「嘲る」の意味と例文!「蔑む」との違いとは?

「嘲る」の意味と読み方

小説など文章の中で「嘲る」という熟語を目にすることがあります。前後の文章からおおよその意味は理解できても、読み方がわからないという人は多いでしょう。

まずは「嘲る」の意味と読み方について解説します。

「嘲る」の読み方は「あざける」

「嘲る」は「あざける」と読みます。「チョウ」とも読みますが、送り仮名の「る」がついている場合は「あざける」です。

「嘲」には、一文字だけで「けなす」という意味があり、人や物事をけなす様子を表します。

「嘲る」とは軽蔑するような言動・態度

「嘲る」とは「面と向かって軽蔑するような言動と態度」のことです。

彼は嘲るようにして私を見た

私は彼を軽蔑する気持ちから、つい嘲るような視線を送ってしまった

どんな時であっても人を嘲って良い、ということはない

「嘲る」と言える言動は多くありますが、代表的なものは「小ばかにしたような視線を送る」「冷ややかな視線を送る」などでしょう。

その他にも、状況や人によって「嘲る」の表し方は異なるかもしれません。しかし、いずれの場合であっても、嘲っている人に嘲る気持ちがあって、その気持ちによって起こる言動が「嘲る」です。

また、嘲られた側も相手に嘲る気持ちが本当にあるかどうかは別として、相手から嘲られていると感じるような言動が「嘲る」だと言えます。

 

「嘲る」の使い方と例文

次に、「嘲る」の使い方を例文と一緒に解説します。

嘲るような笑い方

「嘲るような笑い方」とは、人を軽蔑してばかにしている感情が見て取れる笑い方のことです。

田中君の失敗を聞いた彼女は、まるで嘲るような笑い方をして、周囲を不快にさせた

あの時私は、彼のことを嘲るように笑った、そのことを今は反省している

嘲るような笑い方の代表的なものは、「冷笑」と言われる冷めた笑いや、「嘲笑」と言われる小ばかにした笑い方でしょう。

いずれも「人を嘲るために発する笑い方」であり、向けられた側が不快感を持つ笑い方のことです。

しかし、やはり嘲られていると感じている側には、相手に本当にその気持ちがあるかどうかはわからないため、「嘲るような笑い方」はあくまでも事実によらず、感覚について使う言葉ということになります。

嘲るような視線

「嘲るような視線」とは、人を軽蔑しているかのように見て取れる視線の送り方のことです。

その人はまるで嘲るような視線を私に送っていた

部長が嫌われるのは、あの人を嘲るような視線が原因のひとつだろう

嘲るような視線、とは見下すような視線、向けられた側が不快に思うような視線のことです。

正面からきちんと目を見られるのとは違い、相手の中に自分を見下すような感情を感じるのが「嘲るような視線」と言って良いでしょう。

視線は人によって特徴がさまざまで、必ずしもこういう視線が嘲るような視線、と断定することはできません。

しかし「嘲るような笑い方」と同じで、向けられた側がその状況と併せて不快と感じる場合は、「嘲るような視線」と表現して良いかもしれません。

嘲るような声

「嘲るような声」とは、聞いた人が不快に思うような、人をばかにするような声や話し方のことです。

その時聞こえて来たのは、人を嘲るような、特徴のある声だった

嘲るようなその声の持ち主が、まさかあの日頃おとなしい彼女だとは思ってもみなかった

「嘲るような声」は、笑い方や視線よりもさらに表現が難しいかもしれません。「嘲るような声」と言いますが、声に限定して「嘲られている」と感じるのはやや困難でしょう。

この場合の「声」には、その話し方や話している内容も含まれている、と考えるのが妥当です。

同じ声であっても「ありがとう」と言われるのと、「どうしてそんなに何もできないのだ」と言われるのでは、声の感じ方が異なります。

つまり「嘲るような声」とは一概には言えないけれども、内容や背景も含めて、聞いて不快になる場合に「嘲るような声」と表現する、と考えて良いでしょう。

「嘲る」の言い換えに使える類語

次に「嘲る」と似た意味を持つ言葉について解説します。

「蔑む」

「蔑む」の読み方は「さげすむ」です。「蔑む」とは「相手の人格や能力を劣ったものと考えてばかにすること」を意味します。

私はどんなことがあっても、人を蔑むような真似は許せない

とても素敵な人だと思っていたが、店員を蔑むような彼の態度に幻滅した

「蔑む」は「嘲る」と非常に似た意味を持つ言葉です。相手をばかにして、自分よりも立場が低い、能力が劣っている、という気持ちを表す言動を指しています。

「嘲る」は、蔑んだ結果の言動とも言えるため、「蔑む」と「嘲る」はセットで覚えておくと良いでしょう。

「見くびる」

「見くびる」とは、「他を自分より低く見て、たいしたことないと判断すること」です。

見るからに控え目な彼女があんなに仕事ができる人だったとは、私は完全に見くびっていた

課長は見くびっているようだが、新入社員の田中君は相当な切れ者だと思う

「見くびる」も「蔑む」と同じように、相手をばかにしている様子を表します。ポイントは「たいしたことないと判断する」という部分です。

その人の見た目や少し接しただけの印象で、自分よりも下の人間だと決めつけたのに、実はそうではなかったという様子が「見くびる」で表せます。