目次
「溜飲が下がる」の意味と語源
まずは「溜飲が下がる」の意味と語源について解説します。
溜飲が下がるとは「胸のつかえがとれて気が晴れる」という意味の慣用句
「溜飲が下がる」は「りゅういんがさがる」と読みます。「不安や不満・怒りや恨みとして胸につかえていたものが取れて、気が晴れる」という意味です。
今日、パワハラをしていた課長から謝られた、謝罪の言葉を聞いて、溜飲が下がるとはこのことだと思った、とても気分が良い
息子が所属するサッカーチームが、前回負けた相手との試合に快勝し、親の私も溜飲が下がった
「溜飲が下がる」は、それまで胸の中にあったモヤモヤとしたものが、解消された場面です。まるで胸のつかえがなくなったかのように、すっきりとした気持ちを「溜飲が下がる」で表します。
「溜飲を下げる」は意識的に解消するイメージ
「溜飲が下がる」と似た言い方に「溜飲を下げる」があります。「溜飲を下げる」は、正式な言葉ではありませんが、一般的に広く使われているので、意味は理解しておいた方が良いでしょう。
毎朝のる電車で迷惑行為をしている人へ、はっきりと迷惑であることを伝えて、これまでの溜飲を下げた
取引先からの無茶な要望にはこれまで散々振り回されていたが、もうこれ以上は応えられないことを伝えて溜飲を下げた
溜飲が下がるの語源は胃液の「溜飲」
「溜飲が下がる」の語源は「酸性の胃液」です。イライラしたり、不安などのストレスが高じると、酸性の胃液が上がってきて気分が悪くなります。この酸性の胃液が「溜飲」です。
精神的な問題によって上がってきた不快な胃液が、下りて行くような、すっきりとした状態になるため、「溜飲が下がる」と言われるようになりました。
「溜飲が下がる」の使い方と例文
次に「溜飲が下がる」の使い方を例文と一緒に解説します。
慢性的なストレスや一時的な緊張状態が解消された場合には使わない
「溜飲が下がる」は、具体的な原因が引き起こした胸のつかえが取れる感覚です。そのため、理由が一つではない慢性的なストレスや、一時的な緊張状態が解消されても「溜飲が下がる」とは言いません。
仕事を辞めて、慢性的なストレスが解消された、とてもスッキリとした良い気分だ
初めてのプレゼンでとても緊張したが、無事終わってほっとしている
「溜飲を晴らす」という表現は無い
「溜飲が下がる」の言い間違いに「溜飲を晴らす」があります。それまで気になっていたことが解消されて気が晴れる、という意味に聞こえますが、実際には「溜飲を晴らす」という言葉はありません。
「晴らす」を使うのであれば「気を晴らす」が良いですし、「留飲」を使うのであれば「溜飲を下げる」が適しています。
「溜飲が下がる」の類語と対義語
次に「溜飲が下がる」の言い換えに使える類語と、反対の意味を持つ対義語について解説します。
溜飲が下がるの類義語は「カタルシスを得る」
「カタルシスを得る」は「溜飲が下がる」の類語として使えます。「カタルシス」とは、ギリシャ語で「精神の浄化」を意味します。この「カタルシス」を「得る」ので、「カタルシスを得る」は「精神が浄化される(ようにスッキリとした状態)」と解釈できます。
友人から気に障ることを言われたが、帰って風呂上りに冷たいビールを飲んだらカタルシスを得られた
仕事が上手く行かずモヤモヤとしていたが、同僚と話して、辛いのは自分だけではないとわかり、カタルシスを得た
溜飲が下がるの対義語は「鬱憤が溜まる」
「溜飲が下がる」と反対の意味を持つ対義語は「鬱憤が溜まる(うっぷんがたまる)」です。「鬱憤」は「つもりに積もった怒りや恨み」を意味します。
当時の私は、毎日のように上司から八つ当たりをされて、鬱憤が溜まっていた
彼に鬱憤が溜まっているのは、傍から見てもよくわかった
「溜飲が下がる」の英語表現
最後に「溜飲が下がる」の英語表現について解説します。
「溜飲が下がる」は英語で「I feel satisfied」
「溜飲が下がる」を、英語で表す場合は「I feel satisfied」を使います。
I felt satisfied after complaining to my brother.(弟に怒りをぶつけて溜飲が下がった)
I felt satisfied when I talk with my boss.(上司と話して溜飲が下がった)
「I feel satisfied」の「satisfied」は「満足」という意味です。直訳すると「私は満足を感じた」となりますが、「留飲を下げた結果、満足を得た」と考えるとイメージがしやすくなるかもしれません。