「無造作」の意味と読み方 類語・対義語と例文

「無造作」の意味

まずは「無造作」の意味について解説します。

「無造作」とは手軽にやってのける様子

「無造作」とは、物事を手軽にやってのける様子のことです。「手軽にやってのける」とは、いとも簡単にその物事を済ませることをいいます。

① 彼は無造作に髪をかき上げて、顔を洗った

② 課長は無造作ながら、美しい文字で書類にサインをした

「無造作」は、気を遣わず・気負わず、などその人が物事にあたる様子を表す言葉です。

①は、何も考えずにざっと髪をかき上げる様子を示しています。②では、傍目には手軽く文字を書いているように見えたけれど、その文字がとても美しかったという意味です。

「無造作」の読み方は「むぞうさ」

「無造作」は「むぞうさ」と読みます。「むぞうさく」「ぶぞうさ」などは、いずれも誤りです。

「造作」とは、面倒・手がかかること、を意味する言葉です。この「造作」に打消しの「無」がついて、面倒でない・手がかからない様子、で「むぞうさ」と読みます。

同じ「造作」でも「ぞうさく」と読む場合は、家を建てることを意味し、「無造作」とは関係がありません。

「無造作」の使い方と例文

次に、「無造作」の使い方を例文と一緒に解説します。

「無造作に置かれる」は気を遣わずにただ置く様子

物を置くときに、特に気を遣わず雑に置く様子を「無造作に置かれる(置かれた)」と表現することがあります。

「無造作」は、手軽くやってのける様子、つまり人の様子について使われる言葉ですが、「無造作に置かれる」など、時に物に対して使うこともあります。

① 田中さんは、無造作に置かれた書類の束を、黙々と読み始めた

② 私は、デスクの上に無造作に置かれた花束を花瓶に生けた

「無造作に置かれる」は、それを置いた人が特に気を遣わず、雑に置いたであろうと想像できる物の様子です。

①は、書類の束がきれいに揃えられていない状態で置かれている様子です。②は、デスクに対して真っすぐ置かれているわけではない、花束を表しています。

「無造作」は「こなれた」という意味で使われることも

「無造作」は、本来の意味である「手軽にやってのける」のイメージから、「こなれた」という意味で使われることもあります。

彼女は質の良いジャケットも無造作に着こなしている

彼のトレードマークは、無造作にセットされたヘアスタイルだ

この場合の「無造作」は、誉め言葉やポジティブな意味として使われることが多いようです。特に髪型や服装について使われ、いずれの場合も「気負わずにさらりと決まっている」というニュアンスを表します。

「無造作」の類義語と対義語

次に「無造作」の言い換えに使える類語と、反対の意味を表す反対語について解説します。

「無造作」の類語は「ぞんざい・粗雑」

まず、「無造作」の類語は「ぞんざい」「粗雑(そざつ)」などです。

「ぞんざい」とは、丁寧でなく投げやりで乱暴な人の様子を表します。「無造作」にはない「乱暴」な様子が含まれることから、あまり良い意味では使いません。

彼はいつもぞんざいな態度で、社内では評判が良くない

彼女は先方のぞんざいな言い方に腹を立てて帰って来てしまったようだ

次に「粗雑」とは、細かい部分に配慮がなく、荒っぽくていい加減なことです。やはり「ぞんざい」と同じように、良い意味では使われません。

社屋の外壁塗装を依頼したが、その粗雑な塗り方に社長は大変ご立腹だそうだ

彼が粗雑に扱ったことで、コピー機が不具合を起こした

「無作為」とは「ランダムに」という意味

「無造作」と似た言葉に「無作為(むさくい)」があります。この「無作為」も「無造作」の類語と思っている人もいるかもしれません。

しかし、実際には「無作為」とは、「ランダムに・手を加えない」という意味で、「無造作」とは異なる意味の言葉です。

今回の席順は、くじによって無作為に決められたものだ

この映像は無作為のものであり、特に編集などは加えておりません

「作為」とは、手を加えた作りごとのことです。その「作為」を「無」で打ち消して、作り事ではない・ランダムな、という意味になります。

「無造作」の対義語は「丁寧・念入り」

「無造作」の反対の意味を持つ言葉は、「丁寧・念入り」などです。

彼は丁寧な手つきで、書類を先方へ差し出した

彼女は、誤字や脱字がないかを念入りに確認している

「丁寧」「念入り」という言葉は、日常でも比較的頻繁に使われています。どちらも、きちんと確認をしたり、より良くなるように気を配る様子を表す言葉です。

「無造作」が、気を遣わずに行う様子を表すことから、反対語は「気を使って行う様子」を表す言葉になります。

「無造作」の英語表現と英文

最後に「無造作」の英語表現について解説します。

「無造作」は英語で「without difficulty」

「無造作」を英語で表す場合には「without difficulty」を使います。「without difficulty」とは「たやすく」という意味で、「無造作」が持つ「手軽にやってのける」というニュアンスが伝わります。

He did it without difficulty.(彼はそれを無造作にやってのけた)

She does up her hair simply.(彼女は無造作に髪を束ねている)

「無造作」は「without difficulty」の他にも「simply」で表すこともできます。日本でも使われている「シンプル」と同じ意味で、「簡潔に・容易にやる」という意味です。