「口を挟む」の意味と例文!「口を挟む人」とはどんな人?

「口を挟む」の意味とは

日常会話やビジネスの場でたまに耳にする言葉に「口を挟む」があります。言葉の成り立ちから、何となく意味を推測することはできますが、いざ使うとなると少し迷いやすいかもしれません。

まずは「口を挟む」の意味について解説します。

「口を挟む」とは口を出すこと

「口を挟む」とは、口出しをするという意味です。この「口出し」とは、単に発言をするということではなく、「余計なことを言う、求められていない発言をする」という様子を表します。

幼い頃は、子供が大人の話に口を挟むものじゃない、とよく叱られたものです

彼は空気を読まずに口を挟んでくるので、苦手意識を持っている人もいるだろう

口を挟むようで恐縮ですが、その案はどうかと思います

「口を挟む」は自分以外の人が望まれていない発言をするときだけでなく、自分が発言をする場面でも使えます。自分が発言をする際に使う「口を挟む」は、自分の発言や発言しようとする行為そのものを卑下する役割です。

つまり「口を挟む」という言葉自体には良い意味やニュアンスがなく、他人に使う場合はその人の発言内容や発言する行動を非難する意味合いを持ちます。

 

「口を挟む」の使い方と例文

次に「口を挟む」の使い方を例文と一緒に解説します。

「口を挟む隙もない」とは口出しできない様子

「口を挟む」を使ったフレーズに「口を挟む隙もない」があります。

「口を挟む隙もない」とは、その場の会話や、すでに発言をしている人の口調や話す内容にスピード感がある、あるいは、主張が強すぎて反対意見を述べられない、という意味です。

彼女の怒りはそれはそれはすごいもので、口を挟む隙もなかった

部長は元々早口な上に、自分の意見を言うときはかなりのスピードで話すものだから誰も口を挟む隙もないんだよね

例文のように、「口を挟む隙もない」はその当事者がいないところで使われるのがほとんどです。その場にいなかった人へ、当事者がどのような話し方をしていたのか、ということを伝える場面などで使われます。

「口を挟む人」とは不躾な発言をする人のこと

「口を挟む人」とは、状況によらず不躾な発言をする人のことを意味します。

田中さんは何かにつけて口を挟む人、として社内では有名です

みんなの意見を平等に聞きたいのに、口を挟む人がいたものだから、最終的にかなり偏った意見となってしまった

「口を挟む人」は、単に言葉数が多いだけでなく、無遠慮に好きなことを好きなタイミングで言う人のことも指しています。

いずれにしても、周囲や自分が望んでいない発言を望んでいないタイミングでする人を「口を挟む人」と表すことが多いでしょう。

「口を挟むようですが」は話に割って入ること

ビジネスのシーンでよく使われるフレーズに「口を挟むようですが」があります。「口を挟むようですが」は、自分が発言をする際の枕詞として使われます。

ちょっとよろしいでしょうか、口を挟むようですが、その件についてはもう少し話し合いを重ねた方が良いように思います

口を挟むようで恐縮ですが、この案には無理があるように思うのです

「口を挟むようですが」は、本来であれば自分が発言するタイミングではない、あるいは、自分の立場で言うべきことではない、と思えることを発する時に使われます。

結果として、それが本当にタイミング・内容ともに自分が発することかどうか、という点は問題ではありません。あくまでも、発言に際してのクッションのような言葉と考えて良いでしょう。

「口を挟む」の丁寧な敬語は「ご意見を賜る」

「口を挟む」は、先に解説したように良い意味では使われません。しかし、時に「目上の人からの意見」が、口を挟むような状況で出されることがあります。

そのような場合は「口を挟む」ではなく、「ご意見を賜る」など別の言葉に置き換える必要があるでしょう。

× (その話題に直接関係がない人からの発言を受けて)口を挟んでいただきありがとうございます

ご意見を賜り、大変ありがたく存じます

これは、相手が「口を挟むようですが」などと謙遜して発言をした場合も同様です。

「口を挟む」は、直接相手に向けて発して良い言葉ではないため、「ご意見を賜り」「お考えを教えていただき」「ご配慮いただき」など、別の言葉にして表現するようにしましょう。

「口を挟む」の言い換えに使える類語

次に「口を挟む」と似た意味を持つ類義語について解説します。

「余計なこと」は不要を承知でする発言

「余計なこととは存じますが」というフレーズは、「口を挟むようですが」と非常に似た意味を持っています。どちらも、自分の発言を謙遜し、相手へ遠慮している様子を表す言葉です。

余計なこととは存じますが、今の内から準備を始めておいた方が良いのではないでしょうか

余計なことを承知で申し上げますと、この件についてはしばらく伏せておいた方が良いと思います

「余計なこと」と「口を挟む」にはほぼ違いはありません。どちらも、へりくだった表現で、ビジネスシーンの目上の人との会話にも使えます。

「参考までに」は耳に入れておいて欲しいこと

「参考までに」も、「口を挟む」と似た意味を持っています。「参考までに」とは、言葉通り「参考までに聞いて欲しい」という意味を持つフレーズです。

あくまで参考までに申し上げますが、昨年もこのキャンペーン中は雨が降っていました(だから時期をずらした方が良いのではないか)

この商品のユーザー層は20代の女性です、参考までに申し上げておきます

「参考までに」には、へりくだった姿勢を表す以外にも、本当に参考にして欲しくて発言をする場合ががあります。その時の「参考までに」が、どちらの意味合いで使われているのかは、状況や「参考までに」の前後の発言によるでしょう。

例文上段のように、「参考までに」という言葉の後に本当に言いたい事を含ませている場合もあるため、その発言だけでなく、前後の会話も含めてどのような意味で使われているのか考える必要があります。

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