目次
未曾有の意味と読み方
まずは「未曾有」の意味と読み方について解説します。
未曾有とはこれまでになかった出来事
「未曾有」とは、その類いの事件がこれまでに一度もなかった、ということです。
この夏の大雨による災害は、まさに未曾有と言って良いだろう
この年の日本では、未曾有の出来事が相次いだ
「未曾有」は、過去に例のないような、大きな出来事を指します。言葉の意味自体には、「未曾有」が示す出来事の良し悪しは定められていませんが、現代では主に悪い出来事について使われています。
未曾有の読み方は「みぞうぉう・みぞう」
「未曾有」は、読み方が難しく、読み間違いをしやすい言葉です。「未曾有」の本来の読み方は「みぞうぉう」です。
しかし、実際に口に出してみるとわかりますが、「みぞうぉう」は日本語としては発音が難しく、一般的には「みぞう」と発音されます。そのため現代の正しい読み方は「みぞう」です。もちろん、現代でも意識的に「みぞうぉう」と読んでも間違いではありません。
未曾有の漢字と語源
次に、「未曾有」の漢字と語源について解説します。
未曾有の漢字は未曾有・未曽有
「みぞう」は「未曾有」または「未曽有」と書きます。
未は「まだ・いまだ」、曾・曽は「かつて・これまで」、有は「ある・存在する」という意味です。曾・曽と有を、未が打ち消しているため、「これまでにまだ存在しない・かつて今までにない」という意味になります。
未曾有の語源は仏教に由来
「未曽有」という言葉は、もともと仏教で使われていた言葉だったそうです。
仏教で使われる「未曾有」は、神や仏の素晴らしさを称える言葉で「これまでにない素晴らしさ」などという意味で使われていました。そのため、仏教用語としての「未曾有」は、良い意味で使われることが多いと言われています。
未曾有の使い方と例文
次に、「未曾有」の使い方を例文と一緒に確認しましょう。
「未曾有の事態」は考えられないような惨事
「未曾有の事態」とは、とても考えられないような、ひどい状況を指す表現です。
今回の件は、自社にとって未曾有の事態と言っても過言ではないだろう、このままでは我が社は終わりだ
コロナウィルスの感染拡大が未曾有の事態であることは、全世界共通の認識だろう
「未曾有の事態」は、未曾有と言える事柄が起きた、もしくは今現在起きている状況を指す表現です。「未曾有」という言葉自体と同じで、やはりネガティブな出来事について使われます。
「未曾有の時代」は不幸なアクシデントが続いた時代
「未曾有の時代」とは、不幸な出来事が続いたある期間を指す場合に使われます。
過去10年は、我が社にとって未曾有の時代だったと言っても過言ではありませんでした
昨年は、日本だけでなく世界にとっても未曾有と言える、本当に大変な年でした
「時代」とは、通常かなり長い年月を区切ったその期間のことを指します。そのため、実際に数十年、百年単位で区切った本来の時代のことを指しても良いですし、数年・数十年など比較的短い個人的な時代を指しても問題ありません。
未曾有の言い換えに使える類義語
次に、「未曾有」と似た意味を持つ類義語の意味と、「未曾有」との違いについて解説します。
前代未聞との違いは出来事の印象
「未曾有」と似た意味を持つ言葉に「前代未聞(ぜんだいみもん)」があります。「前代未聞」とは、今までに聞いたことがないような、とても珍しい現象や事柄のことです。
暖かい九州地方で、1メートルの雪が積もるなんて、前代未聞だ
まだ5歳の子供が難関国家試験に合格するという、前代未聞のニュースを見た
「前代未聞」と「未曾有」の違いは、起った出来事の印象です。「未曾有」は、惨事や不幸な出来事を指すのが通常ですが、「前代未聞」はとても珍しいことであれば、ポジティブな現象や事件についても使えます。
未曾有の英語表現
最後に、「未曾有」の英語表現について解説します。
未曾有は英語で「Unprecedented」
日本語の「未曾有」を、英語で表す場合には「Unprecedented」を使います。「Unprecedented」とは「先例のない」という意味の形容詞です。
Our company experienced an unprecedented drop in earnings last year.
(我が社は昨年の利益が、先例がないほど落ちこんだ=我が社の昨年の利益は、未曾有の落ち込みだった)
「Unprecedented」には、直接「未曾有」という意味があるわけではありません。そのため、「Unprecedented」を使って表す状況が、日本語の「未曾有」に匹敵する状況である場合に、「未曾有」と解釈することになります。