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「あざとい」の本来の意味と漢字
近年「あざとい」という言葉がテレビや雑誌などでよく使われるようになりました。「あざとい」は、日本に古くから存在する言葉ですが、その本来の意味は現代の使われ方と少し違うかもしれません。
まずは「あざとい」の本来の意味と、漢字について解説します。
「あざとい」とは小利口であくどい
「あざとい」の本来の意味は「浅はかな点が目に付くような、小利口であくどい様子」です。
小利口とは、利口まではいかない、粗のある賢さという意味で、ずる賢いというニュアンスで解釈すると良いでしょう。
彼は確かに結果を出しているかもしれないけれど、そのやり方はあざといとしか言いようがないよ
私は彼女のそういうあざとい振る舞いにいつも嫌な思いをさせられているんです
僕のやり方があざといという人の大半は、僕に嫉妬しているんだと思います
例文のように、本来の「あざとい」はネガティブな意味で使う言葉です。その人の小利口なところを非難する意味で使われます。
現代の「あざとい」にはかわいいなどのいい意味もある
その「あざとい」が、やや違う意味合いとして使われているのが、現代の「あざとい」です。
テレビや雑誌で使われている「あざとい」の多くは、主にその人の「かわいさ・魅力的な様子」について用いられています。
どうすれば自分が良く見られるのか、ということを計算した上での振る舞いを「あざとい」と表現し、そのあざとさを良いものだとして取り扱うことが多いようです。
あざといの漢字は「小聡明い」
「あざとい」はひらがなで書かれることが多い言葉ですが、漢字もあります。漢字では「小聡明い」です。
「小聡明い」は、「小(少しだけ」「聡明(賢い)」と書くので、「あざとい」の意味である「小利口」のニュアンスを含んでいると言えるでしょう。
しかし、読み方を知らない人にとっては読みにくい漢字です。特別な理由がなければ、ひらがなで書いた方が無難です。
「あざとい」の使い方と例文
次に「あざとい」の使い方を例文と一緒に解説します。
あざとい男・あざとい女とは小賢しい人
「あざとい男」「あざとい女」という言い方には、その人が「小賢しく、うまくやっている」という意味合いが込められます。
彼は相手に気に入ってもらうためなら、歯の浮くようなことも平気で言うらしい、あざとい男だね
新入社員の田中さんは顔がかわいいし、誰にでも愛想が良いので、人によってはあざとい女だと思われるかもしれないね
「〇〇さんはあざとい」と表現することもできるのにもかかわらず、あえて「あざとい男・あざとい女」という言い方をすることで、その人に対しての嫌悪感やネガティブな印象までを表現できます。
「あざとさ」とはその人自身や言動を説明する表現
「あざとい」は変化させて「あざとさ」として使うこともあります。
彼女は男性社員と女性社員に対する態度が違う、そのあざとさが女性社員の中で嫌われているそうだ
君は確かに計算高いところがあるかもしれない、でもそのあざとさこそが君の武器でもあるんだと思うよ
彼は上司にだけ出張のお土産を買ってくるといった、あざとさがある
「あざとい」とする場合は「人」を、「あざとさ」とする場合は、その行為や振る舞いを指します。その人自身ではなく、その人の振る舞いに注目したい場合に使えるのが「あざとさ」です。
「あざとい」の言い換えに使える類語
次に「あざとい」と似た意味を持つ類義語について解説します。
こずるい(小狡い)
「こずるい」とは、「ずるい」に「こ(小)」を付けた言葉です。小利口や小賢しいと同じように、後に来る「ずるい」という言葉の意味を修飾しています。
あなたって本当にこずるい人だよね、思ってもいないことを言って相手を取り込むのだから
彼は相手によって態度を変えるから、陰ではこずるい人だと言われている
日本語には小利口や小賢しい(こざかしい)・小狡いなどのように「小」を付けた言葉が多くあります。そしてその多くが、本来の「小」の働きとは裏腹に、後にくる言葉を強調または変化させることがあります。
利口は褒め言葉ですが、小利口は褒め言葉ではありません。小賢しいも同様です。
狡猾(こうかつ)
「狡猾」とは、自分だけが得をしようと、さりげなくずるいことをする様子を表します。
A社の田中さんは普段はあの通りのんびりしているように見えて、その実は狡猾な人だという人もいる
君の真面目で素直なところが私は好きだけど、もっと狡猾な部分も持っていないと人に利用されてしまうよ
「狡猾」という言葉は、「あざとい」や「小狡い」よりもさらにネガティブな印象を持つ人が多い言葉かもしれません。