「徒労」の意味とは?徒労に終わる・徒労に帰すの例文も!

「徒労」の意味とは

「徒労」という言葉は日常の会話でも比較的頻繁に使われています。どちらかと言えば、ネガティブな内容の会話で使われる言葉ですが、詳しく意味を知らないという人も多いかもしれません。

まずは、以下で「徒労」の意味について解説します。

「徒労」とは無駄なことに力を尽くすこと

「徒労」とは、簡単に言えば「無駄になってしまった努力」のことです。自分の力を尽くして、精一杯頑張ったのに、それが無駄になってしまったということを「徒労」と言います。

彼はこの試験の為に、一人きりで本当によく頑張っていたのだけど、残念なことにそれが徒労となってしまった

私は結果として徒労になっても構いません、できる限りのことを精一杯やりたいのです

目標や目的に向かって努力した結果、それが叶わなかった場合に「徒労」が使われます。もちろん、その人が努力したことが、本当にまったくの無駄となるかと言えばそれは別の話です。

少なくとも、目指していた成果が出ず「こんなに努力をしてきたのに」という思いを言葉にしたものが「徒労」です。

「徒労」の使い方と例文

徒労は、「徒労」という言葉だけでも使いますが、他の言葉と組み合わせたフレーズとしても使われます。

以下では「徒労」を使ったフレーズの中でも、比較的頻繁に使われるものについて解説します。

「徒労に終わる」は失敗に終わる

「徒労に終わる」とは、これまで努力を重ねて来た結果が良いものではなかった、という意味です。

彼はこのプロジェクトのために、プライベートも犠牲にして頑張って来たが、それも徒労に終わってしまった

私は、周囲からの「そんなに努力をしても徒労に終わるのがオチだ」という言葉を無視することにしました

「徒労に終わる」は、その人が良い結果が出る、と信じてやってきたことが失敗した時に使うフレーズです。「やるべきことを精一杯やった上での失敗」を徒労に終わる、で表現できます。

また、その失敗からまたもう一度チャレンジをする、という場面では「これまでの努力を徒労に終わらせるわけにはいかない」などの言い回しがされることもあります。

「徒労に帰す」は努力がなかったことになる

「徒労に帰す(とろうにきす)」とは、それまでの努力がゼロになるという意味です。

彼女がこれまでやってきたことも、たった一度の人事で徒労に帰すことになった、彼女がその企画からあっさりと外されてしまったからだ

私はあの時、まさか自分のこれまでの頑張りが、徒労に帰してしまうなんてことは考えていませんでした

「徒労に帰す」とは、それまでの努力や工夫がすべて水の泡になることを表すフレーズです。

上手く行くことを目指して一生懸命にやって来たことが、何らかの理由でスタートに逆戻りする、あるいはそもそもなかったことになってしまう、という状態を「徒労に帰す」と言います。

「徒労感に襲われる」は努力の末の失敗に落胆すること

「徒労感(とろうかん)に襲われる」とは、その人が目標や目的のために頑張った挙句、それが失敗に終わってひどく落ち込むことです。

彼はあれだけ頑張って来たのに、良い結果が出なかったことで、ひどい徒労感に襲われていた

あの時の私は徒労感に襲われていました、努力は裏切らないと信じ切っていたからです

「徒労感」は、疲労感や幸福感などと同じように、人の感情を表しています。それまでの努力が実らず、そのショックで落ち込むことを「徒労感」と表しています。

「襲われる」という部分は比喩ですが、まるで徒労感が生き物のようにその人に襲い掛かって逃れられない、という様子を言葉にしています。

「徒労する」とは言わない

「徒労」の使い方でひとつ注意点があります。それは「徒労する・徒労しない」という形ではあまり使わないということです。

「徒労」は名詞です。そのため、動詞とセットにする必要があります。本を読む、テレビを見る、などと同じです。「名詞+する」の形の中には「電話する」など、一般的になった表現もありますが、これも本来は「電話をかける」です。

少なくとも、「徒労する」は自然な表現ではないため、先に解説したフレーズとして使った方が無難でしょう。

「徒労」の類義語と対義語

「徒労」には、似た意味を持つ言葉がたくさん存在します。状況や伝えたいニュアンスによっては、類語を使った方が良いこともあるでしょう。

以下では、「徒労」の類語と反対の意味を持つ対義語について解説します。

類語は「無駄骨・不毛」

「徒労」の類語には「無駄骨」や「不毛」があります。

「無駄骨」とは無駄な努力

昔から、努力や工夫を重ねることを「骨を折る」と表現します。この骨を折ったことが無駄になる、という様子を表すのが「無駄骨(むだぼね)」です。

やっと目的地に到着したのに、財布を忘れて来たことがわかって、これまでの道のりが無駄骨となった

彼が一生懸命に取り組んでいた企画が頓挫し、結果的にかなりの無駄骨を折ったことになった

「無駄骨」はそれだけでも使えますが、下段の例文のように「無駄骨を折る」という言い方もできます。無駄骨も無駄骨を折るも、意味は同じです。どちらかの程度が大きい、ということもありません。

「徒労」と同じように、それまで積み重ねて来たことが無駄になってしまう、という意味で使えます。

「不毛」とは結果が期待できない努力ややり取り

「不毛(ふもう)」とは、その努力ややり取りを続けても、結果が期待できないものであることです。

彼女の努力は見当違いで、それが不毛となることは、誰の目にも明らかだった

こんな不毛な議論を続けて、いったい何のためになるというのだろうか

もともとは「不毛」とは、土地がやせていて実りが期待できないことを表現する言葉です。この意味を、人の努力ややり取りなどに当てはめて、結果が期待できないことを「不毛」と言います。

「徒労」が結果の後に使われることが多いのに対して、「不毛」はどちらかと言えば結果の前の段階で使われることが多い言葉です。

徒労の対義語は「有意義」

「徒労」と反対の意味を持つ言葉はいくつかありますが、その中でも使いやすいのは「有意義(ゆういぎ)」でしょう。

有意義とは、意義(行為や物事の価値)が有る、という意味です。

受験勉強中は本当につらいことばかりでしたが、今思えばそれはとても有意義な時間でした

彼は精一杯努力をして、結果を出した、それはつまり彼の努力が有意義なものだったということだ

「有意義」は日常でもよく使われている言葉で、馴染みがある人も多いでしょう。

「徒労」は結果が出なかった場合に使いますが、「有意義」は基本的には良い結果が出たときに使います。

しかし、結果が良くなかったとしても、その過程に意味を見出した、などの場合は「有意義」を使うこともあります。「結果は出なかったけど、努力を続けられたことは有意義なことだった」などがその例です。