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恐縮 の意味
恐縮という言葉は、本来は、文字通り恐れから身がすくむ状態を意味する言葉です。
また、相手の厚意への感謝から派生する気恥ずかしさや照れくささなどを表現するときにも使われます。
間違ってませんか「恐れ入ります」の2つの意味と使い方・例文恐縮 の例文
「恐縮」のビジネスシーンにおける4つの使い方
「恐縮です」という言葉の意味は、冒頭でお伝えした通り「身がすくむ様子」です。この「恐縮です」には4つの使い方があります。以下では、その4つの使い方について解説します。
また、「恐縮です」とセットにして覚えておくと、日頃のビジネスシーンなどで便利に使えるフレーズもご紹介します。
① 御礼や感謝の意味で使う「恐縮」
「恐縮」という「相手に恐れ入って、身の縮むような」という表現を、相手への「御礼や感謝」の意味で使うことができます。
「ありがとうございます」という言葉では表現しきれないような、強い感謝の気持ちを「恐縮です」という言葉で表します。
この「御礼や感謝の意味」で使う「恐縮」は、主に「恐縮でございます」と、より丁寧な言い方になります。
「この度は遠方よりお越しいただき、ありがとうございます→この度は遠方よりお越しいただき、恐縮でございます」
② 謝罪やお詫びの場面で使う「恐縮」
「恐縮」はお詫びや謝罪の場面でも使うことができます。相手に心から申し訳ないという思いから、相手を恐れ身の縮むような思いをしている、という状態を「恐縮」という言葉に乗せて伝えます。
→「この度は誠に申し訳ございませんでした、恐縮ではございますが、後日書面をお送りいたしますのでご記入をお願いできますでしょうか」
③ 依頼やお願いの意味で使う「恐縮」
相手に不快な思いをさせた上ではない、通常の依頼やお願いの場合にも「恐縮です」を使うことができます。
「先日お送りいただきました書類に不備がございました、ご訂正いただき再度ご送付のほどお願いいたします」
→「先日お送りいただきました書類に不備がございました、恐縮ではございますがご訂正いただき再度ご送付のほどお願いいたします」
④ 褒められて謙虚な返事で使う「恐縮」
「恐縮です」という言葉は、謙虚な気持ちを表す場面でも頻繁に使われます。たとえば、相手に褒められた場合の受け止めの言葉として「恐縮」を使う、というものです。
しかし人によっては「褒め言葉をすんなりと受け入れるとは」「せっかく褒めたのに否定するとは」など、さまざまな考え方があります。
そこで「恐縮」を使い、やんわりと受け入れながらも謙虚な姿勢で受け止めるという、他の言葉では難しい様子を表すことができます。
「すばらしい技術ですね-ありがとうございます/とんでもないことです
→「すばらしい技術ですね-恐縮でございます」
「恐縮」でお礼やお願いをする時のフレーズ
相手から受けた厚意に対する感謝や、迷惑をかけてすまないという謝罪の気持ちを表す際に「恐縮です」を使う場合は、よりかしこまった表現だととらえます。
以下のような、感謝の言葉を、「恐縮」に置き換えることができます。
「お褒めいただき、ありがとうございます」→「お褒めいただき、大変恐縮でございます」
以下のような、謝罪・申し訳ない気持ちの言葉を、「恐縮」に置き換えることができます。
「申し訳ございませんが、お願いします」→「恐縮ですが、よろしくお願いします」
このように「恐縮です」は、相手の言葉を肯定も否定もせず、ただ受け入れるという場面でも使えます。
特に、上記のような褒められてどう言えば良いかわからない場面や、申し訳ない気持ちはありながらもお願いはしたい、という場面で使いやすいので覚えておくと良いでしょう。
「恐縮」をビジネスシーンで使う場合の注意点と3つのポイント
「恐縮です」は、お礼やお詫び、依頼の意味を持ち、非常に便利な言葉ではありますが、その使い方には注意が必要です。
「恐縮です」は多用しない
「恐縮です」を使い慣れてくると、その言葉の便利さについ多用したくなるかもしれません。しかし、どんな言葉も同じですが、「恐縮です」も多用すると言葉の印象が軽くなります。
言葉の印象が軽くなるということは、言っていることの信ぴょう性が薄くなるということです。お礼の意味で「恐縮です」と言っても、本当にお礼を言うつもりがあるのか、と捉えられやすくなります。
特にお礼やお詫びと言った、会話やコミュニケーションの肝となる部分は「ありがとうございます」「申し訳ございません」など、他の言葉を使って適切に伝えるようにしましょう。
