「空虚」の意味と例文!「虚無」との違いとは?

「空虚」の意味と読み方

小説や文章の中で目にする「空虚」という言葉は、口頭の会話でも使われることが多くなりました。しかし、「空虚」を何となくのイメージで使っている、という人も多いのではないでしょうか。

まずは「空虚」の意味と読み方について解説します。

「空虚」の意味は空っぽ

「空虚」とは、「中身がない、空っぽの状態」という意味の言葉です。

そこを満たしているべきものが何もない様子、見せかけだけで実質的な価値や中身がない様子を「空虚」と言います。

私は今回のミスでこれまで手にして来たものを全て失った、今の私は空虚そのものだ

彼は外見こそ整えているが、話してみると何も考えてはいない人で、まるで空虚そのもののような人だった

父は愛犬を亡くして、空虚にさいなまれていた

この「空虚」が示す「空っぽ」とは、人の感情や張り合いがなくなることを意味しています。

「空虚」の意味に含まれている「見せかけだけで実質的な価値や中身がない様子」が、見た目には特に変わりはなく、人として正常に機能しているように見えても、その実は心の中がからっぽという様子に繋がります。

何かしらの出来事によって、その人のやる気や気力、またはお金や仕事など物質的なものを失くしてしまい、まるでその人の心の中に何もなくなってしまったような状態が「空虚」です。

「空虚」の読み方は「くうきょ」

「空虚」は「くうきょ」とよみます。

「空」にはいくつかの意味がありますが、「空虚」の場合の「空」はからっぽを意味しています。読み方は「くうきょ」以外にはなく、からきょ・そらきょ、はいずれも間違いです。

「空虚」の使い方と例文

次に、「空虚」の使い方を例文と一緒に見てみましょう。

「空虚感」で「空っぽの様子」を表す

「空虚」を使った言葉で、よく目にするのが「空虚感(くうきょかん)」です。「空虚感」とは、空虚を感じている、感情そのものを指しています。

恋人と別れた兄は空虚感でいっぱいだ

生きがいを失くした私には、空虚感しか残っていなかった

「空虚」の場合は「~を感じる」と表しますが、「空虚感」は「~を感じる」まで含めているので、「ある・ない・いっぱい・しか・だけ」など、さまざまな言い方をすることができます。

そのため、「空虚感を感じる」としてしまうと、「空虚を感じていることを感じている」という意味になるので注意が必要です。

自分が空虚感を持っているということを、改めて感じていると言いたい場合は「空虚感を覚える・空虚感があるとわかる」など、別の言葉と併せた方が良いでしょう。

「空虚」は感じる・埋める・苛まれるなどで表す

「空虚」は「~を感じる」で表します。しかし、その他にも「埋める・苛まれる」など、別の言葉と併せることで、詳細な状態を表すこともできます。

独りぼっちになった私は、生まれて初めての空虚を感じた

大きなショックを受けた私の空虚は、たくさんの友人によって埋められた

彼女は家族を失い、空虚に苛まれている

「空虚を埋める」とは、ぽっかりと空いてしまった心の中の穴を埋める、という比喩表現です。実際に心に中に空いた穴は見えませんし、その存在も不確かです。しかし、その穴が現実にあると仮定して、その穴を埋める、と表現しています。

また、「空虚に苛まれる」とは、自分の中にある空虚に苦しめられるという意味です。心が充実しておらず、さみしさや辛さを抱えて苦しむ様子が「空虚に苛まれる」です。

「空虚」の類語と対義語

次に、「空虚」と似た意味を持つ類義語と、反対の意味を持つ対義語について解説します。

「空虚」の類義語は「虚無・虚無感」

「空虚」の類語には「虚無(きょむ)・虚無感(きょむかん)」などがあります。「虚無」とは「むなしい感情、なにもない様子」のことです。

当時の私は仕事への熱意を失って、虚無感でいっぱいだった

今の彼女は、恋人との別れによって虚無そのもののようだ

「虚無」や「虚無感」は、胸の中に何もない、あるいは胸にあるものによって苦しめられる、などの理由でむなしい感情になることを指しています。

「空虚・虚無」のどちらにも使われている「虚」には、「何もない」という意味があり、「空虚」と同じように気持ちの中によりどころとなるような感情がない様子を表します。

「空虚」の対義語は「満足・満足感」

「空虚」と反対の意味を持つのは「満足・満足感」などです。「満足」は気持ちが満たされている様子を表す言葉で、日常でもよく使っている人が多いでしょう。

私はその結果に非常に満足している

彼は仕事が思うように進み、プライベートも充実していると聞いた、道理で満足感に満ちているわけだ

「空虚」や「虚無」は、からっぽで何もない、という状態でした。その反対である「満足・満足感」は、心の中が満たされている様子を表します。

何らかの事情によって、空虚となった心の中が、幸運な出来事や本人・周囲の努力などによって満たされた時に「満足・満足感」へとつながる、と考えると「満足・満足感」は反対語であると同時に、「空虚」の延長線上にある言葉、と考えることもできそうです。