会社訪問・OB訪問のお礼状の例文と書き方

会社訪問のお礼状の例文と書き方

会社訪問をした企業の担当者に送るお礼状です。

会社訪問に時間を割いてもらったこと、説明を聞かせてもらい、質問に答えてもらったこと、普段は関係者以外立ち入ることのできない社内を案内してもらったこと、そのような応対への感謝の言葉を記します。

また、会社・職場に魅力を感じたときは、その点を伝えることで就職への意欲をPRすることができます。

会社訪問のお礼状は、メールでも送れます。

いわゆるお礼メールですが、日常、膨大な数のビジネスメールがやり取りされる中で、業務上重要なメール以外が軽視されることは否めません。最悪の場合、担当者の目に触れることなく埋もれてしまうか、削除される危険性も小さくないと思われます。

その点、封書であれば時間がかかっても確実に担当者が一読してくれるでしょう。しかも、それが手書きであれば、就職への本気度や真摯な姿勢が伝わりそうです。

会社訪問のお礼状の書き方

会社訪問は一般企業のインターンとは違い、相手の好意で実現するものです。さらには採用側に会社訪問の情報が保存されている場合、良くも悪くも就職活動のときに応募者の参考資料として活用される可能性があります。

従って、お礼状を書く場合も、その可能性を考慮して書くべきでしょう。

お礼状は手書きまたはメール

会社訪問のお礼状は手書きの手紙、またはメールで送ります。最近ではSNSを使ってお礼状を送るという学生も増えているようですが、相手先によっては歓迎されない可能性があることも知っておきましょう。

基本的にお礼状は「メール<手紙」です。さらには手紙の中でも「パソコン作成<手書き」という順で印象が良くなるとも言われています。

可能な限りお礼状は手書きで書き、一文字一文字に気持ちを込めるように心がけましょう。

お礼状が遅れるならメールでも可

お礼状は鮮度が重要です。会社訪問が終わって何週間も経ってから手書きのお礼状が来るよりも、会社訪問が終わって数日のうちに届くメールでのお礼の方が鮮度は高くなります。

もっとも望ましいのは鮮度の高い手書きですが、学校の予定やその他のスケジュールの都合でどうしても手書きだと遅くなるということがわかっている場合は、メールでお礼状を送るのもひとつの方法です。

ビジネスマナーを心がける

会社訪問は基本的には学生が行うものなので、完璧なビジネスマナーを身につけている人から届く手紙とは別の意識で読んでくれることが期待できます。ビジネスマナーに欠ける部分があったとしても、これから学んでいくことだと好意的に受け取ってもらいやすいでしょう。

しかし、その気持ちに甘えて学生気分丸出しの手紙を送ることはとても失礼です。

ビジネスマナーを知らないなりに、調べて学びながら書く姿勢を先方は期待しています。

便箋と封筒は白地を用意する

会社訪問のお礼状を書く便箋と封筒は「白地」のものを選んでください。色付きや柄付きの便箋・封筒は望ましくありません。イラスト入りの便箋や封筒も避けるべきです。

また、ペンは黒のボールペンを用意してください。カラーペンで書くことはマナー違反です。

縦書きが望ましい

便箋・封筒のスタイルは「縦書き」が望ましいとされています。横書きでも失礼というわけではありませんが、お礼状は基本的に縦書きで、ということもビジネスマナーのひとつです。

縦書きに慣れていない学生は多いため、書きにくさを感じるかもしれませんが、せっかく書くのであれば縦書きを選ぶようにしましょう。

会社訪問のお礼状に書く内容

会社訪問のお礼状は、端的にいえば「ありがとうございました」という気持ちが伝われば良いものです。しかし、相手はビジネスシーンにいる人ですので、ある程度の形式が守られていなければ、それだけで「お礼状としては足りない」と判断されてしまいます。

①頭語と結語を使う

手紙のマナーの中に「頭語・結語」があります。頭語は手紙の始まりに頭を下げて挨拶をするを様を表す言葉、結語は手紙の終わりに頭を下げて挨拶をする様を表す言葉です。

会社訪問のお礼状には「拝啓・敬具」の組み合わせ、もしくは「謹啓・謹白(または敬白)」の組み合わせを使います。違いは言葉の格式です。拝啓・敬具よりも謹啓・謹白の方が格式が高く、より丁寧な印象となります。

なお、頭語・結語として有名な「前略・草々」は目上の人には使わない組み合わせですので、お礼状には使いません。

②挨拶

次に「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」などの挨拶を入れます。この部分は手紙の挨拶文として、ある程度定型化されているため、あまり深く考えずに書いても問題はありません。

