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「往々にして」の意味と読み方
日常の会話やビジネスシーンの中でたまに使われる表現に、「往々にして」があります。この言葉は、意味を知っているととても便利に使えますが、知らなければ聞いても理解が難しいかもしれません。
以下では、「往々にして」の意味と読み方について解説します。
「往々にして」とは「よくある」
「往々にして」とは、「よくある」という意味です。「よくある」とは「これは普段からよくある事」などに使われる、あの「よくあること」です。
往々は、元々は「往往」と書きます。この言葉には「そうなる傾向ありがちだと認められる様子」という意味があり、「そうなることがパターン化されている」「そうなることを誰も意外には思わない」というニュアンスがあります。
往々にしての読み方は「おうおうにして」
「往々」の読み方は「おうおう」です。「往々にして」は「おうおうにして」と読みます。これは漢字が「往往」であっても同じです。
声に出して読む時も「おうおう」という音は読み方と同じで変わりません。一般的に「おーおー」など、砕けた口調で読まれることもありますが、読み方自体は「おうおう」が正しいということは知っておきましょう。
「往々にして」の使い方と例文
「往々にして」は、現代でも使われる言葉ですが、環境によってはあまり聞きなれないかもしれません。以下では、「往々にして」の使い方を例文と一緒に解説します。
「ある・あります」と一緒に使う
「往々にして」は「ある」という言葉を後につけて使います。丁寧語なら「あります」、謙譲語なら「ございます」です。
株取引は、初心者が大した勉強もせずに手を出して失敗する、ということが往々にしてある
大変申し上げにくいことですが、今回のようなミスは珍しいことではありませんし、これ以上のミスも実は往々にしてございます
彼女はこういうことが往々にしてあります、休日の翌日は必ず遅刻をするのです
「往々にして」の後には「ある」を意味する言葉しか来ません。なぜなら「往々にして」自体が「よくある」という意味だからです。
ネガティブな意味で使うことが多い
「往々にして」の後には「ある」を意味する言葉が来る、とお伝えしました。さらに「往々にして」には、もう一つ使い方に傾向があります。
それは「ネガティブな内容に使う」ということです。「往々にして」を使って、ポジティブな表現をすることはあまりありません。
〇 彼の浪費癖は今に始まったことではない、給料日前にお金がないなんて往々にしてあることだ
× 彼は非常に優秀な人で、他社からの引き抜きの話も往々にしてある
〇 彼は非常に優秀な人で、他社からの引き抜きの話も珍しくない
良い意味で「往々にして」を使ったとしても、目立って誤りとは思えない人も多いかもしれませんし、意味は通じるでしょう。
しかし、「往々にして」という言葉がこれまで良くない意味に使われて来ているため、人によっては誤った使い方をしていると認識します。
「往々にして」の言い換えに使える類語
最後に「往々にして」の言い換えにも使える類義語について解説します。
ままある
「ままある」は、漢字で「間間ある」と書きます。「間間」とは、「頻繁にというほどではないが少なからず認められる経験」です。
課長が勤務時間中に姿を消すことはままある、どこへ行っているのかは誰も知らない
私が休日に旅行へ出ることは珍しいことではなく、ままあることだ
この「ままある」は、話の内容によらず使えます。ポジティブな内容についても使えるため、「往々にして」の言い換えとして便利です。
注意すべき点は読み方です。「ままある」は「まぁまぁある」ではありません。
しばしば
「しばしば」とは、「同じ行動や状況が続く途中で、その事が何度も繰り返し発生する様子」です。他の言葉に言い換えると「よくある」「比較的頻繁に」などでしょう。
彼女は私の父の様子を見に、しばしば訪れてくれている
息子は下校途中に友達と遊びに行くことがしばしばあり、一度帰宅してからにしなさいと注意するが聞き入れてくれない
「しばしば」も、「ままある」と同様で話の内容にかかわらず使えます。良い意味で「よく発生する現象」を表したい場合に使うと良いでしょう。
ただし、「しばしば」はその物事が発生する頻度についての解釈に、人よってやや相違があることが多い言葉です。