目次
「矛盾」の意味と由来
まずは「矛盾」の意味と言葉の由来について解説します。
「矛盾」とは二つの事柄の辻褄が合わないこと
「矛盾」は「むじゅん」と読みます。意味は「二つの事柄の辻褄が合わないこと」です。
田中君は昨日、風邪をひいたからと欠勤したのに、夕べSNSで友達と飲みに行ったとアップしている、矛盾しているよね
私は部下に、どんな考えも受け入れると言ったのに、気が付くと社員の考えを片っ端から否定する、我ながら矛盾しているな
「矛盾」は、状況や相手の言い分、または自分の考えや発言の辻褄が合わないことを指摘する言葉です。そのため、「矛盾」がポジティブな意味で使われることはありません。
「矛盾」の語源となった物語は故事で漢文の「韓非子」
「矛盾」という言葉は、中国の漢文が由来と言われています。中国の漢文である「韓非子(かんびし)」では、ある商人について語られています。
楚の国に現れた商人は、矛(ほこ)と盾(たて)を売っていました。矛とは剣のような刀、盾とは剣から身を守る道具です。商人は矛を売るときには「どんな盾も突き通す矛」と言い、盾を売るときには「どんな刀からも身を守る盾」と言いました。
その様子を見ていた町人から「では、その矛でその盾を突いたらどうなるのか」と聞かれ、自分が辻褄の合わないことを言っていると気が付きました。このことから「辻褄の合わないこと=矛盾」と言われるようになったそうです。
「矛盾」の使い方と例文
次に、「矛盾」の使い方を例文と一緒に解説します。
「矛盾している」は使うシーンを選ばない
「矛盾」は、ビジネスシーンだけでなく、日常生活や友人同士の会話など、どんなシーンでも使える言葉です。ちょっとした辻褄の合わなさを指摘する場面から、公式な場まで使うシーンを選びません。
今日はあなたがカレーを食べたいというからカレー屋に来たのに、ハヤシライスを食べるなんて矛盾してるわ
会社からは予算の削減を求められているのに、営業部ではまだ使える機材を買い替えるなんて、矛盾しているとしか言いようがありません
「矛盾」は相手の意見の穴を指摘する場面で使える
「矛盾」は、辻褄の合わなさを指摘する言葉です。そのため、相手の意見や考え方の穴を指摘する場面でよく使われます。
あなたの考え方は矛盾している、なぜならAを取ればBは取れないのに、あなたはBも取ろうとしているからだ
今年の採用では、即戦力を求めているのに、未経験者ばかりを採用するのは矛盾しているでしょう
「矛盾」の言い換えに使える類義語
次に「矛盾」の類語について解説します。
「矛盾撞着」は矛盾を強調する四字熟語
「矛盾撞着」は「むじゅんどうちゃく」と読みます。「矛盾撞着」とは、矛盾の程度を強調する四字熟語です。
彼の言っていることは矛盾撞着、まったくもって話にならない
あの頃の私は世間知らずで、独りよがりな思考に溺れていました、今考えれば私の考えは矛盾撞着以外の何物でもありませんでした
「撞着」とは「辻褄が合わない・ぶつかる」という意味です。「矛盾」と同じ「辻褄が合わない」という意味を持つ言葉で、「矛盾」と一緒に使うことで、その意味を強調しています。
「齟齬」とは意見や事柄が食い違うこと
「齟齬」は「そご」と読みます。「齟齬」とは、意見や考え方がぶつかって食い違うことです。
彼と彼女の証言には齟齬がある、どちらが本当のことを言っているのか調べてみる必要があるだろう
今回のA社とのトラブルは、A社からの説明と担当した佐藤君の解釈に齟齬があることが原因でした
「矛盾」の英語表現と英文
最後に「矛盾」の英語表現について解説します。
「矛盾」は英語で「contradictory」
「矛盾」を英語で表す場合は、「contradictory」という単語を使います。「contradictory」とは「相反する」という意味の形容詞です。
They are contradictory to each other.(彼らはお互いに矛盾している)
This definition is contradictory.(この定義は矛盾しています)
少しカジュアルな表現であれば「You are arguing youself.」を使うことができます。「You are arguing youself.」は直訳すると「自分自身と議論している」となり、「矛盾している」という意味で使えるフレーズです。