「さしずめ」の2つの意味と例文!

「さしずめ」の意味と漢字

「さしずめ」は会話の中などで使われる言葉です。「さしずめ~だね」「さしずめ~といったところだろう」など、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

まずは「さしずめ」の2つの意味と、漢字について解説します。

「さしずめ」の意味は2つある

「さしずめ」には、大きくわけて2つの意味があります。

①そのものの特質を端的に表せばそう言えると判断する様子

1つ目は、物の特質を端的に表す意味での「さしずめ」です。

この遺跡はさしずめ現代のアミューズメントセンターと言ったところか

君などはさしずめ殿さまの役が似合うよ

彼女はさしずめ文武両道、頭もいいし剣道の腕も確かだ

例文を見ると「さしずめ」の前と後が同じことを指しているのがわかります。

つまり「さしずめ」の前のものを言い換えると、「さしずめ」の後のものになる、ということです。似た意味の言葉で言うと「つまり」「言い換えると」などが当てはまるでしょう。

②当面の差し迫った問題として、第一にそのことが考えられる様子

2つ目は、現時点でまず第一に考えられることを意味する「さしずめ」です。

さしずめ考えられるのは当事者の言い分を聞くことだね

さしずめひとあめほしいところだ

この問題は、さしずめ各自持ち帰って明日また話し合うことにしよう

この意味の「さしずめ」を言い換えるとすれば、「まずは」「とりあえず」などでしょう。今、この瞬間にまず最初に考えられること、を「さしずめ」以降で表しています。

「さしづめ」は誤りではないとも言われている

「さしずめ」は、「す」に濁点の「ず」を使います。一般的には「さしづめ」とは書きません。

「ず」と「づ」の違いは、言葉を二つに分けにくいかどうかです。言葉を二つに分けにくい単語は「ず」を使い、そうでないものは「づ」が使える、と現代仮名遣いで定義されています。

ただし、「さしずめ」の場合は「さしずめ」でも「さしづめ」でも漢字変換が可能なことから、「さしづめ」でも誤りではない、とする意見が多いようです。

漢字では「差し詰め」

「さしずめ」を漢字で書くと「差し詰め」です。「差し詰め」は、「さしずめ」の語源からきています。

「差し詰め」の「詰め」とは、話を詰めるなどの詰めるで、物事の最終局面であることを表しています。そのため、「さしずめ」を漢字にする場合は「差し詰め」が使われているのです。

「さしずめ」「差し詰め」のどちらで書いても特に問題はありませんが、一般的には「さしずめ」とひらがなで書かれていることの方が多いようです。

「さしずめ」の使い方と例文

次に、「さしずめ」の使い方を例文と一緒にみてみましょう。

仮の状態で要約したい場面

その状態や物事を、何と表現すれば適切かがわからない状態で要約したい場合に「さしずめ」を使うことができます。

このやり方はさしずめ、過去の踏襲という感じでしょうか

彼はさしずめヒーローだ、みんなが困っているときに現れて、さらりと問題を解決してしまうのだからね

例文では、頭の中に浮かんでいる名詞や表現が、適切かどうかはわからないけれど、とりあえずいったんその言葉を使って要約をしたい、という場面で「さしずめ」を使っています。

上段の例文では「過去の踏襲」という表現が適切かどうかはわからないけれど、今のところ自分にはこの表現しか思い浮かばない、という状態をイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。

とりあえずの対処法を示したい場面

差し迫った状況で、とりあえずの対処法を示す場面でも「さしずめ」が使えます。

今日はさしずめこの辺りにしておこう、続きは明日

では私は、さしずめ引き続きリサーチを進めておきます

どちらの例文も、その状況で、次の行動や対処を決めなければならないときに、「とりあえず」などの意味で「さしずめ」が使われています。

今後どうなるかは別として、まずは今の段階での結論、というイメージです。

「さしずめ」の言い換えに使える類語

次に、「さしずめ」と似た意味を持つ類義語について解説します。

いうなれば

「いうなれば」とは、「言葉にするとしたら」という意味の言葉です。

彼はいうなれば、会社の問題児だ、何でも勝手に判断してやってしまうのだから何かと問題が起きる

私はいうなれば、社長の右腕として働きたいのです

「いうなれば」には、自分の考えていることをあえて言葉にすると、もっとも近い表現はこれです、というニュアンスがあります。

例文で言えば「彼=会社の問題児、という表現がもっとも近い」という意味です。

とりあえず

「とりあえず」は日頃の会話でも頻繁に使われている言葉です。「今の時点では」という意味があり、仮の決定をする際などに使われます。

今日のところはとりあえず、彼には帰宅してもらうことにします

私はとりあえず、先方の意見を聞くことにしました

「さしずめ」を「現時点でまず第一に考えられること」という意味で使うほとんどの場合は、「とりあえず」で言い換えることができるでしょう。

例文で言えば、「現時点では、彼には帰宅してもらうのが第一に考えられること」、「先方の意見を聞くことが現時点では第一に考えられること」、です。