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読書感想文の例文と書き方
読書感想文は課題図書の感想を書くものですが、課題図書は、自分が読みたいと思って選んだ作品ではありません。もともと関心のなかった作品を読まされても、感想を書くことはなかなか困難です。
そこで、ひとつの解決策として、自分自身を小説の主人公や他の登場人物に置きかえてみて、自分ならどう思うか、自分ならどう行動するかと考えて見ましょう。
そうすると、自分にも同じ体験があった、あるいは自分だったら逆のことをするだろうと想像が広がり、そこから文章を書くことができます。
読書感想文の書き方
読書感想文に正解はありません。読書感想文とは、その本を読んだ自分の感想です。自分が思ったり感じたりしたことを文章にしましょう。
しかし、思ったまま、感じたままに読書感想文を書くと、読み手が読みにくい文章になることもあります。読書感想文の大まかな構成を知っておくとまとまりのある文章にすることができます。
なぜ自分がその本を読もうと思ったのか
まず最初は「なぜ自分がその本を選んだのか」ということについて書くと、その後の文章が書きやすくなります。
「私は○○というこの作者のことをテレビで見て興味を持ちました。そのため○○の著書の中からこの○○を選びました」「図書館に並んでいた本の中で、この本の表紙がとても気になりました」など、どのような動機でも構いません。
共感できた主人公や登場人物・著者について書く
その本に登場する主人公やその他の人物、または著者自体に自分が共感できる場合はそのことについて書きます。
「私は登場人物の中でも○○の感情に大変共感しました」「私は著者の○○という考え方にとても共感できました」などの言葉から書き始めると、その後の文章が書きやすくなります。
また反対に、自分が共感できなかった感情について書くのも良いでしょう。
自分だったらどうするか
物語であれば「主人公は○○をしましたが、もし私だったら○○はせず、○○をするかもしれません」「物語の中に私がいたとしたら、きっと○○したと思います」など、物語に自分を投影した感想もあります。
読んだ本が物語りでない場合は、著者に対しての自分を書きます。「私なら著者のように前向きな考えを持つことはできなかったと思います」など、著者を自分に置き換えて感想を書くのも良いでしょう。
印象に残ったフレーズ
本を読んだ後、心や印象に残っているフレーズがあればそのことについても触れましょう。
「私はこの物語の中の”○○○○”というフレーズが心に残りました。なぜなら~」と、なぜそのフレーズが印象に残ったのかということについて書きます。
ここで大事なのは「なぜなら」の後の部分です。なぜそのフレーズが自分の印象に残ったのか、という理由を分析して書くようにしてください。
本から学んだこと
読書感想文には「この本から学んだこと」も書きましょう。その本を読む前と読んだ後の、感情の違いや考え方の違いについて書くと良いかもしれません。
どんな本でもまったく学ぶことがないということはないはずです。たとえ共感できない内容の本であっても「こういう考え方もあることを知りました」などの角度から、感想文にすることも可能です。
読書感想文を書くときの注意点
読書感想文は、基本的には自由に、思うように書いて良いものです。しかし、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
あらすじは触れる程度にする
読書感想文は、感想を書くものなので、物語のあらすじや本の内容についてはあまり触れません。あらすじや内容に触れすぎると、読書感想文ではなく、本の説明文となってしまうためです。
良いことばかり書かなくても良い
読書感想文は、特に良いことばかりを書かなくてはならないものではありません。本を読んだ人の感想は人それぞれです。
もしも、その本について良い感情を持てなかったのであれば、どんなところに良い感情が持てなかったか、自分ならどう考えるか、ということに焦点を当てて書いても良いでしょう。
読書感想文の例文・冒頭部分①
タイトル「〇〇」
私はこの夏「〇〇」という本を読みました。
ある日、何気なくテレビを見ていたらこの本の著者〇〇さんが「〇〇」について話す様子に好感を持ったからです。楽し気な口調で、スリリングでありながら思わず笑ってしまうような物語にしたかった、と話される様子にこちらまでわくわくしました。
物語の舞台は現在の日本。毎日大学とサークル活動に明け暮れるひとりの男性が、あることをきっかけに私立探偵の助手をすることになります。最初は割の良いバイトに出会えてラッキーだ、と気楽に考えていた主人公でしたが、気がつけばとんでもない事件に巻き込まれていたのです。
それまでの生活では味わうことがなかった恐怖を感じながらも、好奇心を止められず突き進んでしまう主人公には共感する部分も多く、気がつけば手に汗を握りながら読み進めていました。同時に、時に垣間見える主人公の楽観的な性格や、すぐに調子に乗っては失敗して探偵に叱られるシーンなどでは思わず声を出して笑ってしまいました。
私がこの物語の中で印象に残っているのは、主人公がある登場人物にかける「〇〇」というセリフです。……
【読書感想文の例文・冒頭部分②】
ウイリアム・フォークナーの『乾燥の九月』は、アメリカ南部の田舎町を舞台にしたハードボイルド小説です。南部の九月は、ムッとする熱気があふれています。汗がじとっとシャツににじみ、脇には汗染みが。そんな昼下がり、男たちがやって来る理髪店の会話は、暑苦しさを我慢しながら、ストレスが相当にたまっているという雰囲気。フォークナーのこの辺りの描写は、とてもリアリティを感じさせます。現代ならエアコン完備で、ショップの中はむしろ涼しい場所ですが、そういう現代に生きている私たちにも、フォークナーの文章は南部の熱気と閉塞した白人社会のストレスを実感させます。
理髪店の会話に、大佐と呼ばれている男が入ってきます。ここから、ハードボイルド小説らしい危険な話が展開してゆきます。………