来たらどんと構えるだけだ、さもあらばあれ、来るなら来い
私は自分の思いを貫くことにしました、さもあらばあれ、課長のご心配はありがたいのですが、やはり退職します