「万障お繰り合わせの上」の意味と正しい使い方!例文と言い換え

「万障お繰り合わせの上」の意味と読み方

招待状や案内状の最後に「万障お繰り合わせの上ご出席ください」と書かれているのを見たことがある、という人は多いのではないでしょうか。

今回は、この「万障お繰り合わせ」という言葉について解説します。

万障お繰り合わせの上とは「都合をつけて」という意味

まず、「万障お繰り合わせ」とは「なんとか都合をつけて」という意味です。

万障は、「たくさんの支障、差し障り」のことです。その人が持つ、多くの何らかの事情や用事を「万障」と表します。お繰り合わせとは、「調整をする、都合をつけて」という意味です。

「予定を繰り合わせる」などの言い方で、日常的にも用いられています。この「お繰り合わせ」に「の上」とつけると、「調整をした状態で、そうしてから」という意味合いになります。

つまり、この2つの言葉を組み合わせた「万障お繰り合わせの上」は、「いろいろと用事や事情があるとは思いますが、何とか都合をつけた状態で」という意味です。

万障お繰り合わせの上の読みは「ばんしょうおくりあわせのうえ」

「万障お繰り合わせの上」は、「ばんしょうおくりあわせのうえ」と読みます

「万障」は「まんしょう」とも読めますが、「まんしょうおくりあわせのうえ」とはいいません。濁点をつけて、濁らせた「ばんしょう」と読みましょう。

「万障お繰り合わせの上」の使い方と例文

次に、「万障お繰り合わせの上」の使い方を、例文と一緒に解説します。

出席を強く願う場合の招待状など

「万障お繰り合わせの上」が使われるのは、会議や式典などへの招待状の中です。きっと出席をして欲しい、という、強い希望を表しています

ご多用のこととは存じますが 万障お繰り合わせの上ご出席賜りますようお願い申し上げます

当日会場にてお会いできることを心より楽しみにいたしております 万障お繰り合わせの上ご参加くださいませ

万障お繰り合わせの上起こしいただけますと幸いです

万障お繰り合わせの上、が招待状や案内状以外で使われることはほぼありません。また、口頭での会話で「絶対に参加して欲しい」という気持ちを伝える場合でも、「万障お繰り合わせの上」を使うこともないでしょう。

口頭で同じ意味を伝えたい場合は「ご多用のことと存じますが、ぜひご出席いただきたくお願いいたします」などとします。

万障お繰り合わせの上は使う相手と内容に注意

この「万障お繰り合わせの上」は、招待時の決まり文句のひとつです。しかし、相手によって、また状況によっては失礼な表現となることがあります。

失礼かどうかを見極める際に必要なのは「万障お繰り合わせの上という言葉にこめる強制力についての理解」です。

先に解説したように、「万障お繰り合わせの上」は「用事があっても何とか都合をつけて」を意味します。たとえ言い方が丁寧であったとしても、意味合いとしては強い言葉です。

そのため、本来であれば出席を依頼するには恐れ多い相手や、災害または事件等で身動きを取ることが難しい相手には「万障お繰り合わせの上」は使えません

「万障お繰り合わせの上」の言い換えに使える類語

では、相手や相手が置かれている状況によって「万障お繰り合わせの上」が使えない場合は、どのような言葉を選べば良いでしょうか。

以下では、「万障お繰り合わせの上」の言い換えに使える類語について解説します。

ぜひご出席のほどお願い申し上げます

「万障お繰り合わせの上」の意味をそのまま、「ぜひご出席のほどお願い申し上げます」という言葉にして使うことができます。

ご多用と存じますが、ぜひご出席のほどお願い申し上げます

社員一同、〇〇様にお会いできることを楽しみにいたしておりますので、ぜひご出席のほどお願い申し上げます

「ぜひご出席のほどお願い申し上げます」は、「ぜひご出席賜りますようお願い申し上げます」「ご出席くださいますようよろしくお願い申し上げます」など、別の言葉と併せて使っても問題ありません。

心よりお待ちしております

「万障お繰り合わせの上」と伝えたい気持ちをそのまま言葉にして、「心よりお待ちしております」などとしても良いでしょう。

〇〇様におかれましては、毎日お忙しいことと存じますが、当日のご来場を心よりお待ちしております

みなさまのご参加を心よりお待ちしております

「心よりお待ちしております」は、口頭の会話でも自然に使えます。会話の中で、相手へ参加をお願いしたい場面などで使うと良いでしょう。

「しております」の部分は、「致しております」と謙譲語にするとさらに印象が良くなります。

ご都合をつけていただけますと幸いです

「万障お繰り合わせの上」が持つ意味の中でも、「都合をつけて来て欲しい」という部分を強調して言い換えたいのであれば「ご都合をつけていただけますと幸いです」が使えます。

お忙しい時期かとは存じますが、〇〇様にはぜひご参加いただきたく、ご都合をつけていただけますと幸いです

急なお誘いで大変恐縮ではございますが、折り入ってお話ししたいこともございます ご都合をつけていただけますと幸いです

この「ご都合をつけていただけますと幸いです」を使う場合は、できれば「なぜそこまで強くお願いしているのか」ということが相手に伝わるような表現をプラスした方が良いでしょう。

例文で言えば「〇〇様にはぜひご参加いただきたく」「折り入ってお話ししたいこともございます」の部分です。

文章でも口頭でも、理由を付けて「ご都合をつけていただけますと幸いです」と伝えれば、相手も意味なく強要されているわけではない、と理解ができます。