口語では「恐れ入ります」を優先する
最後の注意点は、会話などの口語では「恐縮です」よりも「恐れ入ります」を優先させることです。
もちろん、口頭で「恐縮です」と言ってはいけないわけではありません。しかし、「恐縮です」は、言葉の音の響きからやや固い印象が強くなります。
口頭の会話で、「恐縮です」でも「恐れ入ります」でも、自由に選んで使える場合は「恐れ入ります」を使った方が無難でしょう。
「恐縮に存じます」は誤り
たとえば「恐縮に存じます」という言い方をする人は多いですが、意味が重複しています。
「存じます」は平たく言うと「思います」という意味ですから、「ありがとう」「すみません」といった気持ちをすでに意味として含んでいるところに「存じます」を加える必要はありません。
「恐縮です」の言い換えに使える類語
「恐縮です」はとても便利な言葉ですが、口頭で使う場合や、話の内容によっては少し硬い印象があります。
以下では「恐縮です」の言い換えに使える類義語をご紹介しますので、状況によって使い分けてみてください。
恐れ入ります
「恐縮です」という言葉に含まれている「(相手を)恐れる」という意味だけを表す言葉が「恐れ入ります」です。「恐縮」に比べると、日常的に使いやすく、大げさにもなりにくいため、使い方を知っておくと便利です。
「恐れ入ります」は「恐縮」に比べると、ややライトな印象を受ける場合があります。そのため、お詫びの場面で善後策や依頼を提案する場合は「大変恐れ入りますが」と、「大変」で強調するとさらに良いでしょう。
申し訳ございませんが
「恐縮です」という言葉を依頼やお願いの場面で使うのであれば「申し訳ございませんが」という言葉も言い換えとして使えます。
「恐縮です」から派生した言葉
「恐縮です」という言葉には複数の意味や使い方があるため、その状況に応じて使われる言葉が変化していることがあります。
以下でご紹介する言葉は、「恐縮です」ほど多くの場面で使えるわけではありませんが、状況に合ってさえいえれば「恐縮です」よりもナチュラルに使いやすいので覚えておくと良いでしょう。
お礼の場面で感謝を表す「光栄です」
「光栄です」は、自分の存在や実績などが認められたときに、それを認めてくれた相手に対して使う言葉です。主には感謝の気持ちを表します。
このような華やかな場にお招きいただき、大変光栄でございます
君たちのような若い人に慕ってもらえて、とても光栄です
この「光栄」は、ありがたい・うれしい・名誉であると思う、などのニュアンスが含まれています。
ひとつ注意したいのは「光栄です」を使う相手です。相手が目上の人である場合は「光栄でございます」と敬語を使います。そのため、特に「光栄」を使わなければならない理由がなければ「恐縮です」を使った方が良いでしょう。
目上へお礼を伝える「痛み入ります」
「痛み入ります(いたみいります)」を、簡単な言葉に言い換えると「ありがとうございます」もしくは「恐れ入ります」です。いずれにしても、相手に感謝やお礼の気持ちを伝える場面で使います。
君のおかげで助かったよ、ありがとう
→痛み入ります
難しい契約を取って来たそうだね、おつかれさま
→痛み入ります
相手が目上の人であっても、ありがとうございます・恐れ入ります、と言ってはいけないわけではありません。
しかし「ありがとうございます」にはお礼の意味しかありませんし、「恐れ入ります」には直接的なお礼の言葉が含まれていません。
「恐縮」をさらに強調する表現
「恐縮至極」
「恐縮至極(きょうしゅくしごく)」とは、「非常に恐縮している」「最大限の恐縮」という意味を持つ言葉です。
「恐縮です」という言葉は、使い方によっては思いよりもやや軽い印象を持たれることがあります。
そんなときに「恐縮至極」を使うと、自分がいかに恐縮しているか、ということを伝えることができるでしょう。
基本的には「恐縮至極でございます」と、使いますが、「まさに恐縮至極、身の縮む思いでございます」などの言い回しをすることもあります。
「恐縮しきり」
「恐縮しきり」とは、「恐縮しっぱなし」「ずっと恐縮しています」という意味を持つ言葉です。
「恐縮至極」と同様に、非常に恐縮している様子を表します。さらに「恐縮しきり」は、相手へたびたび迷惑をかけている場合にも使います。
「○○様には何度もご迷惑をおかけし、恐縮しきりでございます」などと使うと、度重なる不行き届きを詫びる言葉としても使うことができます。