「貴社ご盛栄のこととお喜び申し上げます」「時下ますますご隆盛のことと存じます」などは、どれもほぼ同じ意味で「きっと御社は今この瞬間も繁盛なさっていることでしょう」というものです。

ちなみに、企業そのものや企業の担当者に送るお礼状での挨拶文では、基本的には「会社の繁栄」について書きます。「ご健勝」など、個人の健康を表す言葉はあまり使いません。

③名乗り

次は名乗りです。「私は〇月〇日に会社訪問をさせていただきました、〇〇大学〇〇学部の〇〇××(フルネーム)と申します」など、相手がこちらを思い出しやすいように書きましょう。

会社訪問を終えてすぐに届けたお礼状でも、先方は毎日多くの人とかかわっています。名前だけなどでは思い出せないことも多々ありますので、できるだけ詳しく書くこともマナーです。

④お礼

ここからお礼状の本文が始まります。「この度は大変貴重なお話を伺わせていただき、誠にありがとうございました」などの文章から始めると良いでしょう。

続けて「〇〇様の貴重なお時間をいただき、仕事内容だけでなく社会のこともたくさん教えていただき、私にとってかけがえのない大変有意義な1日となりました。」など、どんなことに感謝をしていて、自分にとってそれがどんなに貴重なものだったか、ということも書くと良いかもしれません。

なお、この後具体的なエピソードに入っていきますので、そのことを意識して簡潔な文章を心がけてください。

⑤具体的なエピソード

会社訪問のお礼状に限らず、お礼状はいかに具体的かという点がポイントになります。ただ「ありがとうございました」を繰り返すのではなく、特に印象に残っている教えや出来事を添えると良いでしょう。

「〇〇様のお話はすべて勉強になりましたが、特に印象に残っているのは〇〇についてのお話です。〇〇を教えていただいたことで、私がこれまで学校で学んできたこととは別に、違う概念を持つことが必要であると気が付くことができました。」

 

これはは一例ですが、読んだ人ができるだけ想像しやすいようなエピソードを入れた方が良いとされています。

または「会社訪問を終えて、自分に欠けていると感じた〇〇を勉強することにしました」など、会社訪問を経験したことで新しい学びを得た、という内容を添えても喜ばれます。

⑥改めてのお礼

お礼状は最初から最後までお礼で埋め尽くされます。そのため、エピソードが一段落したら改めてお礼を伝えることになります。

「まずはご指導を賜りましたお礼をお伝えしたく、お手紙をお送りすることにいたしました。本当にありがとうございました」など、一区切りつくようなお礼文を添えてください。

このときに「取り急ぎお礼」という表現はあまり使いません。「略儀ではありますが、文中より御礼申し上げます」など別の言葉を使ってお礼を伝えてください。

⑦最後の挨拶

本文の締めには「貴社のご発展と〇〇様のますますのご活躍をお祈り申し上げます」などの一文を入れます。この部分は冒頭の挨拶と同じで、定型化されている文言で問題ありません

あまり「お元気で」などフランクな言葉は使いませんので、ある程度手紙全体の雰囲気と合う言葉で締めくくりましょう。

⑧日付と名前

締め文の後には手紙を書いた日付と名前を書きます。日付は和暦、名前は大学名から続けて書くようにしてください。

日付は上から2文字分空けて書き、大学名・名前は便箋の一番下(横書きの場合は左端)に寄せて書きます。

また、同姓同名の人がいないとも限らないので、大学名や名前は略すことなく、正式名称で書くようにしてください。

⑨宛先の会社名と担当者名

最後に宛先となる会社名と担当者名を書きます。相手の会社名と名前は、便箋の一番上(横書きならもっとも左)から書き始めることを忘れないようにしましょう。

会社名や担当者の部署名も略すことなく、正式名称で書いてください。「(株)」などは使いません。

担当者名がわからない場合は「人事課ご担当者様」などとし、「様」という敬称と一緒に書きます。

【会社訪問のお礼状例文・封書の場合】※横書き

謹啓 貴社益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。
本日は、お忙しい中、貴重なお時間を割いて頂き、
誠に有難うございました。
藤田様から業務についてのお話を直接伺えたことと
貴社の社風や職場の雰囲気に触れることができました
ことで、貴社で働く自分の姿を具体的にイメージする
ことができました。貴重な体験をさせて頂き、厚く
御礼を申し上げます。
簡単ではございますが、まずは御礼を申し上げたく
一筆差し上げました。
藤田様のご健勝をお祈り申し上げます。   敬白
平成25年4月15日
□□大学□学部□□□学科
□□□□専攻4年 柳田みどり
株式会社□□□ 人事部
採用課長 藤田あかね様