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お布施の封筒と表書きの仕方
お布施とは僧侶へ渡す、読経や戒名の「お礼(お金)」のことです。仏教だけでなく、神式・キリスト式でもお礼は必要です。
お布施は白無地封筒に入れる
お布施は、封筒に入れて宗教者へ渡します。お布施は「白地の無地の封筒」に入れるのが基本です。
「三越伊勢丹の儀式110番(誠文堂新光社)」によると、仏教では、白無地の封筒以外に「奉書紙(和紙と考えて問題ありません)」にお金を包んでも良い、神式では「麻ひもま結びの不祝儀袋」を使っても良い、とされています。
また、「お布施の金額によって多当折の白無地封筒に入れる」としているネット情報もありますが、同書籍によれば「お布施は白無地の封筒で水引は不要」と記されています。
形:一般的な縦型の白無地単純封筒 または奉書紙
色:白
水引:なし
のし:なし
形:一般的な縦型の単純封筒(または「麻ひもま結びの不祝儀袋」)
色:白
水引:なし
のし:なし
形:一般的な縦型の白無地単純封筒
色:白
水引:なし
のし:なし
市販のお布施用封筒はさまざまある
お布施は宗教者へのお礼であり、故人とその家族へのお悔やみである「香典」とは異なります。
そのため、お布施に不祝儀袋は使いません。
しかし、市販されている「お布施用封筒」にはさまざまな種類があります。実際に、黒白・双銀・黄白の水引がついた不祝儀袋も「お布施用」として販売されています。
特に理由がないのであれば「白無地の封筒または奉書紙」を使っておくのが無難でしょう。
筆は薄墨ではなく黒い墨を使う
僧侶へのお礼として渡すお布施は、通常の黒い墨(濃墨)で書きます。薄墨は使いません。
薄墨とは、香典の表書きなどに使われる、グレーがかった薄い墨のことです。
「故人を偲んで墨が涙で薄まった様子を表す」
「故人を想って急いで来たために十分に墨をすれなかった様子を表す」
など諸説ありますが、「お布施」は僧侶への感謝の気持ちを伝えるものであり、故人への思いとは別です。
香典の薄墨と、お布施の濃墨は混同しやすいので注意しましょう。
サインペンやボールペンはNG
「お布施」は、筆(または筆ペン)で書きます。
香典など、不幸を聞いて急ぎ駆けつける場合は筆でなくても良いですが、お布施は葬儀を出す側が事前に用意するものです。そのため、間に合わせで使うサインペンやボールペンでの文字は、お布施にはふさわしくありません。
封筒の表書きは宗教に合ったものを
封筒の表の上半分の真ん中には縦書きで、宗教に合った「お礼」を意味する文言を書きます。
仏教:お布施・御布施(おふせ)/御礼(おれい)
神式:御榊料(おさかきりょう)/御祭祀料(おさいしりょう)/御玉串料(おんたまぐしりょう)/御神饌料料(ごしんせんりょう)/御祈祷料(ごきとうりょう)/御礼
キリスト式:献金(けんきん)
仏教では「御回向料(ごえこうりょう)・御経料(どっきょうりょう)」という言葉もあります。これらの言葉を「お布施」の意味で書くという人もいるようです。
しかし「冠婚葬祭お金とマナー大事典(主婦の友社)」によると、「御回向料・読経料」などの「料」が付いた言葉を使うと、お礼ではなく「料金」としての意味合いが強くなるため、「お布施」と書くのが正しいと記載されています。
下半分には家名または喪主(代表者)のフルネーム
「御布施」など宗教に合った文言を書いたら、その真下(下半分の真ん中)に代表者、または喪主の名前を書きます。
また「表書きを「〇〇家」とした場合は、裏書に喪主または代表者の名前を記載する必要がある」とする葬儀関連記事もあるため、特に理由がなければ表書きをフルネームにしておいた方が無難でしょう。
上:宗教に合った文言
下:喪主または代表者のフルネーム または家名(家名の場合は封筒裏に喪主のフルネームを書く必要があるといわれている)
通常はお布施を連名では出さない
お布施は、故人やその家族に渡す香典とは別のものです。そのため、宗教者へのお礼であるお布施を、複数人の連名で出すことはほぼありません。葬儀関連の書籍にも、連名でのお布施についての解説は見当たりません。
もしも、何等かの事情により複数人でお布施を出し合う場合は、表書きに代表者の名前を書き、裏書きに全員の名前を書くか、名前を金額などを書いた目録を同封することになります。
お布施の相場と渡し方
以下では、お布施額の相場とお布施の渡し方について解説します。
お布施の相場は15万円~
お布施は、宗教者へのお礼であるため「気持ち」で決めるものと言われています。しかし、気持ちと言ってもいくら包めば良いか判断は難しいかもしれません。一般的な目安は以下の通りです。
俗名:15万円~
信士・信女:10万円~50万円
居士・大姉:3万円~70万円
院居士・院大姉:1,000,000円~1,350,000円
【神式】
50,000円~300,000円
【キリスト式】
100,000円~400,000円
宗教や宗教者によっては、あらかじめお布施額(御礼額)を決めていることもあります。宗教者へ聞きにくい場合は、葬儀の相談役などへ目安を聞いても良いでしょう。
お布施の金額は封筒に書かない
お布施は香典と違い、封筒に金額を書く必要がありません。「金壱拾萬円」などと書くのは香典です。混同しないようにしましょう。
・目安通りの金額と決まっているわけではない
・宗教家や葬儀関係者へ相談して決めると良い
・封筒にお布施額を明記する必要はない
お札向きと入れ方
お布施を封筒や中袋に入れるときは、封筒の表に紙幣の表(肖像の顔)が来るように入れます。また、お札の上下は、封筒の口の方にお札の肖像の顔が来るように入れます。
お札が裏になったり、上下が反対になったりしないように注意しましょう。
お札はできるだけ新札を使う
お布施は「お礼」なので、極力新札を使うようにします。新札は銀行で用意してもらえますが、銀行の都合で新札への両替ができない可能性もあります。できるだけ余裕を持って、事前に準備しておくと安心です。
・封筒の口側に肖像画が来るように入れる
・お札はできるだけ新札を使う
お布施の渡し方
お布施はお盆に乗せて、僧侶へ差し出すのが一般的です。お布施の方向は、差し出したときに僧侶から見て「お布施」の文字が反対にならず読めるように置きます。
「三越伊勢丹の儀式110番(誠文堂新光社)」によると、お盆がない場合は菓子折りの上にお布施を載せて差し出しても良いようです。
仏教で僧侶へ品物を渡したい場合は「御礼」「御供」
葬儀や法要の際に、僧侶へお布施とは別にお礼の品物を渡したい場合は、無地の短冊に「御礼」または「御供」と書きます。
品物を包む包装紙は、控えめな色柄のものを選びましょう。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは、仏教では「葬儀や通夜、法要が終わったとき」、神式では「葬儀や法要の翌日または翌々日に持参」とされています。
・【仏教】通夜と葬儀を一括して同じ僧侶が行う場合は、葬儀が終わったタイミングで「通夜分・葬儀分」の金額を合わせて封筒に入れて渡す
・【仏教】葬儀社から紹介された僧侶など、通夜と葬儀で異なる僧侶が行った場合は、「通夜後」「葬儀後」とその都度お布施を渡す
・【仏教】法要の場合は、法要が終わったタイミングで渡すのが一般的
・【神式】葬儀や法要の翌日または翌々日に持参する