「秩序」の意味と使い方!対義語の「混沌」とは?規則との違いも解説

「秩序」の意味と読み方

「秩序」はビジネスの場や学校、新聞や小説などさまざまなところで目にする言葉で、一般的に広く使われています。

まずは「秩序」の意味と読み方について解説します。

「秩序」とは物事の正しい道筋

「秩序」とは、その物事の正しい順序や道筋のことです。「モラル」という言葉に置き換えると理解がしやすいでしょう。

彼は元気が良く明るいムードメーカーでもあるが、秩序に欠けるところがある

自由な思考もすばらしいけれど、私は秩序を守ることも、社会人として大事なことだと考えています

世間や団体、または個人が正しい状態を保つために求められる条件を「秩序」と言います。たとえば、「道端にゴミを捨ててはいけない」「社則や校則を破ってはいけない」なども「秩序」です。

明確なルールが設けられていなかったとしても、人道的に考えて「してはいけないこと」が「秩序」です。

「秩序」の読み方は「ちつじょ」

「秩序」は「ちつじょ」と読みます。

「秩」は「チツ・チチ」と読む漢字で、物事の順序や次第を表します。「序」は「ジョ・ついで」と読む漢字で、「秩序」の場合は「ジョ」と読みます。

読み間違いとして多いのは「てつじょ」や「ちじょ」です。正しく「ちつじょ」と読めるように覚えておきましょう。

「秩序」の使い方と例文

「秩序」はビジネスの場だけでなく、日常生活や学校生活でも頻繁に使われる言葉です。正しく使えるように、例文と一緒に使い方についても知っておきましょう。

「秩序がない・秩序がある」は常識の有無を表す

「秩序」の使い方で多いのは「秩序がある・秩序がない」という「ある・ない」での表現です。

彼に求められるのは秩序ある行動だ、社会人にもなってあんなモラルに欠ける行動をとられては困る

自分の都合で簡単にルールを破ってしまう彼女は、要するに秩序がない人だ

「秩序」は、人の言動についての名詞であって、形があるものではありません。本来であれば、形がない秩序を「ある・ない」で表すことはできないはずです。

しかし、秩序は「ある・ない」で表現されます。

秩序が「ある」と言えば、それは社会的な常識を持っているということになります。反対に「ない」と言えば、社会的なルールや規則を守れない人を表しているのです。

「秩序的に」は物事の捉え方

「秩序」に「的に」という言葉を足して「秩序的に」という言い方をすることがあります。この「秩序的に」とは、その物事を考えるについての捉え方です。

私はあなたのやろうとしていること自体に反対ではないけれど、秩序的に考えると賛同しかねる

彼女には、物事を秩序的に考えるという思考がない

その物事についての良し悪し、あるいは賛成か反対を判断する際に、「秩序」を軸として考えることがあります。その場合に出た結論は「秩序に沿って考えたもの」です。

この「秩序に沿って考えた物事」は、言い方を変えれば「秩序的に考えた結果」となります。つまり「秩序的に」とは、「秩序を軸に考えた(考える)」という、物事の捉え方です。

「秩序を守る」はルールを守る

「秩序」は常識やモラル、ルールなどを表します。その常識やルールに従うことは「秩序を守る」と表現されることがあります。

一人ひとりが秩序を守ることで、社会全体の安心や安全が保たれる

学校内での秩序を守ること、守らせることも、私たちの役割です

秩序を軸に考えた結果に従った言動は「秩序を守っている」、従っていない言動は「秩序を守っていない」と表すことができます。

この「秩序を守る(守らない)」と似た意味を表現する言葉に、「秩序の則る(則らない)」「秩序に従う(従わない)」などがあります。

「秩序を乱す」は規律を乱す

その人の常識に欠ける言動が、その団体や社会の混乱を招くようなものであることを「秩序を乱す」ということがあります。

彼は確かに常に成績トップの優秀な生徒ですが、あれだけ秩序を乱す言動が多いと、卒業生代表には推薦できません

彼女は社内の秩序を大きく乱したことが原因で、自主退職を迫られている

「秩序を乱す」は、「秩序を大きく乱す」「秩序をひどく乱す」など、乱し方の程度を表す言葉と一緒に使われることもあります。

その秩序の乱し方が程度を超えている、並大抵の秩序の乱し方ではない、という場合は「大きい・ひどい・過剰に・大変」などの言葉を添えると伝わりやすいでしょう。

 

「秩序」の言い換えに使える類語と対義語

「秩序」は日常で問題なく使える言葉です。しかし、その場の雰囲気や自分が表したい内容によっては少し硬い言葉にも思えるかもしれません。

以下では「秩序」と似た意味を持つ類語とその例文をご紹介しますので、状況に合わせて言い換えてみてください。また、「秩序」と反対の意味を持つ反対語についてもご紹介します。

秩序の類義語は「常識・規則」

「秩序」の言い換えに使える言葉はたくさんあります。その中でも、特に一般的で意味が近い言葉は「常識・規則」の2つです。

常識

「常識」とは、社会や団体においてそこに所属する人々の多くが「そうだ」と認識している事柄を指します。

人に親切にしてもらったら、お礼を言うのは常識

うちの会社では、納期を2日後に設定するのが常識となっている

この「常識」には、厳密に言えば2種類あります。1つは社会で生きる上で人として当たり前と言われる行いです。朝はおはようと言う、人に迷惑をかけたら謝る、道端にゴミを捨てない、などがこれに当てはまります。

もう1つは、その団体特有のルールです。この場合の常識は、その団体を1歩出れば常識ではなくなることもあります。毎日朝礼を行う、新人が入社したら必ずその日のランチは全員で取る、などでしょう。

いずれにしても「その場所(社会や団体いずれも)」において、多くの人がそうするものだと認知している言動が「常識」です。

規則

「規則」とは、その団体や場所において文書などで明確にされている、守るべき事柄のことです。

朝は10時までに出社するのが、うちの会社の規則です

この町の規則では、燃えないゴミは毎月第3火曜日です

「規則」は人によって明確に決められたものです。「秩序」は誰かが決めたわけではないけれど、多くの人が当然だと考え、賛同して守られるものです。この点が規則と秩序の違いと言えます。

また「規則」には「原則(げんそく)・本則(ほんそく)」という言い方もありますが、意味は同じです。よく使われる言葉に「原則的には不可」などがありますが、これは「規則では不可と決められている」という意味です。

また、規則から外れたものを「例外」と言います。この例外の特徴は「規則からは外れているけれど、特段の事情がによって正しい(あるいは可能など)と認められたものを指しています。

「秩序」の対義語は「混沌」

「秩序」は規則や常識など、馴染みのある言葉に言い換えやすい言葉です。しかし、反対の意味を持つ対義語は多くありません。

以下では「秩序」の反対語である「混沌」について解説します。

混沌

「混沌(こんとん)」とは、物事が入り乱れて区別がつかなくなっている状態です。

この混沌とした世の中で、彼は自分を見失うことなく日々を懸命に過ごしている

当時の社内は、まさに混沌としていました、社員の士気が下がり収拾がつきませんでした

「混沌」は、無秩序(むちつじょ)と言い換えられることも多い言葉です。その場所にあるはずの秩序が失われ、良いも悪いも入り乱れている様子を表します。

厳密に言えば、秩序の対義語が混沌というよりも「秩序が守られている状態」の対義語が「混沌」です。

そこにあるはずのルールや規則、常識が失われ、その場にいる人々が迷ったり投げやりになる様子を表しています。